札幌駅周辺や地下街を歩いていると、よく目にする「ありんこ」の看板。札幌市民にはお馴染みの、おにぎり屋さんです。絶妙なお米の炊き加減に、ごはんの握り具合。一度でも食べたことのある人なら、そのおいしさを覚えているはず。
なぜ「ありんこ」のおにぎりは、あんなにもおいしいのか? 実は、隠された秘密がたくさんあったのです!
おにぎり一筋で人気を確立
「ありんこ」は1978年創業。当初から、おにぎり一筋で展開してきました。しかも、注文を受けてからその場で握るこだわりのスタイル。型などは一切使いません。
▼見るからにふわふわで、絶妙な握り加減
なるべく炊きたてのごはんで提供できるように、それぞれの店舗によって一度に炊く量を決めています。炊きたてとそうでない時で、握り方や塩加減を変えているというから驚きです。
さらには店舗内で食べる場合と持ち帰りの場合でも握り方や塩加減を変えるそうで、そうした微妙なこだわりが、いつどこで食べてもおいしい「ありんこ」ならではのおにぎりを実現しているのです。
▼豚汁や総菜も持ち帰りOK
現在の定番メニューは15種類。どこから食べても具が出てくるように、三角のふちの方まで具材を入れているのも、食べていてうれしいポイントです。
ちなみに、人気の具は「チーズかつお」と「たまごかつお」。季節によって限定メニューも登場するので、どれを選ぼうか迷うこと必至です。
▼サイズもレギュラー(左)とジャンボ(右)から選べる
ここまで挙げてきただけでも、相当なこだわりが「ありんこ」のおにぎりに詰まっているのだと分かります。しかし、おいしさの「最大の」秘密は、実は、別のところにあったのです!
84歳の総店長が直々に伝授する技
手に持って崩れそうで崩れない、そして口に入れたらほろほろとほどける、「ありんこ」のおにぎり。家庭で真似しようと思っても、なかなか難しいその握り加減は、実は、創業当初から同じひとりの女性によって受け継がれてきました。現在も総店長として活躍する、84歳の高橋トシ子さんです。
▼高橋トシ子さん(中央)と、川口可奈美さん(右)森岡小春さん(左)
取材当日も、共に20歳の新入社員、川口可奈美さんと森岡小春さんが、高橋さんの元で研修を受けていました。
「ありんこ」でおにぎりを握るのは、すべて社員の手。高橋さんから直々に技を伝授された社員だけが、握ることを許されるのです。また、手袋を着用することはありません。常に手を洗って衛生を保ちながら、素手だからこそ感じられる微妙な力加減を身に付けていきます。
「利き手の中3本指と、もう一方の手のひらの固い部分で、締めながら握っていきます。柔らかすぎても固すぎてもダメ。簡単なようで、難しいんですよ」
高橋さんの指導に、新入社員の2人も真剣そのものです。
▼これが握る時の両手の基本ポジション!
3回握ったら、両手を返してさらに3回握ります。1個につきかける時間は20秒。慣れてくると、返さなくても握れるようになってくるのだとか。上手な社員にはファンが付くこともあり、店先で指名されて握ることもあるそう。なかなか奥深いものです。
▼なんだかほっこりしてしまう研修風景
「ありんこ」の店舗は、札幌市内に6店舗あります。すべての店舗に、高橋さんが培ってきた長年の技が脈々と息づいているのだと思うと、おいしいおにぎりがさらにおいしそうに見えてくるから不思議です。
日本人のソウルフードとも言うべきおにぎりを、とことん極めた「ありんこ」。口いっぱいに頬ばって、その幸せをたっぷりと味わってみてください。
▼新たにオープンした「ありんこ sitatte sapporo」店
所在地:札幌市中央区北4条西7丁目1番地
電話:011-261-3010
※おにぎりの販売はしていません
所在地:札幌市中央区北2条西3丁目
電話:011-261-1105
営業時間:8時~20時