【富良野市】 富良野市山部から東山に向かう国道38号線沿い、豊かな自然の中にぽつんとたたずむ一軒の古民家。この築65年の味わい深い趣の建物が大改装により生まれ変わり、手づくりパンとカフェのお店「IPPO」として2015年5月19日にオープンしました。ランチ時には満席になるなど、早くも賑わいが生まれています。「IPPO」の山本美麗さんにオープンにかける想いなどを伺いました。
1950年建築の和洋折衷の建物をリノベーション
関西から北海道富良野市山部に移り住み、2013年から富良野市地域おこし協力隊として活動してきた山本美麗さん。東山地区にあったレトロな建物に惚れ込み、2015年春に協力隊の活動を終えるタイミングでカフェを始めることにしたといいます。
「旧橋場邸」と呼ばれる建物は、1950年に地元の施工会社によって建築された、木造2階建て家屋。漆喰壁に下見板を張り付けているほか、切妻屋根、出窓、玄関右手に縁側など、趣向を凝らした作りが随所に見られます。改装工事を請け負った大工さんによると、北海道では珍しい建築物ながらも北海道らしい和洋折衷の作りだそう。
▼玄関を開けると
▼桜の木が見えるカウンター席
▼奥にキッチンスペース
この建物はもともと橋場初吉氏の農家住宅で、その後に転売。ライダーハウスのような宿泊施設として2階部分を開放したり、アニマルパークのようになっていた時期もあったそうです。着工時は、使われなくなって既に10~15年が経過していたため、長期にわたる大規模な改修工事が必要でした。
改装工事では、メインの建物と離れの建物をつないでいた箇所を一部増築し、カフェスペースを確保。正面玄関にはウッドチップと石を敷いてオシャレな玄関口を表現しています。カフェスペースには、地元で使われなくなった椅子やテーブルを再生して15席分を配置。座席もそこから見える景色もそれぞれ違うため座席選びも楽しそうです。
▼店内にはアンティークなものが置かれる
▼磨いて再生した椅子
▼山本さんが手作りしたタイルのテーブルは自信作
地元産野菜をふんだんに使ったメニュー。自家製パンが大人気で完売も
約1年にわたる大改装を終え、2015年5月19日にプレオープンし、7月1日のグランドオープンを控える「IPPO」。建物が和洋折衷なら、山本さんが作る料理も「和」を取り入れた自信作です。
数量限定という週替わりランチメニューは、地元でとれた旬の野菜を使ったおかず4品、混ぜご飯、味噌汁、デザートがセットになったもの。また、和風出汁を隠し味にしたグリーンカレーやスープカレーも提供しています。「今後は、地場産にこだわり、自家栽培の野菜や、山部メロンやトウモロコシなど地元でよくとれる素材を生かしたメニューを作っていきたい」と山本さんは話します。
▼グリーンカレー
ランチメニューのほかに注目を集めているのが、地元産ハルユタカを使った自家製天然酵母のパン。一番人気のあんぱん、シナモンロール、キャラメルチョコパン、チョコナッツパン、いちじくとクルミのパン、たっぷり豆パンの6種類のラインナップで、水曜と金曜だけの限定メニューですが、早くに売り切れてしまうほどの人気です。
▼人気のパン
地域の人々が集うコミュニティスペース作り
地域おこし協力隊の活動などを通じて地域の人たちとのつながりが大切だと感じてきた山本さんは、このカフェを「山部と東山の人々が集うコミュニティスペースにしたい」と考えています。はじめの一歩を踏み出し、一歩ずつ歩んでいきたい、そして、来てくれた人にも一歩ずつ歩んでもらいたい、そんな想いが込められたカフェ「IPPO」。富良野市南部の集落の人たちに親しまれる拠点となっていくに違いありません。
▼IPPO
富良野市東山4176-2 (国道38号線沿い、東山市街から西へ車で1分、西達布川に架かる橋のたもとに入口) [地図]
営業時間:11:00~16:00
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