春に咲く花はたくさんありますが、その代表格とも言えるのがチューリップでしょう。愛らしく親しみやすいチューリップは、子どもからも大人からも人気の花。北海道では、5月に見頃を迎えます。
中でも湧別町の「かみゆうべつチューリップ公園」は、総面積7万㎡という広大な敷地に200品種以上ものチューリップが咲き誇るとあって、圧巻です。なぜ湧別にチューリップが植えられるようになったのでしょうか。その歴史と楽しみ方をご紹介します。(トップ写真提供:湧別町役場)
チューリップを愛した農家の思い
チューリップ公園に入ることができるのは、毎年開催されているチューリップフェアの時期のみ。その年の天候や花の様子によって日程が変わりますが、2017年のチューリップフェアは5月1日から6月4日まで開催され、多くの観光客でにぎわいます。
それにしても、オホーツクのこの地に、なぜこれほどのチューリップが植えられるようになったのでしょうか。
▼見ているだけで元気をもらえそう(写真提供:Kaoru Mitsuda)
湧別町(旧上湧別町)でチューリップの球根が栽培されるようになったのは、昭和30年代のこと。少ない面積で農家の収入を増やすため、高収益であるチューリップに白羽の矢が立てられたのです。1957(昭和32)年にはチューリップ耕作組合が結成され、わずか3年後の1960(昭和35)年には生産量・輸出量ともに全道一となりました。
ただし、昭和40年代になるとチューリップの取引価格が下落してしまいます。生産農家は一戸、また一戸と撤退していきます。それでもチューリップを愛する生産農家たちは、趣味として自宅の庭などに植え続けました。やがて、その愛情は「チューリップを後生に残そう」という思いへと昇華し、再びチューリップ畑が広がりはじめます。
1987(昭和62)年には町立の「チューリップ公園」が誕生し、公園の拡張と整備が行われた結果、現在の「かみゆうべつチューリップ公園」が出来上がったのです。
▼熱い思いが作り上げた広大なチューリップ畑
毎年開催のチューリップフェアをチェック!
とらえ方にもよりますが、オランダのとあるチューリップ専門書によると、5,600品種もあると言われているチューリップ。そのうち世界市場で販売されているものが2,600品種で、チューリップ公園では毎年50品種ほどを新しく入荷しています。
▼巨大なチューリップ看板がお出迎え
オランダから直送される、世界的にも出回ったばかりの新しい品種が見られるとあって、本当に花に興味のあるリピーターのお客さんが多いのも、この公園の特徴です。品種管理もしっかりとされていて、初めて訪れた人は、チューリップにこれほど多彩な表情があるのかと、驚くかもしれません。
▼和名と登録された母国語表記が書かれている
それではここで、最近人気の品種をいくつかご紹介しましょう。
▼ダブルシュガー Double Sugar(写真提供:かみゆうべつチューリップ公園)
最近人気の、八重でツートーンカラーの品種です。人気があるのは、やはりピンク系なのだとか。
▼ケープタウン Cape Town(写真提供:かみゆうべつチューリップ公園)
黄色い花びらに真っ赤な縁取りが、とても鮮やかなコントラストになっています。小さくてかわいらしい品種です。
▼ハネムーン Honeymoon(写真提供:かみゆうべつチューリップ公園)
ゴージャスな見た目に、ユニークな名前。チューリップは名前の面白さでも人気が出ることがあり、ハネムーンもそんなひとつです。
このように個々の特徴をじっくり見ながら歩いていると、ついつい時間の経つのも忘れてしまいそうです。より近くで写真を撮れるようなエリアも毎年少しずつ増やしていて、5月上旬から6月上旬のチューリップフェア期間中のみ楽しむことのできるイベントやポイントもあるので、気になる人はぜひ公式ホームページをチェックしてみてください。
6月に入ると花を摘みはじめるので、見頃は本当に5月いっぱい。今年はもう無理という人も、来年の行楽の予定に今から検討してみてはいかがでしょう?
▼お花の絨毯が待ってるよ!(写真提供:湧別町役場)
【動画】かみゆうべつチューリップ公園の様子
2017かみゆうべつチューリップフェア
期間:2017年5月1日~6月4日
開園時間:8時~18時(最終入場は17時30分)