北海道を旅する

夕張「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」で名作の感動シーンを懐かしむ

  

1977年5月に北海道ロケ、同年10月に公開された、名作とも言える映画『幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ』。感動のラストシーンのロケ現場となった夕張の地に、同映画の資料が展示された観光施設「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」があります。黄色いハンカチたなびく同施設の楽しみ方をご紹介します。

国内映画賞を総なめにした名作『幸福の黄色いハンカチ』

『幸福の黄色いハンカチ』は、第1回日本アカデミー賞最優秀作品賞など国内映画賞を総なめにした不朽の名作です。受賞歴は下記のとおりです。この年、作品が強烈な印象を残したことを物語っています。

第1回日本アカデミー賞(全8部門)

  • 最優秀作品賞
  • 最優秀監督賞:山田洋次
  • 最優秀脚本賞:山田洋次・朝間義隆
  • 最優秀主演男優賞:高倉健
  • 最優秀助演男優賞:武田鉄矢
  • 最優秀助演女優賞:桃井かおり
  • 優秀主演女優賞:倍賞千恵子
  • 優秀音楽賞:佐藤勝

第51回キネマ旬報賞(日本映画第一位)

  • 日本映画ベスト・テン第1位
  • 監督賞:山田洋次
  • 脚本賞:山田洋次、朝間義隆
  • 主演男優賞:高倉健
  • 助演男優賞:武田鉄矢
  • 助演女優賞:桃井かおり
  • 読者選出日本映画第1位
  • 読者選出日本映画監督賞:山田洋次

第2回報知映画賞(全2部門)

  • 作品賞
  • 主演男優賞:高倉健

第32回毎日映画コンクール(全6部門)

  • 日本映画大賞
  • 監督賞:山田洋次
  • 脚本賞:山田洋次、朝間義隆
  • 男優演技賞:高倉健
  • 音楽賞:佐藤勝
  • 録音賞:中村寛

第20回ブルーリボン賞(全4部門)

  • 作品賞
  • 監督賞:山田洋次
  • 主演男優賞:高倉健
  • 助演女優賞:桃井かおり

映画は1977年に公開されましたが、1982年にはTBSテレビ、2011年には日本テレビでドラマ化。アメリカでは「The Yellow Handkerchief」と題してリメイクされて2007年に公開されました。幸福の黄色いハンカチ映画DVDはこちら。

映画版『幸福の黄色いハンカチ』のストーリー

映画版の物語は、失恋した花田欽也(武田鉄矢)が赤いファミリアを購入し、フェリーで北海道の釧路へ渡るところから始まります。欽也は網走で若い女性 朱美(桃井かおり)をナンパ、そこに網走刑務所を出所した島勇作(高倉健)が加わり、3人でドライブします。その後3人は阿寒湖温泉、陸別、帯広、富良野、歌志内、夕張へと進んでいき、黄色いハンカチがたなびく場所へ島勇作を送り届けるというもの。

「もし、まだ待ってくれるなら、黄色いハンカチをぶらさげてくれ」。主人公の島勇作は妻 光枝(倍賞千恵子)宛に書いたはがきでそう書いていました。目的地 夕張で果たして再会できるのか・・・・・・。その感動のラストシーンを再現しているのが、「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」です。

感動のラストシーンのロケ現場を再現した想い出ひろば

▼駐車場からカフェ方向を見る
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「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」は、冬季休館ながら毎年約2万人が訪れる、夕張市内でも人気のスポットです。主演の高倉健さんが亡くなった2014年11月は末日まで臨時営業し、ファンが献花に訪れたこともあって、この年は約3万人を記録しました。財政再生団体の夕張市において、現在は特定非営利活動法人ゆうばりファンタが指定管理者として維持管理しています。

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施設は駐車場、スタッフが常駐する併設カフェ「HAMAMATSU CAFE」、そこから徒歩1分ほどでラストシーンを再現した木造長屋のメイン施設「幸福を希(ねが)うやかた」があり、その奥には黄色いハンカチがたなびく柱があります。

夕張「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」で名作の感動シーンを懐かしむ

【映像】動画で見る「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」

メイン施設の五軒長屋「幸福を希うやかた」と周辺

同映画のラストシーンで3人が訪れる夕張市では、文字通りロケが行われました。1977年5月27日、夕張でのラストシーンの撮影が行われ、北海道ロケが終了しました。

日吉地区の炭鉱住宅はほとんど撤去されていて見る影もありませんが、ラストシーンとなった光枝の住む炭鉱住宅は、ロケ当時とは建物配置や向き等が異なるものの、ロケ現場の再現として一般開放しています。

▼五軒長屋の炭鉱住宅を再現「幸福を希うやかた」
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施設担当者によると、メイン施設の五軒長屋は、夕張市の事業で約30年前の1990年に建て替えを行い、「幸福を希うやかた」という名で公開してきました。

しかし開設から25年以上が経過して老朽化や展示物の損傷が確認されたため、映画公開から40年にあたる2017年4月下旬に大幅改装。東海大学のMEDIUSメンバーが再生プロジェクトの一環で、「幸福とはなにか」を問うテーマで展示エリアのリニューアルおよび併設カフェのデザインなどを行いました。人形なども展示していましたが、現在は撤去されています。同年末には山田洋次監督が来訪し、市民との交流を深めました。

2018年4月にも小規模なリニューアルが行われたほか、2020年になって新たに登場したものがあります。その一つが、建物の手前に新設された絵看板。お蔵入りしていたものを2020年になって初めてお披露目しました。その代わり、小屋が撤去されました。

▼2017年当時は木造小屋があったが老朽化で撤去。2020年に絵看板が初披露された
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建物の老朽化や大雪の影響は深刻だといいます。例えば、長屋についている煙突は、大雪によって5本から4本になりました。今は交換できる部品がないため復旧は難しいそう。例年8メートルは積もる豪雪地帯であるため、冬季は年に2~3回雪下ろしを実施するなど、維持管理も大変手間が掛かっています。

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また、30年前はラベンダー畑が広がっていたものの、エゾシカの食害などの影響で周辺の景色もロケ当時とは変わってしまったところも多くあるといいます。

建物の奥には黄色いハンカチを50枚以上連ねた柱が建ちます。柱の向こう側からハンカチと炭鉱住宅を一緒に撮影するのがおすすめです。春には、横にある桜の木が花を咲かせます。

▼2017年当時なかった風車が頂上に取り付けられた(下は2020年)
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「幸福を希うやかた」の内部展示

「幸福を希うやかた」の内部へは、手前側の扉から入退場することができます。五軒長屋といいますが、内部は奥までつながっています。

▼黄色い付箋で埋め尽くされたメッセージコーナー
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建物に入ると、黄色い付箋で染め上げた空間に圧倒されます。この最初のスペース「幸福の聖地 メッセージコーナー」は、来場者が幸せを願う気持ちや大切な人に宛てたメッセージで、壁も天井も埋め尽くされているのです。担当者もその数を数え上げていないといいますが、何十万枚にもなるのではないかと推測されます。

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続くスペースは、赤いファミリアが中央に配置された印象的な空間です。実際にロケに使用された車で、映画撮影終了後に寄贈されたものです。

▼ロケで使用された赤いファミリア
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山田洋次監督直筆メッセージ、ロケの軌跡がわかる地図パネル、撮影に使われた衣装や台本などを展示しているショーケースがあります。

▼山田洋次監督直筆メッセージ
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▼ロケ地マップ
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▼撮影に使用された衣装など

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▼写真パネルも豊富
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一番奥へは立ち入りできませんが、部屋の様子を再現したスペースで、山田監督が幸福について語ったインタビュー映像、映画のダイジェストが上映されています。

▼一番奥のスペースは炭鉱住宅の室内を再現。映像を上映している
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旧浜松理容院「HAMAMATSU CAFE」で一休み

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映画ロケ時に出演者や撮影スタッフが訪れた古民家「旧浜松理容院」は2017年に全面改装、「ハママツカフェ」としてリニューアルされ、撮影当時の写真や資料が展示されています。また、スタッフが常駐し、最初に見学料金を支払う場所となっています。トイレもこちらで利用できます。

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券売機システムで、オリジナルコーヒーを中心に、夕張名物たんどらなどを味わうことができます。寄贈された高倉健さんと木造長屋の絵はカフェ内や施設内に掲げられています。

▼幸福のポスト
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カフェの入口脇には、黄色い丸型ポスト「幸福(しあわせ)のポスト」が建っています。もともと赤い丸型ポストを黄色く塗装したものですが、幸福のポストカードを販売(切手代込み370円)しており、大切な人にメッセージを書いてポストに投函することで送り届けてくれます。

▼周辺の道路沿いにも黄色いハンカチが掲げられている
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【補足】羽幌町焼尻島にも黄色いハンカチ?

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テレビドラマ版『幸福の黄色いハンカチ』は2011年10月10日に日本テレビ系列で全国放送されました。阿部寛さん、濱田岳さん、堀北真希さん、夏川結衣さんが出演し、同年7月下旬から8月上旬にかけて留萌管内羽幌町内各地で撮影が行われています。

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そのラストシーンは、沖合に浮かぶ焼尻島でした。黄色いハンカチがあったロケ地は焼尻島北西部の道幅が変わるところ。2015年までに黄色いハンカチや民家は撤去され、ロケ地であったことを示す看板だけが残されるようになりました。島民によれば、ハンカチをつけるも風で飛ばされ、テント布で作ってもまた風で飛ばされ、ついにはつけることもやめてしまったといいます。

施設情報:幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば

所在地:夕張市日吉5-1
問い合わせ:0123-57-7651(株式会社ネクスト夕張ハルクス)
営業時間:通常、4月25日から9月30日は9時~17時、10月1日~11月10日は9時~16時まで(最終入場は営業終了の30分前まで)※2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で10時オープンに変更されています。
見学料金:中学生以上550円、小学生以下300円
駐車場:20台
公式サイト

取材協力:株式会社ネクスト夕張ハルクス(幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば)

筆者について

編集部

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北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。