北海道民には馴染み深い「ヨーグルッペ」。優しい甘さと程良い酸味で大人から子どもまで楽しめる、乳酸菌飲料です。
ところでそのヨーグルッペを製造販売しているのは北海道日高乳業株式会社なのですが、実は南日本酪農協同株式会社という宮崎県にある会社も、同じ名前の乳酸菌飲料を製造販売しているのです。これは一体どういうことなのか、ふたつのヨーグルッペの謎に迫りました。
北海道産のヨーグルッペと宮崎産のヨーグルッペ
▼誰もが一度は飲んだことのある味
そもそもヨーグルッペという商品は、宮崎県の南日本酪農協同株式会社(以下南日本酪農)が1985(昭和60)年に販売したのがはじまりです。北海道日高乳業株式会社(以下日高乳業)がヨーグルッペを販売したのは、その数年後のこと。ということは、日高乳業がまさかの掟破りを? まさか、そんなはずはありません。そこにはごく単純明快な事情があったのです。
▼左が日高乳業、右が南日本酪農
日高乳業の工場は、もともとはネスレ日本のものでした。ところが1987(昭和62)年にネスレ日本が撤退することになり、南日本酪農が買い上げたのです。同年4月1日より日高乳業株式会社としてスタートし、1990(平成2年)に北海道日高乳業株式会社と名称が新しくなりました。つまり、社名は違えど母体は同じふたつの会社がそれぞれにヨーグルッペを製造販売しているということなのです。
▼大きなパックのヨーグルッペも
ちなみにふたつのヨーグルッペはパッケージも違いますが、原材料も少し異なります。南日本酪農が生乳と液糖を使用しているのに対し、日高乳業では北海道産の生乳とビートグラニュー糖を使用。そのため、飲み比べてみると微妙に味が違っています。南日本酪農は少しだけスッキリした後味で、日高乳業の方が少しだけ甘く感じられるのです。
ヨーグルッペの製造工程を見学
▼北海道日高乳業株式会社
さて、せっかくなので、ヨーグルッペを製造している工場にお邪魔して、見学させてもらいました。
▼新鮮な生乳を運ぶタンクローリー
先に述べたように、日高乳業のヨーグルッペには北海道産の生乳が使用されています。タンクローリーで運ばれてきた生乳は、検査室で検査を受けます。製品ができあがった後も、ここで検査します。
▼しっかりと検査される生乳
検査された生乳はストレージタンクに貯められた後、調合室で原料を投入されます。
▼生乳に原料が投入され、ブレンディングタンクへ
ブレンディングタンクからプレート式殺菌機に移され、殺菌されます。
▼プレート式殺菌機で殺菌
殺菌後は、アセプティックタンクへ。
▼なんと1万リットルも入るアセプティックタンク
アセプティック充填機で、無菌状態のまま充填していきます。
▼アセプティック充填機
ちなみに容器となる紙パックは、大きなロール状のものを裁断して形作っていきますが、そこに充填するまですべて無菌状態を保つことが可能です。
▼充填完了、ヨーグルッペの出来上がり
日高乳業のヨーグルッペは、こんなふうにして北海道各地へ届けられていきます。
▼箱詰めされたヨーグルッペ
ちなみに南日本酪農のヨーグルッペは全国各地で販売されている他、インターネットでも購入できるので、日高乳業のヨーグルッペと飲み比べてみるのも面白いものです。同時に飲み比べてみないと分からないほどの微妙な味の差ですが、ちょっとした雑学として誰かに教えたくなるかもしれません。