冬の北海道には、その時期にしか味わえない楽しみがいろいろあります。終日氷点下、大量の積雪、分厚い氷などなど、厳しい気象条件も逆手に取れば、必然的にアクティビティのバリエーションが広がるというわけです。
今回注目するのは、北海道上士幌町の糠平湖。冬には凍結するという湖面で、一体どんな楽しみ方が待っているのか、探ってみましょう。
湖面をただ歩くという冬ならではの体験
糠平湖は1955(昭和30)年にダム建設によってつくられた人造湖で、湖の周囲は34km、深さは70mもあります。この糠平湖が、冬になると分厚い氷に覆われ、その上を歩けるようになるというのです。大丈夫とは分かっていても、湖面を歩くなんて、それだけでちょっとドキドキする体験です。
▼湖面を歩いていくと、見えてくるのは……
糠平湖といえば、以前この北海道ファンマガジンでも取材したタウシュベツ川橋梁のあるところです。ただ朽ちていくのを見守ることしかできないのが現状の、タウシュベツ川橋梁。その姿は雪景色の中にあってさらに美しく、荘厳な佇まいで私たちを迎えてくれます。
▼冬のタウシュベツ川橋梁も見応え十分
厳しい自然環境に晒されて崩落していくタウシュベツ川橋梁に思いを馳せたら、今度は厳しい自然環境があるからこそ生まれてくる、ひとつの現象に目を向けてみましょう。
▼氷上に現れた巨大なきのこ!?
湖面を歩いていると、ちらほらと、巨大なきのこのようなものがあることに気づきます。よく見ると、切り株の上に傘のような形の氷が乗っているようです。
実はこれ、糠平湖名物の「きのこ氷」と呼ばれるもの。糠平湖の湖底にはダム建設時に伐採した樹木の切り株が数多く存在しており、湖の水位が下がる際、氷が切り株の上にそのまま残って、きのこのような形になるということです。まさに自然の織りなすオブジェというわけですね。
湖面に浮かぶカラフルなテントの正体とは
さて、湖面にはたくさんのカラフルな物体も見られます。
▼白銀の世界に浮かぶ色とりどりのあれは
近づいてみると、テントです。なぁんだテントか、と思ったものの、なぜ湖面にこれだけたくさんのテントが張られているのでしょうか。
▼テントの中を覗いてみましょう
実はこれ、ワカサギ釣りを楽しむ人たちのテントだったのです。この色とりどりのテントが並ぶ光景は、糠平湖の冬の風物詩。テントの中で暖を取りながら、みなさん思う存分に釣りを楽しまれているようです。ちなみにワカサギ釣りをするには釣魚料を支払う必要がありますのでご注意を。
▼この日の釣果に、お姉さんもニッコリ
いかがでしたか? ただ凍った湖面の上を歩くだけでも貴重な体験になりそうですが、そこにはいろいろな楽しみ方、そしてドラマがあるのです。
今回の取材時は残念ながら見ることができませんでしたが、運が良ければフロストフラワーと呼ばれる氷の花に出会えるかもしれません。また、もし湖面を歩くのが不安なら、ガイドツアーに参加するという方法もあります。
▼NPOひがし大雪自然ガイドセンター
下記の「NPOひがし大雪自然ガイドセンター」公式ページやFacebookをチェックすれば、さまざまなツアーや情報がゲットできるので、ぜひ参考にしてください。
最後に残念なお知らせですが、今冬(2017~2018)の糠平湖はすでに湖面が割れやすくなっており、湖面散歩もワカサギ釣りも終了しています。こちらの記事を読んで興味を持った方は、次のシーズンまでお待ちください。ただ、その前に春や夏の糠平湖を訪れるというのもおすすめです。季節によって異なる楽しみを味わうのもまた、自然に接することの醍醐味なのですから。
【動画】冬の糠平湖を歩いてみた