ウポポイ開業セレモニー開催―宇梶剛士さんAKB48坂口渚沙さんらが出演

アイヌ文化の復興に関する国内における中核的な役割を担う施設「民族共生象徴空間」(愛称:ウポポイ)が2020年7月12日(日)、白老町にオープンしました。当日はオープン前にウポポイPRアンバサダー、オフィシャルサポーターを招いての「ウポポイ オープニングセレモニー」、オープン後に体験交流ホールでスペシャルトークショーが開催されました。

開業が二回延期されたウポポイ

ウポポイは、「(大勢で)歌うこと」を意味するアイヌ語にちなみます。先住民族アイヌを主題とした日本初・道内唯一の国立博物館「国立アイヌ民族博物館」と、体験型フィールドミュージアム「国立民族共生公園」、慰霊施設から成っており、アイヌの文化を五感で感じることができるアイヌ文化復興・創造の拠点として整備されました。

開業日は当初2020年4月24日で進められましたが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、5月29日に延期。さらに7月12日に再延期となっていました。

一ヶ月前の6月には町民向けの内覧会、オープン直前の7月9日にはメディア向け内覧会が開催され、オープン前日の11日には政府関係者による開業式典が開催されていました。

ウポポイ オープニングセレモニー開催

そして、オープン当日の7月12日。

「いざないの回廊」付近で8時30分過ぎに始まった公益財団法人アイヌ民族文化財団主催の開業記念オープニングセレモニーでは、ウポポイPRアンバサダーに就任した俳優 宇梶剛士さん、AKB48 Team8北海道代表の坂口渚沙さん、開業日にウポポイオフィシャルサポーターに就任した演劇ユニットTEAM NACSから森崎博之さんと戸次重幸さんが出演しました。

セレモニーにはこの他、主催者関係者、国関係者、自治体関係者、アイヌの代表の方などが出席。最後にはテープカットとカウントダウンを実施しました。各出演者の挨拶の一部は次の通りです。

【映像】開業記念オープニングセレモニーほぼノーカット版

刀禰俊哉 内閣官房アイヌ総合政策室長


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「開業は延期されたが、北海道が緑豊かな季節になるこのタイミングで開業できたことを嬉しく思っている。国内外の多くの方々に愛される施設になることを祈念する」

公益財団法人アイヌ民族文化財団 常本照樹理事長


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「ウポポイは国民のアイヌ文化に向けた理解を一層深め、民族共生社会の実現に資する重要な役割を担うと考えている。台湾、ハワイの関係諸国、地域との連携を深めながらその重要な役割を果たしていきたい」

公益社団法人北海道アイヌ協会 加藤忠常務理事


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「アイヌには寛容の精神のもとで争いのない中で続いてきた民族もある。対話と交流を通してウポポイができたと信じている。博物館でそのことを示す展示物を見ていただきたい」

鈴木直道 北海道知事


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「全国のアイヌの皆さんにとって、地元地域、北海道にとって大切な施設。自然豊かな中でアイヌの歴史・文化を触れ体験し、白老町、胆振、北海道を巡って魅力を楽しんで頂くきっかけにもなる。皆さんの力で大切に育てて、多くの人に愛され末永く親しまれる施設にしてまいりたい」

戸田安彦 白老町長


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「ウポポイとともに白老町からアイヌ文化を世界に発信していきたいので、皆さんのご支援をお願いしたい」

ウポポイPRアンバサダー 俳優 宇梶剛士さん


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「胸に爽やかな空気が吹き込んでいる。アイヌ民族の心、豊かな歴史、受難の歴史もあったが、そういうことをここで学び知っていただくことで、未来に向けて、地球は丸いので優しさが、ものを大切にする、認め合う心がここを拠点にじわーっと世界中に広まってくれたらいいなと思う」

ウポポイPRアンバサダー AKB48 Team8北海道代表 坂口渚沙さん


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「今日からはPRアンバサダーとして、自分なりにウポポイを全世界に発信していきたい」

ウポポイオフィシャルサポーター TEAM NACS 森崎博之さん


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「安田顕とテレビ番組の事前取材でいろいろな体験をさせていただいた。どれも愉快に歴史・文化・先人たちの偉業を学べる空間だなと思っており、はやく一お客さんとして小学生の息子と訪れて共に学びたい。ウポポイは今日からずっとここにある。いつまでもきっとここにある。北海道はずっと皆様のお越しをお待ちしております。新しい施設におでかけください」

ウポポイオフィシャルサポーター TEAM NACS 戸次重幸さん


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

「リーダーが長い挨拶をしてしまったので手短に(笑)。この大変な状況下ではあるが、この日を迎えられることを喜ばしく思う」

各出演者が挨拶した後、カウントダウンおよびテープカットが行われました。また、オープン直後は、出演者が総出で来場者を出迎えました。


ウポポイ オープニングセレモニー(オフィシャル提供)

▼オープン直後、出演者たちが来場者を出迎えた(オフィシャル提供)

体験交流ホールでスペシャルトークショー開催

新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、入場者数を制限してオープンしたウポポイ。多くの体験プログラム実施を当面の間は取りやめている状況ですが、予約した来場者が列を作る姿が見られました。

▼野外ステージでは来場客がソーシャルディスタンスを保ちつつ舞台を鑑賞した

ウポポイPRアンバサダーである宇梶剛士さん、坂口渚沙さん、ウポポイオフィシャルサポーターTEAM NACSの森崎博之さんと戸次重幸さんによるスペシャルトークショーも11時30分から体験交流ホールで行われ、一般入場整理券は新型コロナウイルス対応の関係から132枚限定で配布されました。

スペシャルトークでは、ウポポイ開業の日を迎えての気持ちや、ウポポイへの期待、アイヌ文化への思いのほか、マキリの話などディープな話も展開されました。また、ウポポイやアイヌ語に関するクイズも行われました。各出演者4名のコメントは下記のとおりです。

▼体験交流ホールで行われたスペシャルトークショーの様子(オフィシャル提供)

【映像】スペシャルトークショー(ノーカット版)

ウポポイPRアンバサダー 俳優 宇梶剛士さん

「さっきまでいよいよという気持ちで足を踏み入れたが、不思議なものでいよいよというよりこれからという気持ちになっていることに気づいた。PRイベントではウポポイのこと、僕自身がアイヌ民族の血を引いているのでそのことを話したら、へぇーとはふーんとかおーとか感じてもらえた」

「アイヌ民族はいきものや人間、自然だけではなく身の回りにあるものをカムイにして大切にしている。現代人は街に住んでいる人が多いが飛行機代などをかけて出かけてくるのが自然。それくらい自然にふれあいたいと思うもの。人類の心が柔らかく生きるために自然を大切にしていくべきだと思うが、アイヌはその点で出発点にもなっているので、アイヌ文化を知っていただいて、自然、人、いきもの、身の回りのものへの感謝、大切にする気持ちが広まってくれたら地球が居心地良くなるんじゃないかなと思っている」

▼開業に合わせて作ってもらったというアットゥシを着用して登場した宇梶剛士さん(オフィシャル提供)

ウポポイPRアンバサダー AKB48 Team8北海道代表 坂口渚沙さん

「2年はあっという間だったなという気持ち。道内はもちろん、遠くは沖縄・福岡などでPRイベントに出演させていただいたが、出演のたびにアイヌ文化について知らなかった方々が興味を持ってウポポイに行ってみたいと思っている姿を見ることができて嬉しかった。自分自身も今まで知らなかったアイヌ文化を知る機会が増えたので勉強になった。ムックリを弾かせてもらったり、アイヌ文様の入った服を着ることができて楽しかった」

「アイヌ古式舞踊を見ていると、みんな楽しそうに輪になって歌いながら踊りながらというのを見て素敵な文化だと感じた。踊りにも意味があると知らなかったので、知れば知るほど奥深くて良い」

▼アイヌ語クイズ問題「ミナ」のヒントでポーズを取る坂口渚沙さん(オフィシャル提供)

ウポポイオフィシャルサポーター TEAM NACS 森崎博之さん

「ウポポイは北海道を代表する施設になるはずですし、北海道といえばウポポイだよという施設になる。TEAM NACSも負けないように頑張っていきたい。事前にテレビ取材で体験させてもらったが、おじさん二人でムックリ演奏したり、アイヌ文様掘ったり、きゃーきゃー言いながら楽しませてもらった。20年ぶりにムックリを鳴らしてみようと強く引っ張ったらバキッて折れて壊れた(笑)」

「当たり前の自然を感謝する先人の教え、考え方、生き方は素晴らしい。こういうご時世だからこそそうしたものへ感謝する気持ちをウポポイから学び取りたい。ウポポイのおすすめはいっぱいあるが、チセ(を模したもの)はぜひ行ってもらいたい」

▼テレビ取材でウポポイを体験した話をするTEAM NACS森崎博之さん(オフィシャル提供)

ウポポイオフィシャルサポーター TEAM NACS 戸次重幸さん

「2年も前から頑張っているお二方に負けないくらいPR、応援していきたい。『ゴールデンカムイ』にはまっていてアイヌ文化に興味があった。今一番食べたいのはチタタプ。ヒンナヒンナ言いながら食べたい。オソマ(味噌)入れてね。一番やりたいのは狩り。やじりにトリカブトの毒をつけてヒグマを撃ってそれを食べたい(笑)」

▼『ゴールデンカムイ』からアイヌの知識を披露するTEAM NACS戸次重幸さん(オフィシャル提供)

また開業日には、ウポポイ公式サイトへのアクセスが集中し、接続できない状況が続きました。ウポポイへの関心の高さを伺わせます。

なお、ウポポイ(民族共生象徴空間)の見どころや楽しみ方については、メディア内覧会の模様とともにこちらの記事で紹介していますので、ご覧ください。

ウポポイ(民族共生象徴空間)が白老町にオープン!その全貌を紹介します