鶴が体を癒していたから鶴の湯温泉?道内で2番目に古い安平町の温泉

千歳から室蘭を結んでいる国道36号線を千歳方面から南下し、美沢交差点で左折。道道10号線に入り、安平町方面に7kmほど走った南側に、ぽつりと1軒だけ温泉があることをご存じでしょうか? 実はこの温泉、北海道で2番目に古い温泉と言われています。気になったので、その温泉に寄ってきました。

鶴が体を癒した霊泉

▼道道10号線沿いにある鶴の湯温泉の入口

源泉が見つかったのは1871(明治4)年。放牧馬を監視に来た牧夫が、ここにある泉で鶴が傷を癒しているのを見ました。それを聞いた井上利三郎氏が、怪我をした人や家畜をこの泉で湯浴みさせてみると、疾病が治ったことで、ここが霊泉であることに気づいたのです。

開湯は1902(明治35)年、鶴に教えられたことから「ツルの温泉」と名付けられました。そして、そのことが広く道内に知れわたり「鶴の湯温泉」と呼ばれるようになりました。

▼かなり古い時代の鶴の湯温泉の写真。いつ撮られた写真かはわかってないのだそう(写真提供:鶴の湯温泉)

鶴の湯温泉の温泉質は、冷泉含硫黄ナトリウム炭酸水素塩泉。泉温が14.5度の鉱泉です。うっすらと茶褐色がかったお湯は、入ってみると少しの滑りがあり、体を優しく包み込んでくれるようです。お湯から出ると、体がすべすべした感じになり、湯冷めしません。

脱衣所に貼られている温泉分析書を見てみると適応症欄には、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、うちみ、くじき、慢性皮膚病、疲労回復、きりきず、やけどなどが書かれています。スタッフにお聞きすると「アトピーに効く」と言われるお客さんが多いということでした。

▼湯気で見えづらいですが、鶴のオブジェが湯船に

四季を楽しめる庭園としても

実はこの鶴の湯温泉、楽しめるのは温泉だけではありません。約5千坪ある敷地は、庭園になっていて、春にはエゾヤマザクラや紫ツツジ、夏にはアヤメや花菖蒲や睡蓮が咲きほこり、秋には紅葉が美しく、冬には北海道の閑静な深山の雰囲気を味わうことができます。

▼広い敷地は庭園になっていて四季を感じることができる

特に、8月中旬には池一面に蓮の花が咲き誇ることで有名です。

▼庭園にある池を埋め尽くす蓮の花(写真提供:鶴の湯温泉)

ゆっくりと体を休めたい人のために、宿泊できるお部屋も用意されています。なんと素泊まりなら4,800円で泊まれるのが嬉しいところです。

▼お部屋タイプは広さによって2種類準備されている。写真は広いお部屋

もちろん食事するところもありますので、お風呂に入るだけでなく、庭園を散歩したり、食事をしたりしながらゆっくりと1日を楽しむことができます。食事ができるレストランは「旬処わがや」といい、いちばん人気のメニューをお聞きすると、サーモンステーキ定食だと教えてくれました。

▼人気のサーモンステーキ定食は1,000円

千歳空港まで車で20分ほどの距離にあり、飛行機搭乗までの時間調整にも便利です。最近はやりのスーパー銭湯のように、露天風呂があるわけでもジェットバスがあるわけでもなく、だからこそただシンプルにお湯を楽しむことのできる鶴の湯温泉。歴史のある温泉に浸かりながら、ゆっくり骨休めをしてみてはいかがでしょうか。

鶴の湯温泉
所在地:北海道勇払郡安平町早来北町5番地
電話:0145-26-2211
営業時間:10時~21時
休業日:水曜日(水曜日が祝祭日の場合は翌日)
入浴料金:大人(中学生以上)500円、子ども(3歳から小学校6年生まで)300円
公式サイト

旬処わがや
営業時間: 平日 11時30~14時、17時~20時(L.O.19時45分)
土・日・祝 11時30分~20時(L.O.19時45分)