「十勝あんこ協会」お墨付き! 帯広でおすすめのあんこスイーツ7選

2019年度前期のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場したお菓子「おバタ餡サンド」に似ていることから、十勝の菓子店「柳月」の、十勝産小豆のあんと道産の発酵バターをサブレで挟んだ「あんバタサン」の人気が沸騰。いまだ、午前中に完売という状態が続いているようです。

そもそも、十勝は小豆の大産地。十勝が誇る「あんこの名菓」は1つや2つに留まりません。そこで、「十勝あんこ協会」お墨付の逸品を公開。和菓子系からパンやピザまで、協会の会長で「あんこ大使」を自称する谷藤英子さん一押し、帯広市内のあんこスイーツ7選を紹介します。

「十勝あんこ」のおいしさを多くの人に伝え届けたい

小豆の生産量が全国の9割を占める北海道。その大半は十勝で生産されています。小豆といえば、和菓子に欠かせないあんこの材料。十勝産小豆でつくるあんこは風味が豊かで舌触りがよく、そのクオリティの高さが十勝をスイーツ大国たらしめる理由の1つと言っていいでしょう。

ところが、当の地元には「十勝あんこ」の実力をあまり意識していない人もいるようです。あんこ大使の谷藤さん自身が、その一人でした。

「私は祖母や母が家でつくるおはぎやお汁粉を食べて育ちました。子どもの頃から十勝産小豆のあんこを食べ慣れているため、その味がスタンダードになっています。私にとってあんこは、おいしくて当たり前のものだったんです。でも、必ずしもそうではないんですね。道外の観光地で和菓子を買い、黒くてただ甘いだけのあんこに唖然としたことがありました。その時に改めて気づいたんです。十勝産小豆のあんこが、いかにおいしいかということに」

「とかち観光大使」でもある谷藤さんはその後、あんこの未来に危機感を抱きます。子どもたちの間で「あんこ離れ」が始まっていることを知ったからです。

「子どもたちが外国産の小豆やあんこを食べて“おいしくない”と感じ、あんこが嫌いになっていると、パンの製造販売に携わる方から聞きました。十勝の農家さんが自信と誇りを持って小豆を生産する一方で、あんこ離れが起きているとは。あんこのおいしさを知らない子どもが増えていくと、今後さらに消費が落ちるおそれがあります。あんこを食べる人が少なければ、十勝で小豆の栽培を手がける生産者も減っていくかもしれません。私は十勝の小豆を、ずっと地元の宝として誇っていたい。子どもたちのあんこ離れを食い止めなければ。強くそう思いました」

▼十勝あんこ協会を立ち上げた3人。左から鹿島広美さん(事務局長)、谷藤英子さん(会長)、伊藤みどりさん(専務理事)

使命感に駆られた谷藤さんは友人の伊藤みどりさんと鹿嶋広美さんに声をかけ、さっそく3人で行動を起こします。

――十勝の土地が育んだ小豆からつくられる安心で安全なあんこを知ってもらうために、あんこ愛を伝え届ける活動を始めます――

2019年7月23日に「十勝あんこ協会」を発足し、Facebookでそう宣言したのです。

「あんこ嫌いの子どもたちも、十勝産小豆のあんこならきっと、おいしいと感じるはずです。あんこが十勝の味として受け継がれていくことを願い、食育の一環として子どもたちにおいしいあんこを食べる機会を作ってあげられたら。あんこを通して多くの人にほっこり笑顔になってもらいたい。そんな思いから、十勝あんこ協会を立ち上げました。私たちは生産者でも小豆を扱う業者でもありません。だから『誰にもどこにも言われていないのに、十勝のあんこを勝手に応援していくんです』と公言しています(笑)」

イメージキャラクターも誕生し、積極的にイベント展開

▼初イベント「十勝あんこ姫コンテスト&着物ドレスショー」であんこ姫を選出

十勝あんこ協会は設立から3カ月後の10月22日、初のイベント「十勝あんこ姫コンテスト&着物ドレスショー」を帯広市内で開きました。「次代につないでいきたい日本の伝統として、あんこと着物には共通点がある」と考え、企画したといいます。このイベントに合わせ、協会のイメージキャラクター「あんこりん」のバッヂも製作しました。

▼協会のイメージキャラクター「あんこりん」

「十勝あんこ姫コンテスト」では、エントリーした3~8歳の女の子7人から、十勝っ子の山口芙有佳ちゃんを初代「あんこ姫」に選出。入賞した6人を「あずきちゃん」とすることに。あんこ姫と小豆ちゃんには1年間、十勝あんこ協会の㏚活動に可能な範囲で協力してもらうそうです。

2020年も引き続き「3人で十勝のあんこを勝手に㏚していく」とのことで、1月31日~2月4日に帯広の藤丸百貨店で開かれた食のイベント「とかちふゆぞらグルメ」に「あんこりんカフェ」を出店。また、会場の特設ステージであんこ姫とあずきちゃんのキャットウォークを披露したほか、バレエ&ダンス内杉のインストラクター内杉早苗さん振り付けによる「あんこりん体操」を初公開し、ゲストを招いてあんこトークも繰り広げました。

▼あんこ姫と小豆ちゃんによる「あんこりん体操」のお披露目

とにかくあんこが好き。あんこのおいしさを伝えることが楽しくてたまらない――。ワーキングミセス3人のあんこ愛が、イベントを通して強力に伝わってきます。今後はどのような活動に取り組んでいくのでしょう。

「十勝の小豆生産者を訪ねたり、あんこのおいしいお店を発掘したり、ミドル世代の私たちの視点で活動し、発信していこうと思っています。いずれはキャンディーズならぬ“あんでぃーず”として、十勝あんこを広める全国ツアーができたらなと(笑)。3人の中では夢が広がっています」

十勝あんこ協会会長もファンの「おいしいあんこ」7選

では、あんこ大使の谷藤さんが愛す帯広の「あんこの名品」をご紹介しましょう。

高橋まんじゅう屋の「大判焼」――塩味の効いた粒あんがたっぷり

▼地元で「たかまん」と呼ばれ親しまれる「高橋まんじゅう屋」

「高橋冷菓店」の名で1954年に創業。45年ほど前に商品を「大判焼」「むしパン」「肉まん」「ソフトクリーム」に転換したのを機に、それまで大判焼を「大判饅頭」として販売していたことから現在の店名に。地元民から「たかまん」と呼ばれ、愛され続けています。

一番人気はもちろん大判焼。あんとチーズの2種類あり、時を経ても変わらぬおいしさを求めて人が切れ間なく来店します。3代目店主の高橋道明さんが1日に1000個以上、多い時には2000個焼くというから、その愛されぶりは推して知るべしでしょう。

▼多い時で2000個も焼くという大判焼

▼「大判焼」はあん、チーズ共に120円とリーズナブル

大判焼の中身は粒あん。札幌の製餡所が十勝産小豆でつくる生あんを使用し、初代が決めた砂糖、塩、水の配分を守り、仕上げています。

「子どもの頃、たかまんさんから程近い場所に住んでいたので、学校から帰るとよく買いに行っていました。大判焼は甘めの生地と、甘さの中に塩味を効かせたあんこのハーモニーが絶妙。私にとって、何十年来の馴染みの味です」(谷藤さん)

高橋まんじゅう屋
所在地:帯広市東1条南5丁目19
電話:0155-23-1421
営業時間:9時~18時
定休日:水曜 

エブリシング・ノースの「十勝あんフランス」――パンの塩気で粒あんが一層おいしく

▼エブリシング・ノースのパンコーナー

森のスパリゾート北海道ホテルの館内ショップ「エブリシング・ノース」。プライベートブランド商品や道内の造形作家作品もさることながら、小麦やバターなど十勝産の素材を使い職人が丁寧に焼き上げるパンは、宿泊客のみならず多くの地元ファンを獲得しています。

パン好きの谷藤さんもしばしば訪れるそうで、お気に入りのひとつが「十勝あんフランス」。常に人気ベスト5に入るというロングラン商品です。

▼フランスパンの中に粒あんが贅沢に詰まっている「十勝あんフランス」

「フランスパンとあんこの組み合わせが十勝ならでは。フランスパンに塩気があるから、十勝産小豆の粒あんのおいしさがより引き立つんでしょうね。パンの中に粒あんがたっぷり入っていて、嬉しいほどの満足感が味わえます」(谷藤さん)

十勝あんフランスの焼き上がり時間は午前9時30分頃。売切れもあり得るため、早めの来店が正解かもしれません。

▼「桜黒ごまあんぱん」も人気

エブリシング・ノース
所在地:帯広市西7条南19丁目1
電話:0155-21-0001 
営業時間:9時~19時
定休日:なし
公式サイト

竹屋製菓の「そばやき」――そばの風味とあんの優しい甘みが上品

▼「そばやき」の名が掲げられる竹屋製菓

1925年創業。職人の手作業による昔ながらの製法と味を、3代にわたって受け継ぐ老舗菓子店です。

50年ほど前に初代の「他にはないお菓子を作りたい」との思いから生まれた「そばやき」は、小麦粉などのつなぎを一切使っていないそば粉100%の和菓子です。独自の製法でサクッと焼き上げた生地の中には、十勝産の小豆あんともちもちの求肥。口に入れるとほろりと崩れ、そばの風味がほのかに広がります。

▼3代目の鈴木培弘さん。看板商品の「そばやき」は1本780円

3代目の鈴木培弘さんに聞くと「あんこは旭川の製餡所に十勝産の小豆で作ってもらっている」とのこと。小豆と砂糖の配分やあんの硬さに関しても、「竹屋の味」に則り指定しているといいます。

▼粒あんと求肥をそば粉100%の生地で包んで焼き上げる

▼薄いパイ生地の中に粒あんがたっぷり詰まった「豆太郎」は1個120円

「粒あんの優しい甘さが上品。生地は表面がサクッとしていながら、中はしっとりとした食感です。竹屋さんのそばやきも小さい頃から食べていましたが、子どもにはちょっと難しい味だったかもしれません。そばやきのおいしさは大人になってわかる気がします。竹屋さんのお菓子では『豆太郎』もおすすめ。しっとりした粒あんをバター風味の生地で包んだパイ饅頭です。一口食べた瞬間、思わず笑顔になります」(谷藤さん)

竹屋製菓
所在地:帯広市東8条南7丁目19
電話:0155-23-1758
営業時間:9時~17時
定休日:日曜
公式サイト

華どら秀月の「どら焼き」――店内で仕込む自家製のあんこが魅力

▼おしゃれな店構えの華どら秀月

十勝産の小豆を使い3日間かけて手作りする自家製あんが自慢のどら焼き専門店です。「小倉あん」や「黒みつきなこ」「生大福」などのあんこ系が7種類、「キャラメルカスタード」「生チョコバナナ」といった創作系が11種類と、全18種類ものどら焼きが並んでいます。

▼どら焼きに使用するあんこは店主の追田さんが3日かけてつくっている

「先代である義父がつくるあんこのおいしさに感動した」と話す店主の追田靖さんが、製パン業界から身を転じて秀月を受け継いだのは2015年。「先代の味を守るのは当然のこと」との心意気を胸に、店内で自ら小豆を煮てあんこをつくっています。

▼粒あんとホイップクリーム、求肥を挟んだ「生大福」は190円

「一番のおすすめは、何といっても生大福です。粒あんとホイップクリームは私の中で黄金の組み合わせ。そこに求肥が加わることで、大福とどら焼きが一度に味わえて贅沢感が倍増します。あんこの硬さと生地の厚さも私好みです」(谷藤さん)

華どら秀月には、レギュラー18種類の他に季節限定のどら焼きも。春先からは、あんこ入りの「桜餅どら焼き」が登場する予定です。

▼定番から創作系まで、どら焼きは18種類

▼粒あんとバターをしょう油入りの生地で挟んだ「バター醤油」は人気№2

華どら秀月
所在地:帯広市東6条南5丁目18
電話:0155-20-7711
営業時間:10時~19時
定休日:日曜・祝日

たいやき工房 広小路店の「たい焼き」――小豆に小麦、素材は全て十勝産

▼市内3店舗目となる「たいやき工房 広小路店」

2018年に広小路商店街にオープン。帯広で3店目となる「たいやき工房」の街中店舗です。十勝産小豆の粒あんをたっぷり入れてパリッと焼き上げる王道のたい焼きを味わえます。

生地に使用している小麦とふすま、きな粉、粒あんに入れるビート糖など、小豆以外の材料もオール十勝産。地元の素材を結集したヘルシーなたい焼きです。

▼粒あん入りの王道たい焼きは140円。羽根つきと羽根なしを選ぶことができる

「あんこは甘さが控えめで、皮は薄くてサクサクです。あんこがぎっしり詰まっていて、頭から尾の先までおいしくいただけます」(谷藤さん)

広小路店にはイートインスペースもあるので、街中でたい焼きとお茶でほっと一息つくこともできます。もちろん、テイクアウトもOKです。

▼たい焼き屋には珍しいイートインスペースも

ちなみに、後から訪れる誰かのために食事代を先払いする「ゴチメシ」で話題の食堂「結YUI」代表の本間辰郎さんが運営に携わっており、広小路店でも「ゴチ鯛焼」を実施しています。

たいやき工房 広小路店
所在地:帯広市西1条南8丁目20
電話:0155-66-6689
営業時間:10時~20時
定休日:なし

カフェ坩堝の「ぜんざい」――あんこ好きが喜ぶラインナップ

▼あんこメニューが豊富な「カフェ坩堝」

あんこメニューが充実している一軒家のカフェ。十勝あんこ協会専務理事の伊藤さんおすすめの1店です。

「ぜんざいの種類がとにかく豊富。抹茶やイチゴ、アイスなどのトッピングが小豆のおいしさを再発見させてくれて、食べていると楽しくなってきます。他に、粒あんを添えたパフェやあんみつも見逃せません」(伊藤さん)

▼「抹茶白玉ぜんざい」。「抹茶をかける前に小豆を味わって」と伊藤さん

▼小豆にイチゴのコールドコンフィチュールをかけた「いちご白玉ぜんざい」

▼抹茶やほうじ茶などの寒天、バニラアイス、たっぷりの粒あんに黒みつを添えた「クリームあんみつ」

ぜんざいは白玉入りの温かいものが3種類、アイスがのった冷たいものが4種類。それにしてもなぜ、カフェがこれほどあんこメニューに力を入れているのでしょう。

オーナーの鎌田祐佳さんはこう話します。「お店を開いたのが11年前。当時は帯広に甘味処がなく、自分が喫茶店を始めたあかつきには絶対にぜんざいを提供したいと思っていたんです」。

聞けば、帯広市内の十勝とやま農場から小豆を直に仕入れ、自身で煮ているといいます。「まずは、小豆の風味と旨みをしっかり味わってみて」とは、伊藤さんからのアドバイスです。

▼あんこなどの甘味が食べられるカフェにしたかったと話す店主の鎌田さん

▼和洋折衷の大正ロマンをイメージしたという店内

カフェ坩堝
所在地:帯広市西16条南36丁目1
電話:0155-67-4262
営業時間:11時~17時、18時~24時
定休日:月曜(夜のみ月・火曜定休)
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カチバルの「ドルチェピザ」――生地の上に広がる甘みのハーモニーが絶品

▼カチバル店内

十勝の食材にこだわるナポリ風ピザの専門店。定番のマルゲリータから、十勝管内各市町村の特産品を使った月替わりメニューまで、20種類以上の本格ピザを堪能できます。

スイーツ感覚のドルチェピザは5種類。その中で注目なのが「あずき黒蜜きなこ」です。生地には十勝産小麦「春よ恋」を使用。小豆ももちろん十勝産です。

▼一押しのドルチェピザ「あずき黒蜜きなこ」は通常の半分サイズの生地に粒あんとホイップクリーム、アイス。「まずは黒みつなしで」と谷藤さん

「十勝らしいピザを提供したくて考えました。チーズのピザの食後に、デザート感覚でシェアして食べるパターンが多いですね」と、店主の田畑正仁さん。小豆、アイスクリーム、ホイップクリーム、黒みつ、きな粉の組み合わせは、女性スタッフのアイデアによるものだそうです。

「このトッピングは幸せ以外の何物でもないですね(笑)。スイーツのコンビネーションと塩気のあるもちもちの生地がたまりません。トッピングの黒みつをかけると、ひと味違うおいしさが楽しめます。

田畑さんはチーズづくりから手がけるピザ屋を目指しているとか。いつかチーズ&あんこのピザが登場するかもしれません。待ち遠しいです」(谷藤さん)

▼ピザ専門店で味わうあんこもオツ

カチバル
所在地:帯広市公園東町1-6-3 地下1階
電話:0155-67-0407
営業時間:11時30分~14時、17時30分~22時
定休日:月曜・第1火曜(祝日の場合は翌日)
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十勝あんこ協会事務局
電話:090-3468-3240
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北洋銀行帯広南支店(オビヒロミナミシテン)

所在地:帯広市西5条南21丁目1番地
電話:0155-22-5155