地下鉄の終着(終点)駅には、終点なのにそこで線路が途切れず、さらに奥に入って行く線路があります。奥を覗いてみても、奥深く真っ暗なので何があるのかわかりません。工場? それとも秘密基地? 気になってしかたありません。
そこで、これまで何度もご協力をいただいている札幌市交通局にお願いして、東豊線栄町駅の奥を見せていただきました。(札幌市営地下鉄特集はこちら)
終着駅の奥にある留置線
終点駅の奥にある線路を「留置線」と言います。その名の通り、列車を留置するための施設になるのですが、駅によって違いがあります。
▼栄町駅の留置線はこんな感じ
▼反対側を写すとこんな感じ
留置線は、朝夕のラッシュが終わったあと、列車の本数を調整するために一部の列車を留置するときや、営業終了後、翌日の営業時間までの間、車両を留置するときに利用されます。今回お邪魔した栄町駅には、6本の車両が停められるだけのスペースがありました。
▼ラッシュが終わり次の出番まで休憩する東豊線の車両
新さっぽろ駅や栄町駅では、列車の折り返しにも利用しています。その場合は「留置線」ではなく「引き込み線」と言うこともあるのだそうです。
また、栄町駅の一部の留置線には、何か問題が発生した時に車両を点検するための機能があるため「検車線」と言うことも。その時によって呼び方が変わるのですね。
▼車両の下に潜れるようになっている栄町駅の留置線(検車線)
▼車両の下に潜って点検できる
▼東豊線車両を下から撮影させてもらった
先ほど説明した、列車の折り返しに関してですが、栄町駅や新さっぽろ駅では到着した列車が引き込み線に入って折り返しますが、麻生駅や真駒内駅、宮の沢駅、福住駅では、引き込み線に入らず、ホームで折り返します。
ここでちょっと豆知識! 引き込み線に入って折り返すことを「後取り(あとどり)」、引き込み線に入らずホームで折り返すことを「前取り(まえどり)」と言うのだそうです。「麻生駅は前取りだから到着した列車に乗り込んでもいいんだぜ」なんて使い方ができるってわけです。えっへん。
留置線に向かう専用通路で驚いたこと
さて、この留置線ですが、専用の通路を使って行き来します。駅に鍵のかかった扉があり、そこからその通路に出られるのです。筆者もその通路を通らせていただきました。
扉を開けると、想像以上にかなり長い通路が。夏でもちょっと寒く、ぞくぞくっとする通路です。そしてかなり湿っぽい。お聞きすると、夏の間は湿度が高く、通路に霧がかかることがあるのだそうです。
▼先の方がぼやけているのはうっすらと霧がかかっているから
長い通路をきょろきょろしながら歩いていると驚くものを見つけました。それは、まっ白い突起物。5mmとか10mmとか、それほど大きなものではありませんが、あちこちにあるからいったい何なんだろうとじっくり見てみると……。コンクリートの成分が溶けて固まったものだということがわかりました。
▼ところどころにある白いツララ状のもの
これっていわゆる鍾乳石ですよね。さすがに石筍とか石柱はありませんでしたが。10万年後には鍾乳洞になっているのでは、なんて思ってしまいました。
▼よく見ると天井には水滴がたくさん、そして鍾乳石っぽいツララが
これで、札幌市営地下鉄の疑問がまたひとつ解明しました。札幌市交通局の皆さん、お忙しいところありがとうございました。
【映像】東豊線栄町駅の留置線に潜入!