農業王国、酪農王国北海道。収穫量日本一を誇るものは数多くありますが、中でもそばが日本一というのは意外と感じる人も多いのではないでしょうか。実は、全国で収穫されるそばの約4割を北海道が占めているのです。そこで今回は、そばの名店をひとつご紹介。しかもちょっと変わり種メニューをピックアップしてみました。
そばの魅力は啜るだけにあらず
今回訪れたのは「そば処そば扇」(以降そば扇)。旭川市高砂台の和風旅館扇松園にあるそば処です。シンプルでモダンな店内でおいしいそばを食べられると評判です。
▼テーブル席だけでなく、小上がりも
そば扇で使っているのは幌加内産と江丹別産のそば粉。そばはお店で毎日打っています。幌加内産と江丹別産は日によって変えるそうで、どちらを使っているかは入口にあるのぼりで分かるようにしているのだとか。ちなみに筆者がお邪魔した日は江丹別産のそばでした。
いちばんよく出ているメニューをお聞きすると天ざる(税込1,460円)だそうですが、ここはそばを使った変わり種メニューが豊富なことで有名なお店。ちょっと変わったメニューを注文してみました。
■揚げそば 1,080円(税込)
紅とろ鮭とそばを海苔で巻き、衣を付けて天ぷらのように揚げたものです。温かいそばつゆをかけ、大根おろしや生姜、ネギといった薬味をつけていただきます。紅とろ鮭の塩分とそばつゆの甘辛さが絶妙のバランス。加えて、さくっとした食感も楽しい一品です。
■そば寿司 1,100円(税込)
茹でたそばを甘酢に漬け込み、それを海苔で巻いたお寿司です。中心には紅ショウガ、錦糸卵、大葉が入っています。……と、そんな説明を聞いても、きっと想像するのは難しいでしょう。食べてみるとさらに驚き。そばと甘酢の相性は抜群で、醤油を付ける必要はありません。提供するまでに30~40分ほどかかるので、時間に余裕を持って注文してください。
■そばがき 830円(税込)
工場直送の挽きたてのそば粉を使ったそばがきです。そばがきには、そば粉に熱湯を注いでかき混ぜて作る「椀がき」と、鍋にそば粉を入れ水で溶き、それを火に掛けながら練っていく「鍋がき」の2種類がありますが、そば扇のそばがきは「鍋がき」です。そば味噌と生醤油が準備されており、それをつけて食べます。まさにそばの味がわかる一品。注文を受けてから作るので、注文時に幌加内産か江丹別産を選ぶことができます。
ここでしか飲めない「そばびーる」
そば扇に来たらぜひ飲んでいただきたいのが「扇松園オリジナル新そばびーる」です。そばの産地として名高い幌加内の人が、そばで何か作れないかということで作ったビールなのだとか。そば粉が入っていて、コクと甘さがあり、まったりとした口当たりの飲みやすさが特長です。ビール嫌いの人が「これはおいしい」と、わざわざこのビールを飲みにやってくるそうです。新そばのシーズン10月から1月末頃までの限定商品です。
▼そば扇のある和風旅館扇松園
いろいろと珍しいメニューや限定ビールを紹介してきましたが、こうした大胆な試みが成功しているのも基本のそばがおいしいからこそ。北海道のそばのおいしさをさまざまな楽しみ方で堪能してみてはいかがでしょうか。