苫小牧の巨大セットで撮影! 壮大なスケールで描く映画『のぼうの城』

邦画史上最大級のスケールで描く戦国映画が2012年11月2日に待望のロードショーとなる。165万部突破の大ベストセラー作品『のぼうの城』の待望の映画化である。400年前の史実に基づいた物語は、苫小牧市に建設された巨大ロケセットに日本を代表する豪華キャスト陣を迎え、異例のダブル監督によって撮影された。その規模ゆえに、邦画史上最大級の戦国エンターテイメント映画との呼び声も高い。そこで今回は、間接的に北海道映画といえる同作品の魅力、そして苫小牧ロケの様子を紹介する。(写真は (C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ)

映画『のぼうの城』とは



『のぼうの城』は、400年前の戦国時代が舞台。歴史上、あの豊臣秀吉が唯一落とせない城があったという。その名は「忍城(おしじょう)」。総大将は才能も勇気もないが人気だけはある”(でく)のぼう様”、軍勢はわずか500人だった。豊臣秀吉の命を受けた石田三成率いる2万の大軍に包囲され、城ごと水没させる水攻めで追い詰められた時、自分を慕う民を守るため”のぼう様”が打って出た驚愕の奇策とは?



脚本は、脚本家の登竜門と言われる城戸賞を2003年に受賞した和田竜氏のオリジナル。それをもとに書き下ろした小説「のぼうの城」は、2008年の第139回直木賞にノミネート、2009年の本屋大賞2位受賞。若年層や女性層からの支持も集め、歴史小説としては異例の速さで部数を伸ばし続けてきた。

映画『のぼうの城』は、とにかくその壮大なスケールで注目されている。城を丸ごと水に沈めてしまう「水攻め戦術」や大規模な合戦を細かく描いており、「映画化は絶対ムリ」と言われてきた物語だという。それゆえに、映画化実現までに8年もの歳月を要した。




豪華なキャスト陣にも注目だ。難攻不落「忍城」の総大将のぼう様・成田長親(なりたながちか)には狂言界の至宝、野村萬斎。美貌ゆえに両軍の運命を左右することになるヒロイン甲斐姫に、人気・実力ともに若手女優ナンバーワンの呼び声高い榮倉奈々。忍城軍は成宮寛貴、山口智充、佐藤浩市、天下軍は、武将・石田三成役を上地雄輔、山田孝之、平岳大、そして豊臣秀吉役を市村正親が演じる。

戦乱に埋もれた驚きの実話と、忍城軍と天下軍両軍の愛すべきキャラクターが織りなす濃密な人間ドラマを楽しんでいただきたい。

苫小牧に巨大ロケセットを組み撮影



舞台となる忍城は、周囲を湖で囲まれた「浮き城」の異名をもつ平城。ここに石田三成率いる2万の豊臣秀吉の大軍に立ち向かう。この浮き城を再現した巨大オープンセットが組まれたのは北海道・苫小牧市東部「苫東地区」の原野。「水と緑がある広大な敷地」という条件を満たし、「ここ以外には有り得ない」というスタッフのもと、1年近い準備期間を経て正式にロケ地として決定した。美術監督は「日本映画史上最大規模のオープンセット」と呼ぶ規模。

敷地面積は東京ドーム約20個分に相当する。更地だった土地に、忍城の重要な砦となる「佐間口」「長野口」、石田三成が水攻めのために築いた「石田堤」、広大な水田やあぜ道などを、大規模な工事で再現した。使用した土は、11トントラックで5000台分にも及んだ。また、敷地内にもともとあった沼と、実際の雨や汲みあげた地下水などを利用しながら「浮き城」を造成していった。美術スタッフは約半年をかけてオープンセットを作ったという。

また、撮影に当たっては、地元市民ら延べ約4000人のエキストラ、ボランティア、地元企業などによる協力を得て行った。エキストラの人数についていえば、道内ロケでは過去最大の人数である。広大な敷地を擁する北海道だからこそ出来た迫力ある映画『のぼうの城』。道民には是非観賞していただきたい作品の一つである。






映画『のぼうの城』予告編 (C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ

映画『のぼうの城』
2012年11月2日(金) 札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほか全道公開
(C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ

▼出演:
野村萬斎 榮倉奈々 成宮寛貴 山口智充 ・ 上地雄輔 山田孝之 平岳大 西村雅彦 平泉成 夏八木勲 中原丈雄 鈴木保奈美 ・ 前田吟 中尾明慶 尾野真千子 芦田愛菜/市村正親 佐藤浩市
▼監督:犬童一心 樋口真嗣
▼脚本:和田竜 小学館「のぼうの城」
▼音楽:上野耕路
▼主題歌:エレファントカシマシ 「ズレてる方がいい」(ユニバーサル シグマ)
▼制作:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース エンタテインメント
▼製作:『のぼうの城』フィルムパートナーズ
▼配給:東宝、アスミック・エース
▼公式サイト: のぼうの城オフィシャルサイト