ニッカウヰスキー余市蒸留所に「ニッカミュージアム」リニューアルオープン

後志管内余市町にあるニッカウヰスキー余市蒸留所の「ウイスキー博物館」が2021年10月27日、展示内容を刷新して新たに「ニッカミュージアム」として誕生します。前日26日には報道関係者に館内の様子が公開されました。

23年ぶりの改修となった見学施設

ニッカミュージアム外観

同蒸留所の見学施設としては、創立50周年記念事業の一環で1986年に「竹鶴資料館」を開設し、日本のウイスキーの歴史をつづる資料や当時の賞品などの展示を開始。1998年に、見学者増加に対応して同資料館の整備・拡充を図って「ウイスキー博物館」にリニューアルした経緯があります。

それ以降、特に2010年代以降には日本のウイスキーが国際的なウイスキー品評会で高い評価を得たことを受けて、ニッカウヰスキーのブランドをより深く知ってもらうことを目的に「ウイスキー博物館」を23年ぶりに大改修することを決定。

ニッカウヰスキー株式会社の岸本建利社長は、「(ウイスキー博物館は)オープン以来23年の歳月が経過し、施設の老朽化と展示物も古いものが多いことから、リニューアルして新たな施設・展示物に変えることでニッカウヰスキーの新しい価値を来場者に見てもらいたい、ニッカファンになってもらいたいという趣旨でリニューアルした」と話しました。名称は、わかりやすくするために「ニッカミュージアム」としました。

2021年7月末に完工していたものの、新型コロナの緊急事態宣言の発出により延期していました。それも解除されたことを受けて、2021年10月27日に一般公開されることとなりました。

リニューアルした「ニッカミュージアム」概要

館内が大幅に刷新されたニッカミュージアム

館内は入口から順に、「ブレンダーズ・ラボ」「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」「ディスティラーズ・トーク」「テイスティング・バー(有料試飲コーナー)」の4つに分かれています。

ブレンダーズ・ラボ

ブレンダーズ・ラボ

両側の琥珀色のカーテンは、ブレンダーの頭の中をイメージ。その後ろ側のウォールアートには、蒸留所における製造工程のイラストが描かれています。また、余市蒸留所で作られた原酒が置かれています。

ブレンダーズテーブル

中央には、ブレンダーの3つの役割を紹介する映像。そして千葉県柏市のニッカウヰスキーブレンダー室内に実際に設置されているブレンダーズテーブルが再現されており、ウイスキーの香りをかぎ分けて記して未来に託す「ブレンダーズ・ノート」を紹介しています。

ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー

ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー

商品ブランドごとに4つのエリアで構成されています。「余市」「竹鶴」「ブラックニッカ」「フロム・ザ・バレル」。各ブランドの歴史やストーリー、世界観を見ることができます。

「ストーリー・オブ・余市」(シングルモルト)の展示スペースでは、蒸留方法の違いが分かる実験映像、様々なモルトの原酒の特徴、余市で作られるモルトウイスキーについて展示しています。1984年に「シングルモルト北海道」として発売された後、1989年に「シングルモルト余市(12年)」が発売され、現在に繋がっていることが分かります。

「ストーリー・オブ・竹鶴」(ピュアモルト)の展示スペースでは、たくさんの原酒を合わせて作られていく様子が垣間見れます。創業者・竹鶴政孝の志を受け継いでいる様子が学べます。

「ストーリー・オブ・ブラックニッカ」の展示スペースでは、カフェ式連続式蒸留機でグレーンウイスキーを作る工程がわかります。ラベルになっており、すすきの交差点で有名なニッカのヒゲのおじさんこと「キング・オブ・ブレンダー」の原画の変遷と誕生秘話は大注目。ブラックニッカ発売の9年前(1956年)に誕生していた初代ブラックニッカも展示されています。様々なシーンで様々な人と飲んでもらいたいとの想いを切り絵で表現しているのも見どころの一つです。

ストーリー・オブ・フロム・ザ・バレル

「ストーリー・オブ・フロム・ザ・バレル」の展示スペースでは、樽出しの芳醇さを求めたウイスキーの物語が展開されています。

ディスティラーズ・トーク

ブレンダーによるスペシャルトーク映像が視聴できるコーナーです。多言語対応。蒸留の工程の中で一番好きな瞬間など、ウイスキーについてたくさんの質問に答えている映像が視聴できます。ブレンダートーク、蒸留トーク、樽トーク、余市トークの4つがあり、全編で約70分にも及ぶ大作です。

テイスティング・バー

有料試飲コーナー

蒸留所限定商品を含む数十種類を楽しめる有料試飲コーナーです。

改装前の博物館時代には入口に置かれていた実物のポットスチル(蒸留器)をここに移動し、カウンターテーブルにしています。ディスティラーズ・トークを聴きながら試飲が楽しめるように工夫されています。

ポットスチルがどんと

なお、後半部分となるニッカウヰスキー創業者竹鶴政孝・リタ夫妻の生活の様子を再現した展示・ニッカウヰスキーの歴史にまつわる展示は引き続き見ることができますが、今後改装される予定です。

ニッカウヰスキー見学案内時間は9時~12時、13時~15時。ニッカミュージアムは9時15分~16時15分まで(有料試飲ラストオーダー16時)となっています。