立派な氷筍や氷柱が現れる!道北の中頓別町で「冬の鍾乳洞探検」!

降り積もる雪に、そろそろうんざりしはじめている北海道民の皆さん。春を待ちわびるのもいいですが、どうせならこの季節、発想の転換をして思いっきり雪の世界を満喫してみませんか? もちろん、雪に縁遠い地域に住んでいる人も、心から楽しめること間違いなし。

そんな自然体験を、道北の中頓別町にある「そうや自然学校」で味わうことができます。その名も「冬の鍾乳洞探検」。探検という言葉を聞いただけでワクワクしてしまった北海道ファンマガジンは、さっそく現地に向かいました。

中頓別町役場で待ち合わせて、いざ出発!

待ち合わせは中頓別町役場。ここから「そうや自然学校」の車で、スタート地点まで連れて行ってもらいます。案内してくださったのはそうや自然学校の上杉康志さんと中頓別町役場の三浦毅さんです。

▼「そうや自然学校」の上杉さん(左)と中頓別町役場の三浦毅さん(右)

鍾乳洞は自然ふれあい公園内にありますが、鍾乳洞の入口までは雪深く、冬は普通の靴では行けません。したがってスノーシューを使って雪山を歩くことになるのですが、「そうや自然学校」で用意してくれているので、こちらで準備する必要はありません。

「冬の鍾乳洞探検」は、公園に続く道の途中から尾根を歩いて鍾乳洞に向かい、鍾乳洞内を見学したら、冬場は閉鎖されている車道を歩いて公園の駐車場に向かうコースで、全行程で3時間ほどかかります。 「鍾乳洞探検だけでなく、尾根を歩き自然を満喫できるので爽快ですよ」と三浦さん。

いよいよスタート地点に到着。車を降りスノーシューを履きます。履き方などていねいにレクチャーしてくれるので、スノーシューがはじめてという方も安心です。

▼スノーシューの履き方、歩き方をレクチャーしてもらいました

スノーシューを履いたら出発です。 雪のシーズン以外は熊笹などが生い茂っているため、歩くことのできない場所を進みます。普段は行けない場所が雪に覆われ歩ける様になるなんてドキドキ。歩き慣れていないスノーシューに戸惑いながらも心はワクワクしていました。

▼美しい景色を見ながら雪に覆われた尾根を歩きます

このコースでいちばん小高いところに着いたら少しの休憩です。360°どちらを向いても美しい景色が見られます。雪に覆われた山々を見ていると、まるでおとぎ話の世界に入り込んだような気分に浸れました。

▼静寂の中で聞こえるのは自分たちの足音と野鳥の鳴き声のみ

休憩が済んだら先へと進みます。スノーシューになんとなく慣れてくると周りの様子が気になり出します。周りを見るとあちこちに動物の足跡、耳を澄ませるとあちこちから野鳥の鳴き声が聞こえてきます。

「ウサギやキタキツネやエゾシカなどがいます。エゾクロテンとかエゾリスもいますね。運がよければ見ることができますが、人がいるとめったに出てきてくれません。動物だけでなく、アカゲラやオオアカゲラ、シマエナガなどの鳥類もいろいろいるんですよ」と上杉さんからお聞きしているその時、すぐ横をアカゲラが飛んでいきました。

雪の上に飛び出た笹の葉は貴重な食料なので、すぐにエゾシカやウサギに食べられてしまう、アジサイの開花が遅いので咲いているうちに寒くなり、そのまま自然のドライフラワーになっている、といった話を聞きながら歩いているうちに鍾乳洞の入口に到着しました。

いよいよ鍾乳洞の中へ!

▼鍾乳洞入口は雪に埋もれないよう普段はブルーシートで覆っています

入口は狭く、段になっていて足元も凍っているので注意が必要ですが、入ってしまえば広い空間が現れます。そのまま奥まで進んでいくとつららや氷筍、氷柱などがある場所に出ました。

▼立派なつららや氷筍、氷柱などが現れる

「現在は天然記念物に指定され管理されている鍾乳洞ですが、それ以前の管理されていない時代、貴重な鍾乳石などは何者かによって持ち出されてしまいました」と上杉さん。「そのためほとんどの鍾乳石が失われてしまったのですが、奥の方にまだ少し残っています。それにより、この場所も鍾乳洞と呼ぶことができるのです」と、驚きの話を教えてくれました。

貴重な鍾乳石は失われてしまいましたが、洞窟内に流れている水によって、冬になるとつららや氷筍、氷柱などが作られます。鍾乳石でできる石筍や石柱は、何万年、何十万年という時を経て作られていきますが、氷だと2~3ヵ月でできあがるというわけです。

「石筍や石柱ができていくのと同じ行程を、短い時間で知ることができる絶好の場所なんですよ」と上杉さんは話します。

現在(取材日は2月1日)のつららや氷筍、氷柱はまだまだ小さいですが、春先にかけてずっと大きく成長していくのだそうです。成長した姿もまた見てみたいものです。

▼氷を見て鍾乳石の石筍や石柱に思いを馳せます

鍾乳洞見学を終えたら、コーヒーが振る舞われました。このコーヒーは、水を使わず白樺の樹液で淹れた特別なもの。水で入れるよりもまろやかで、疲れた体にほんのりと甘味が広がっていくようでした。

▼白樺樹液採取も、そうや自然学校のプログラムのひとつ

スキーシューに履き替えて気分一新

さて、一服したら帰途につきます。往路とは違うコースで、途中にある公園の管理棟でスノーシューからスキーシューに履き替えます。帰路は平坦な道を行くので、滑るように歩くことができるスキーシューが最適です。スキー未経験者でもすいすい歩くことができます。

▼スノーシューからスキーシューに履き替えて帰途につきます

スキーシューに慣れて楽しくなってきた頃、公園の駐車場に到着しました。迎えに来た車で中頓別町役場まで送ってもらい、鍾乳洞探検が終了しました。

▼帰りは道が平坦なので行きよりも速いスピードで歩けます

スノーシュー、スキーシューを使って雪山を歩き鍾乳洞を見学する「冬の鍾乳洞探検」。3時間ぐらいかけて歩いたこと、普段使わない筋肉を使ったことで、けっこう疲れましたが爽快な気分です。景色を眺めたり、鍾乳洞の神秘に触れたり、好奇心をくすぐられる刺激的な体験ができました。

最後に上杉さんに事前に用意しておくべきことなど伺ってみました。

「やはり服装についてですね。このあたりはマイナス20~30℃になることもあるので、しっかりと防寒することは当然ですが、歩いているうちにかなり汗をかきます。すぐに1枚脱げるような格好なら便利です。スノーシューの装着には、トレッキングシューズやスノーブーツなどが適しています。また、防水もしくは防滴の衣装なら、より安心でしょう」

【動画】冬の鍾乳洞探検

年間を通して自然体験ができる「そうや自然学校」

▼そうや自然学校

今回お世話になった「そうや自然学校」では、このほかにも様々な自然体験ができるプログラムが年間を通して用意されています。施設は閉校した小学校をそのまま利用し、宿泊することも可能です。

▼元教室だった空間で寝泊まりすることも可能

▼体育館など、何かと活用できそうな施設も

今の時期ならではの体験をして、今の時期にしか見られない光景を目の当たりにし、大満足だった「冬の鍾乳洞探検」。また別の季節に中頓別町を訪れて、ほかの自然体験もやってみたいという気持ちが生まれました。道北に行く機会があったときには、ぜひ「そうや自然学校」を訪れてください。きっと忘れられない体験ができるはずです。

冬の鍾乳洞探検
体験期間:1月下旬~3月下旬
体験料:大人1,000円、高校生400円、小中学生300円
所要時間:3時間
参加人数:1名より
参加対象:全ての方
持ち物:飲み物
服装:スキーウェア等の防寒着、長靴などの防寒靴、帽子、手袋
そうや自然学校
所在地:北海道枝幸郡中頓別町字敏音知306番地
TEL/FAX:01634-8-3611
MAIL:souyashizen@ipstar.ne.jp
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