学びの成果をここで発揮!生徒が運営「三笠高校生レストラン・エソール」

道内各地の特産品や地場産業の話題をお伝えする連載「北洋銀行この街紹介」。今回は、三笠市からお届けします。

高校生自身がメニューの考案や調理、接客や運営などを行う「三笠高校生レストラン・エソール」が注目されています。オープン以来多くのお客さんが訪れ、全国からの視察も絶えません。学びの成果をレストランで提供する「三笠高校」の取り組みについて、遠藤直樹校長に話を伺いました。

廃校の危機から「必要とされる高校」に転換

▼北海道唯一の食物調理科単科高校

三笠市は岩見沢市に隣接する人口約8,500人の小さな街です。1879年に幌内炭鉱が開鉱すると、道内でもいち早く鉄道が施設されるなど、街は石炭の採掘と共に発展していきました。

しかし石炭需要の減少とともに衰退が始まります。近年は人口減少や近隣の高校へ進学する生徒が増加したことから、2011年に道は三笠高校の募集停止を確定しました。「高校がなくなることで活気がなくなる」と危惧した三笠市は、市立化する案を議会に提出。2012年4月に道内初となる「食物調理科単科高校」として再スタートしました。

志を持った生徒が全道から集合!

▼全道から生徒が集まり「食のプロ」を目指している

三笠高校が打ち出した食物調理科単科高校への転換は大きな話題となりました。

食物調理科では、食物調理科コースと製菓コースの二つのコースに分かれて専門課程を学びます。国家資格である調理師や製菓衛生師取得のためのカリキュラムだけでなく、インターンシップや現地研修、さらには普通教科も学習しなくてはならず、3年間を過ごすためには強い志が必要です。全道から集まった生徒たちは、困難に立ち向かって食のプロを目指していきます。

3つの部活動がレストランを支えている

▼レストラン・エソールは高校の研修施設として位置づけられている

三笠高校には一般の高校のように運動系や文科系の部活動はなく、「調理部」「製菓部」「地域連携部」の3つが設置され、それぞれの部活動の一環として「三笠高校生レストラン」が運営されています。

調理部運営の「まごころきっちん」

▼地元の食材を使った「みかさ赤ワイン牛丼(1,200円)」

▼三笠市出身のご夫婦は「取り組みが素晴らしく料理も美味しい。三笠の誇り」と絶賛!

調理部はレストラン「まごころきっちん」を運営しています。来店した日は野菜の炊き合わせや、海老と野菜の天ぷらなどを盛りつけた「青春御前(1,200円)」、みかさ赤ワインで白老牛と地元産玉ねぎを煮込んだ「みかさ赤ワイン牛丼(1,200円)」の二品が用意されていました。いずれも地元の味噌を使ったみそ汁と地元産のお米のご飯がセットになっています。

▼教員が生徒を指導し、先輩が後輩をフォローする光景は学校そのもの

レストランは土日祝日のみの営業。この2月末から3月初旬にかけては期末試験や卒業式などの学校行事が続いたため、しばらくの間休業していました。この日が久しぶりの営業で調理担当の生徒さんにも戸惑がみられ、ちょっとしたトラブルも。煮込み調理が必要なメニューを調理する際の火力が弱く、開店時間の11時を過ぎてもメニューが完成せず、開店が遅れたようです。そんな中でも、ピリピリした雰囲気を感じた先輩が、後輩に向けて「今日は絶対に笑顔を絶やさないで!」と呼び掛けている姿に胸が熱くなりました。

製菓部運営のカフェ「Cherie」

製菓部はカフェ「Cherie」を運営しています。販売されている洋菓子、パン、焼き菓子はいずれも生徒によるものです。

洋菓子店に勤めている姉に憧れて製菓の道を志したという恵庭市出身の1年生の女子生徒は、「厳しいながらも実践的な学びができる」と言い、南幌町出身の2年生の女子生徒は、「アンケートで自分が作ったお菓子の味や盛り付けが評価されることが自信に繋がる」と話してくれました。

▼おいしいスイーツを目当てに開店前から行列ができている

「自分が作ったスイーツが販売されるのは嬉しい」と製菓部の2年生

地域連携部が運営協力する「エソールストア」

地域連携部は、三笠産の食材やワインなどを集めたアンテナショップ「エソールストア」の運営協力を行うほか、「アンモナイトメロンパン」や「ゴロゴロ石炭クッキー」など、地元企業と共同開発した商品を販売しています。また、花壇づくり、イベント出店、福祉施設食事提供、お菓子作り教室の開催など、地域を支える活動を行っています。

▼地域連携部の活動を紹介

調理部や製菓部がクローズアップされがちですが、高校と地域及び地域と観光客を結び付けた地域連携部の活動は全国でも先駆的活動と言えるでしょう。

三笠市は、化石、農業、ワインづくり、スキー場、鉄道、温泉など数々の観光資源があるにも関わらず、一つ一つの結びつきが薄く大きなインパクトを発信できていないという課題を抱えています。

▼若い力が地域を変える!

異質なものを組み合わせることで、新しいムーブメントが生まれることがあります。高校生レストランも「高校生×レストラン」という意外性で注目されました。地域連携部の柔軟な発想は、三笠を変える起爆剤になることでしょう。

▼三笠高校生レストランは教育機関

三笠高校生レストランに対する期待は大きく、「土日祝だけでなく平日も営業してほしい」という声が寄せられているそうです。「期待が寄せられるのは嬉しいことですが、生徒の学びを披露するための教育機関であることを忘れてはいけません」と、遠藤校長は言います。

▼生徒のひたむきな姿に胸を打たれる

三笠高校の学校経営理念

  • 生徒が失敗や成功を繰り返しながら成長し、夢をかなえることができる学校。
  • 教職員が自己の力量を発揮するとともに、新しい課題に取り組み、力量を高めることができる学校。
  • 地域のニーズや期待に応えることができる学校。

三笠高校生レストランを利用する際は、生徒の活動を温かく見守り、努力や成長を讃えてあげたいものですね。

三笠高校生レストラン MIKASA COOKING ESSOR

所在地:三笠市若草町396番地1
電話:01267-3-7335

まごころきっちん
営業時間:11時〜14時
営業日:土曜・日曜・祝日、長期休業期間中(春・夏・冬)
※ただし、学校行事などで休みとなる場合があります。

Cherie
営業時間:11時30分〜14時30分
営業日:土曜・日曜・祝日、長期休業期間中(春・夏・冬)
※ただし、学校行事などで休みとなる場合があります。

エソールストア
営業時間:9時〜18時(4〜9月)、9時〜17時(10〜3月)
営業日:月曜・年末年始を除き営業

キッチンスタジアム
営業時間:8時30分〜17時
営業日:年末年始を除き営業

北洋銀行美唄支店(ビバイ)

所在地:美唄市大通西1条南2丁目1番7号
電話:0126-63-2181