【平取町】日本一の面積を誇るすずらん群生地は、日本百名山の一つに数えられる日高山脈の幌尻岳(ぽろしりだけ、標高2,052m)の麓の芽生(めむ)地区にあります。毎年5月下旬~6月中旬にかけて一般開放され、そのうち約1週間だけ開催される「すずらん観賞会」が最盛期で、見頃となります。
芽生のすずらん群生地は、面積約15ヘクタール。野生すずらん群生地としては日本最大面積を誇ります。平取町域を貫く国道237号線の二風谷ダム湖付近の荷負地区で道道71号線に入り、貫気別地区で道道845号線に(北回りの道道638号線は狭くダート道なのでオススメしません)。東進した先に平取町営牧場があり、その付近に群生地ポイントがあります。[地図]
「白樺と牧場のすずらん」をキャッチフレーズとする「すずらん観賞会」期間中は露店も並び、土日は、先着で根付すずらんプレゼントのほか、びらとり和牛バーベキューも楽しめるコーナーも開設されます。
木漏れ日の場所を見つけるのがポイント
白樺の木立のあるすずらん群生地の園内は、観賞道が整備されています。順路は、ゲートにある監視舎から反時計回り。ショートカット路が2本ありますが、写真を撮りながらゆっくり一周するなら、1時間ほど見ておくとよいかもしれません。
観賞道を歩くと分かりますが、場所によって密集度が異なります。すずらんは高温多湿を苦手とするため、特に木漏れ日のように半分日陰になっているような場所、木々の影になっている場所などを探してみると、すずらんが密集していることがあります。すずらんの花は可憐で小さいため、一面真っ白になるわけではありません。目線を落としてすずらんを観賞するとよいでしょう。ふわっとあたりに広がるすずらんの香りも楽しむことができます。
観賞道を半分ほど進むと広場があり、「幸せの鐘」が設置されています。すずらんの花言葉の一つは「幸福の訪れ」で、誓いの鍵をかけたカップルには永遠の愛を育むと言われているのだとか。南京錠のハートロックは売店で販売されているので、メッセージを書き込んでここに鍵をかけることができます。これは2015年からスタートした企画です。
絶滅寸前から復活を果たしたすずらん群生地
当地のすずらん群生地周辺はかつて、馬などを飼育する共同放牧場として利用されていた場所だったそう。それでもなぜ群生地が残ったのかというと、すずらんは有毒のため、馬が食べなかったから。人里離れていたことも幸いし、1950年代後半まではまさに「自然の楽園」でした。
しかしその後、群生地を一般公開する「すずらん祭り」が開催されてすずらん群生地が話題になると、乱獲や倒伏が問題となり、1975年以降はほぼ全滅状態にまで追いやられたため、公開を禁止しました。その後、すずらんの保護管理を徹底し、約10年の期間をかけて全盛期の状態に回復させることに成功しました。
この教訓を生かし、現在は観賞道を設け、ロープ内に入らないよう指示されています。開町80周年を迎えた1979年11月3日にはすずらんが平取町の花にも指定され、カントリーサインにもすずらんがあしらわれています。まさに町を代表する花、すずらん。初夏の時期はすずらんの里・平取に遊びに行ってみてはいかが?