日本初の中島児童会館と人形劇場こぐま座を学べるMA・SO・BOオープン

すすきのから程近い中島公園内に、児童会館があるのをご存じでしょうか。隣接する人形劇場と共に、子どもたちのさまざまな体験活動や児童文化の発信拠点として、大きな役割を担ってきました。

そんな両施設が、歴史的資料室「MA・SO・BO(ま・そ・ぼ)」をオープン。資料室なんて言うと堅苦しい感じですが、子どもも大人も楽しめる「生きる資料室」なのだとか。さっそく、お邪魔してみました。

戦後、子どもたちの楽しめる場に

▼左奥が人形劇場、右手前が児童会館

まずは両施設の歴史を振り返っておきましょう。中島児童会館がオープンしたのは、今から実に70年近くも前の、1949(昭和24)年のこと。公立の児童館としては、日本で初めての施設でした。

▼現在の中島児童会館

当時は米軍払い下げのかまぼこ兵舎4棟を改築した、半円型トタン屋根のプレハブの建物でした。この「かまぼこ型児童会館」は、1957(昭和32)年まで使用されました。

▼当時の「かまぼこ型児童会館」模型

まだ戦後の混乱から抜けきれていない時代。子どもたちの楽しみは、学生や大人たちが作り上げる舞台「日曜子供会」でした。中島児童会館は、昔も今も多くのボランティアによって支えられているのです。

▼子どもたちの一番の楽しみ「日曜子供会」(写真提供:中島児童会館)

一方、人形劇場こぐま座が誕生したのは、1976(昭和51)年。こちらも児童会館同様、公立の専門人形劇場としては日本で初めての施設です。

▼現在の人形劇場こぐま座

毎週土日、祝日、そして夏休みや冬休みには、必ず人形劇の公演が行われています。そのためこぐま座では開館当初から初心者を対象とした人形劇講座を開講し、人材育成にも熱心に取り組んできました。

▼建物入口には公演予定が

中島児童会館と人形劇場こぐま座は、こうして数十年にわたり、子どもたちに愛され親しまれる場として存在し続けてきました。先人たちの努力と願いが受け継がれ、今も子ども文化を発信する場として、大きな役割を担っているのです。

まるごと遊んで学べる「MA・SO・BO」

▼オープニングに参加した子どもたち(写真提供:中島児童会館)

さて、中島児童会館と人形劇場こぐま座の歴史を遊びながら学ぶことができる施設「MA・SO・BO」が、2018年9月17日にオープンしました。オープニングイベントには地元の子どもたちが参加し、児童会館30周年の時に作られた『中島児童会館みんなのうた』を高らかに歌い上げました。

▼さっそく覗いていきましょう!

「MA・SO・BO」には「A・SO・BO(遊ぼう)」ゾーンと「MA・NA・BO(学ぼう)」ゾーンがあります。まずは「A・SO・BO」ゾーンから覗いてみましょう。

▼絵本や紙芝居や体験コーナーも

けん玉などの昔ながらの遊び道具や、紙芝居、絵本など、たくさんのお楽しみが用意されていて、子どもならワクワクすること間違いなし。

特徴的なのは体感デジタルアトラクションで、たとえば「中島公園 馬車でGO!」では、スタートボタンを押して中島公園を仮想探索でき、最後には自分の顔写真入りのカードが出てくるという仕組み。

▼夢中になって遊んでいられそう

また、同じく体感デジタルアトラクションの「札幌あそび百選」では、気になるカードを選んで指定の場所に合わせると、昔から伝わる遊びの解説が画面に流れます。おはじきやゴムとびなど、大人は思わず郷愁に駆られるかもしれません。

▼児童会館の歩みをパネル展示

「MA・NA・BO」ゾーンでは、戦後から続く中島児童会館や人形劇場こぐま座の歴史を模型や資料で学ぶことができます。

▼資料や書籍がずらりと並ぶ

子ども教育関連の書籍も数多く取り揃えられており、貸し出しは行っていませんが、誰でも手に取って読むことが可能です。

▼教育関連の書籍は約800冊

札幌市内の、しかも街の中心部に、これほど歴史的価値の高い子どものための施設が存在するという事実。「MA・SO・BO」のオープンが、改めてそれを知る機会となり、子どもたちが歩んできた社会背景や文化環境を振り返るきっかけとなるかもしれません。

MA・SO・BO
所在地:北海道札幌市中央区中島公園1番1号
問い合わせ: 011-511-3397(中島児童会館)
011-512-6886(こぐま座)
開館:常時開設(年末年始は除く)
時間:9時~17時
入場:無料
こぐま座公式サイト