「セピアのしげき」という、ユニークな名前のサイダーがあります。支笏湖水系の天然水や北海道産のビートを使うなど、素材や製法にこだわった商品です。瓶に張られたラベルには、おかっぱ頭の少女がサイダーを飲む姿が描かれ、そこはかとない郷愁を誘います。製造元の「株式会社丸善市町」に話を伺いました。
セピアのしげきは、こうして作られた
▼株式会社丸善市町植苗工場
苫小牧市に本社と工場を持つ「株式会社丸善市町」は、1950(昭和25)年に創業しました。清涼飲料水や麺類の製造・販売のほか、酒類の小売業からスタート。現在は北海道産の素材を使った製品開発に取り組むほか、もやしの生産に力を入れるなど、支笏湖水系の天然水を使った二つの事業を柱としています。
▼クリアなうまさが伝わる
セピアのしげきは、丸善市町の創業当時に作られていたサイダーのレシピが忠実に再現されています。現在の清涼飲料水に使用されている甘味料の多くは、果糖ブドウ糖液糖と成分表示されています。その多くはトウモロコシを原料とする外国産コーンスターチが中心です。
丸善市町では、製品づくりの柱である「地産地消」のコンセプトに基づき、北海道産ビートを原料とした「セピアのしげき」の開発に取り組みました。
北海道産ビートを使用した地産地消型飲料水
▼国内では北海道でしかビートを栽培していない!
サトウキビが砂糖の原料であることは広く知られています。もっとも収穫量が多いのは沖縄県で、青い空にサトウキビ畑が広がる光景をよく目にします。実はもう一つ、ビート(てんさい)も砂糖の原料になります。日本でビートを栽培しているのは北海道だけ。北海道産ビートと支笏湖系の天然水で作られるセピアのしげきは、究極の地産地消商品と呼べるでしょう。
▼液糖にはないシンプルで上品な味わい
ガラス瓶を使っている理由も、レトロな演出だけではありません。ペットボトルの場合、ごく微量な通気性があり、瓶よりも酸化しやすく、ガス(炭酸)圧を強くかけられないという欠点があります。創業当時の製法に基づいて作るためには、ガラス瓶の使用が必要不可欠だったのです。
一口飲むと、心地よい甘さと清涼感が広がります。クリアな天然水の中に、砂糖本来の甘みが合わさり、素材の味を楽しむことができます。2006年に、道産食品登録制度で、飲料水として第1号の認定を受け、2017年に苫小牧市認定特産品に選定されるなど、その味が認められています。
個性を放つ数々の商品
▼北海道やご当地を前面にアピール
丸善市町では、先ごろオープンした「道の駅 あびらD51ステーション」で発売されたD51ガラナを始め、支笏湖系天然水を使った飲料水を多数発売しています。「強炭酸水そだね~」は、きめ細かな炭酸が加えられ、ハイボールなどとの相性がピッタリ。「とまチョップサイダー」も、セピアのしげき同様、北海道産ビートが使われ、スッキリとした後味が特徴的です。
▼3つの味を飲み比べてみよう
小樽にあった飲料水メーカー「北海屋」で作られていたガラナを引き継いだガラナエールに、少し甘みを抑えた北乃カムイガラナ、北海道産ビートシロップを使用し、カロリーを控えたとまチョップガラナなど、それぞれ異なる個性が与えられています。
▼見た目も美しいご当地ラムネ
白糠町鍛高(たんたか)地区で生産されている青紫蘇葉の搾汁液を使った鍛高ラムネと、豊浦町産のイチゴ果汁を使った赤いしげきは、懐かしさの中に新しさを感じるご当地商品です。
▼モデルの少女は誰?
セピアのしげきは、道の駅や高速道路のサービスエリアなどのほか、飲食店などでも取り扱っています。また、丸善市町の公式ホームページからの購入も可能です。1950(昭和25)年当時のレシピに基づいて作られた〝刺激〝を感じてください。