ホッキ貝はお寿司ネタでは欠かせません(少なくとも道内では)。そんな
ホッキは、国内では北日本海域でしか漁獲されません。中でも北海道は国
内最大の漁獲量を誇ります。
ホッキとは?
ウバガイというのが正しい表記。一般的にはホッキと呼ばれますが、ア
イヌ語の「ポキセイ」が語源となり、これが広まったとされています。漢
字では「北寄貝」と書きますが、生産地域を表すのに最適な漢字があてが
われています。
ホッキは2枚貝。貝殻は三角と丸の中間の形状をしていて、厚くて硬い
もの。大きさは10cm程度と大柄で、中には15cmになるものもあるというか
ら驚き。貝殻には生育環境によって、黒い色をした「黒ボッキ」、茶色の
「茶ボッキ」という色の違いがあり、茶色の品質は劣ると一般的に言われ
ています(実際は大差はない)。苫小牧市で主力なのは黒ボッキのほうです。
たんぱく質、ミネラルなど栄養もたっぷりといわれています。血中コレ
ステロールを下げるといわれるアミノ酸の一種タウリンが豊富です。また、
アラニン、グリシンといった重要なアミノ酸もあるので、旨みや甘みが生
まれています。三角のところのグレーは、火を通すと紅色に変色します。
ホッキ日本一!な苫小牧
全国で約8千トンの漁獲量で、そのほとんどが東北から北海道にかけてで
す。北海道は全国7割程度を占める約5500トンを水揚し日本一、市町村別で
は、苫小牧市が835トンで日本一(国内の約1割)、続いて2位根室管内別海町
(574t)と続きます(2004年)。道内での主産地は襟裳岬を中心とした東西の
太平洋岸(根室から渡島まで)。まさにホッキ王国なのであります。
日本一の苫小牧でホッキを食べるのに最適な「旬」の季節は、産卵期の
5・6月を除いて、7月から4月まで、ほぼ一年を通して水揚げされています
ので、基本的に1年中。しかし、特にオススメなのは冬季の冷たい海水で
身が引き締まったものです。
さらに、苫小牧のホッキは質が良いことでも定評があります。苫小牧
漁協の自主規制により、サイズは9cm以上のものを漁獲している(ここまで
5~6年待つ必要がある)ということもあって、サイズがでかいこと。北海
道海面漁業調整規則によると、サイズは7.5cm以上であればとってよいこ
とになっていますが、苫小牧では資源保護や高品質生産のために9cm以上
を徹底しているようです。
苫小牧市をはじめ多くの地域では「けた網(底引き網)漁業」が主流です。
海底の砂に潜るホッキを、人工的に水流を起こして掘り出すというもの。
一方、別の漁法として「突き採り漁業」もあり、これは北斗市上磯でのみ
行われ、貝一つ一つをヤスを使ってとっていきます。「手掘り漁業」もあ
って、これは浅い砂地でクワを用いて掘り起こすもの。根室市の春国岱や
温根沼では毎年春の4・5月に解禁となります。
苫小牧市では2002年7月20日に「市の貝」というものを制定しホッキが
“就任”。マスコットまでホッキで、名前は「ホッキー君」。ホッキにち
なんでホッキフェスタというイベントも毎年開催しているし、ホッキめし
なるものや、ホッキカレーなんていうのも定着しています。近年はホッキ
のまち苫小牧ということでいろんなホッキ料理が誕生してきていて楽しい
まちです。
ちなみに、ホッキ貝のたくさんあるところというアイヌ語の意味を持つ
室蘭市母恋の母恋駅の駅弁が「母恋めし」。ホッキを使ったおにぎりが
好評・人気であります。
※苫小牧漁協では「苫小牧産ほっき貝」を2007年7月13日地域団体商標に
登録、ホッキのブランドとして明確にしていく。