かつてここが終着駅だった!旧広尾駅の鉄道記念館で広尾線の歴史偲ぶ

【広尾町】帯広駅から十勝平野の北側を貫いたのが旧国鉄士幌線なのに対し、南側を貫いていたのが、愛国駅や幸福駅で有名な旧国鉄広尾線です。その広尾線の終着駅だったのが広尾駅。その旧広尾駅駅舎を活用した広尾線鉄道記念館では、当時使われていた貴重な鉄道用具や備品などが展示されており、鉄道ファンにはたまらない場所となっています。

旧国鉄広尾線の終端駅として約半世紀

十勝唯一の港だった十勝港とを結ぶべく、帯広から広尾まで敷設された84㎞の広尾線。1929年11月2日に帯広から中札内まで部分開業し、1932年11月5日に広尾まで延伸開業し全通しました。しかし第2次特定地方交通線に含まれ、1987年2月2日の全線廃止をもって、その約半世紀の歴史を終えました。

▼市街地北西にあった広尾駅。写真中央下

その末端駅だった広尾駅の駅舎は1977年11月に改築されたのち現在も残されており、営業当時の姿を保ったまま、道内では珍しくバス待合所として活用されています。

広尾町鉄道記念館

その駅舎内にはバス待合所のほか、廃止年7月にオープンした「広尾町鉄道記念館」があり、無料で自由に観覧することができます。「夢をありがとう・さよなら広尾線」と掲げられた展示スペースに入ると、「鉄道が敷かれる前」「開通」「沿線の発展の様子」「廃止」までの様子が順を追ってパネル展示されています。

広尾駅周辺の上空写真や広尾線沿線のジオラマのほか、営業当時に使われていた閉塞器、タブレット、保線用具や備品、制服やヘルメット、時刻表、通標、乗車券やハサミ、合図灯、充電器、沿線各駅の駅名板や切符や絵葉書、スタンプ、一日広尾駅長のたすき、釧路鉄道管理局の腕章、廃止時の記念品が展示されています。







展示スペース以外に駅舎内外に当時の姿が残っている部分も。駅舎内には改札柵、列車の発車・到着時刻表(到着時刻はまだ当時の時刻が表記されたまま)、現在は十勝バス広尾案内所になっている窓口がありますし、駅舎裏のホームだった場所には転轍てこ、「広尾駅」と記された箇所が確認できます。




営業当時、広尾駅は単式ホーム1面1線で、ほかに留置できる2~4番線、1番線に貨物用切欠きホームなどがあり、4番線に水槽と転車台が置かれていました。レールは既に撤去されており舗装されてしまっていますが、駅舎をぐるっと一周することができます。駅舎のえりも方向は更地にされ、バスの待機場所になっています。

鉄道記念公園も

駅舎の帯広寄り構内跡地は「鉄道記念公園」として緑地整備されています。パークゴルフ場として活用されており、その中でエゾシカが草を食んでいる姿も確認されています。鉄道関連としては、蒸気機関車C11 176号機の動輪、信号機などが保存されています。


旧国鉄広尾線の歴史が詰まった旧広尾駅舎の「広尾町鉄道記念館」「鉄道記念公園」。広尾町を訪れた際は立ち寄ってみては。