利尻の「姫沼」は人造湖だった!? 急坂を上って辿り着いた癒され空間


【利尻富士町】利尻島北東部、ちょうど利尻山山頂の真北、標高125mという高い位置に、なぜか小さな沼がある。「姫沼」と呼ばれるこの沼は、天気が良ければ利尻富士、そして逆さ富士が水面に映る絶景スポットになる。太陽光の関係で逆光にならない午前中がオススメだ。

この姫沼は、島の沿岸を走る道道108号線から、姫沼に通じる勾配14%という急坂を約2km上り続けた先にある。夏季の観光シーズンは、この急な坂を上るトレッキング客や自転車で頑張って上る人も見かける。車でもきついので自転車ならなおさらだろう。道路の終点には駐車場があり、遊歩道で100m・2~3分ほど歩いて姫沼湖畔へ。途中オモベツ川に架かる吊り橋風「想い出橋」を渡る。こうして管理棟のある姫沼湖畔に到着する。



姫沼は、実は人造湖と言える。大正時代中期の1917年に、既にあった3つの小沼をせき止め、湧水を利用して水位を上昇させて造られたという。上空から見るとほぼ円形で、最大水深は4m。「姫沼」というかわいい名前の由来は、その際にヒメマスを放流したことにちなむ。




訪れる人も少なく、人造湖を感じさせない秘境かのように感じる静かな環境の姫沼は、周囲約800m。姫沼園地の探勝路を利用して約20分で一周することが可能だ。南側には姫沼湧水という利尻山の湧水ポイントもある。また、分岐して利尻山登山コース入口の一つとなっている北麓野営場に至る「姫沼ポン山姫沼探勝路」(1時間10分~1時間半)もあり、自然散策も十分楽しめるようになっている。その西側・ポン山方向の山(ポン山(444m)とその手前にある小ポン山(413m))は、たとえ利尻富士が曇っていて見えなくても見えることが多い。

静寂に包まれる姫沼はまさに癒しスポット。貴重な高山植物を観察しながら散策を楽しみたい。


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姫沼展望台


姫沼に通じる急な坂を登る途中には、「姫沼展望台」という展望スポットがある。駐車場が完備されてはいるものの、周囲は草が生い茂っているので、お世辞にも見晴らしが良いとはいえない。北側を見ると、利尻富士町鴛泊市街地とペシ岬が見え、フェリーターミナルに入出港するフェリーも見える。天気が良ければ遠くに礼文島の姿も見えるはずだ。