道内各地の特産品や地場産業の話題をお伝えする連載「北洋銀行この街紹介」。今回は、函館市からお届けします。
函館市内で、バーや居酒屋などを中心に飲食店で急速に広まりつつあるカクテル「函館ガラビー」をご存じでしょうか。実はこのカクテル、函館市内にある1軒の居酒屋から生まれました。考案者の高野信子さんに、函館ガラビー誕生から現在に至るまでの経緯を聞きました。
函館ガラビー誕生の経緯
▼小原のコアップガラナと函館ガラビー
函館ガラビーは、七飯町の飲料メーカー「小原」のコアップガラナとビールを4対6の割合で混ぜたビアカクテル。ガラナなら何でも良いわけではなく、小原のコアップガラナを使用するのが必須条件。一方、ビールはどのメーカーのどんなビールでもかまいません。ビールの苦みとガラナ独特のクセのある味わいは意外と相性が良く、適度な甘さもあって非常に飲みやすいカクテルです。
▼ガラナを先に注ぐのがポイント
函館ガラビーが生まれたのは、函館市本町にある海鮮居酒屋「魚まさ函館五稜郭総本店」。同店を運営する函館フーズプランニングの社長を務める高野さんはもともとお酒があまり強くなく、特にビールは苦手でした。
2年前のある日、ビールをジンジャーエールで割ったビアカクテル「シャンディガフ」にヒントを得て、店にあったガラナでビールを割ってみることに。すると、ビールが苦手な高野さんでもおいしく飲めてしまいました。
▼後からビールを注ぐと泡がきれいに立ちやすい
「これはイケるかも」と考えた高野さんは、さっそく店のメニューに「函館ガラビー」の名前でこのビアカクテルを掲載。すると、観光客がおもしろがって注文してくれるようになりました。先代社長からの「こういう商品は地域を盛り上げる活動になるから、ぜひ協力してくれる会社を募りなさい」というアドバイスもあり、高野さんはコアップガラナの製造元・小原に正式に協力を依頼。さらに、函館の酒販店「イチマス」の協力を得て大手ビール会社4社にも協力を呼びかけました。
▼ご当地カクテルとして函館ガラビーが載っている「魚まさ」のメニュー
どの会社からも「地域を盛り上げるためなら」と快く賛同が得られたことで、「小原のコアップガラナと各社のビールでつくる」という函館ガラビーのルールを確立。続いて、これに賛同した約20店舗からなる「函館ガラビー協会」を2018年5月に設立し、11月には大手4社の函館ガラビーを飲み比べできる大試飲会を開催しました。
試飲会を機に生まれた函館ガラビー効果
▼ビール4社が参加して盛大に開かれた試飲会
試飲会は、「意外なほどおいしい」「とても飲みやすい」と参加者が一様に口をそろえるほど好評で、函館ガラビーの知名度もグンとアップ。協会に加盟して函館ガラビーを提供する店も20店舗から100店舗ほどに増えました。今では、函館空港・五稜郭タワー・函館山ロープウェイ山頂といった函館を代表する各スポットでも飲むことができます。
飲食店では、高野さんのようにビールが苦手でサワーなどを飲んでいた女性客が「これなら飲める」と喜んでくれたり、「函館ガラビーって何だろう」と珍しがる観光客に「函館発祥のビアカクテルなんだよ」と地元客が話しかけて会話が生まれたりと、“函館ガラビー効果”が生まれているのだとか。
▼意外なほどおいしい、飲みやすいと好評の函館ガラビー
函館ガラビー協会が目指すのは、統一したルールに基づいて函館ガラビーを提供することで地場の飲食店同士が連携し、函館の飲食業界を盛り上げていくこと。
「『自宅で函館ガラビーをつくってみた』という投稿をSNSで見たりすることもあって、函館ガラビーが浸透してきているのを実感しています。旅行者の皆さんも、函館に来た時には『せっかくだからご当地で飲んでみようか』となってくれたらうれしいですね」(高野さん)
北洋銀行五稜郭公園支店(ゴリョウカクコウエンシテン)
所在地:函館市本町7番16号
電話:0138-51-2101