おたる水族館や隣接する遊園地「祝津マリンランド」など、多くの人の記憶の中に祝津の楽しい思い出が刻まれていることでしょう。それと同時に、魚介を焼く香ばしい匂いも思い出しませんか?
炭火焼きは祝津をあらわす代名詞と言えます。1955(昭和33)年に開業し、今も祝津で小樽の味覚を提供し続ける「青塚食堂」を訪れました。
北海道博覧会・海の会場が出発点
▼青塚食堂から小樽市鰊御殿を望む
青塚食堂は、1955(昭和33)年に開催された「北海道博覧会」に合わせて、漁師だった先代が開業しました。ニシン漁が不漁になったことや、夏は漁が閑散期に入るため、海水浴客(現在は遊泳禁止)や博覧会の客を見込んだセカンドビジネスとして始めたといいます。
▼おたる水族館を見下ろす
北海道博覧会海の会場の跡地は、翌年に小樽市立水族館(その後、現在地に移転。名称は「おたる水族館」)としてオープン。家族連れなどが絶え間なく祝津を訪れるようになりました。水族館の営業が3月から11月まで(令和4年は3月12日~11月27日※期間中は無休)のため、それに合わせて食堂も冬期はクローズしていましたが、1993(平成5)年に店舗を建て直す際、従業員の定期雇用なども鑑みて通年営業に変更しました。
水族館は2006年に小樽雪あかりの路・さっぽろ雪まつりと連動した冬季営業を開始。冬も多くの人で賑わっています。
炭火焼の香ばしさが人を引き寄せる
▼食欲を誘う香りがたまらない
青塚食堂と聞いて真っ先に思い起こすのが「炭火焼き」です。魚介が焼ける香ばしい匂いに引き寄せられて来店する人は少なくありません。「室内で煙を出すわけにはいかないし、雨が降ったり風が強ければすぐにしまい込める」と社長は言います。パフォーマンスと合理性が両立されているようです。
▼つぶ・ホタテ・カキの三重奏
▼運転しないなら、地元のお酒で一杯楽しみたい
屋外では、おもにニシンが焼かれています。小樽のニシン漁は1月初旬から3月中旬まで行われ、地元産を提供する時は「小樽産ニシン」と表示しています。漁獲量が少ないときや、漁が行われない期間はロシア産も仕入れるなど、年間を通して大ぶりで質の良い ニシンが確保されています。
特大ニシン焼き定食スペシャルを食す
▼特大の名にふさわしい大きさ
特大ニシン焼き定食スペシャルを食べさせていただきました。特大の言葉に何一つ誇張はありません。錦鯉かと見間違うほど大きなニシンが、皿からはみ出しています。スペシャルは通常の定食に刺身がプラスされます。ニシンは小骨が多いので、まずは箸で真ん中から割り、最初に背骨を取り除くと食べやすくなります。この日食したニシンはメスで、カズノコが程よく焼けていました。
▼鮮度抜群なホタテとタコの刺身
▼ホタテの味噌汁最高!
期待に応えるために、うまい魚だけを提供し続ける
▼宿泊も行っているので、ゆっくりと魚介三昧の一日を過ごすのもお勧め
食堂には近隣施設への観光客だけでなく、市街地や近くのホテルの宿泊客、同窓会などの地元宴会客など、さまざまな人が訪れています。港の食堂的な役割を果たしていたため、2010年までは、漁業関係者や水族館従業員のために朝7時に開店していました。
▼ニシン食べに行こう!
これから夏に向けてシャコやウニなどが旬を迎えます。世界的に漁獲量が減少し、あらゆる魚介の高騰が続いており、赤字覚悟で提供する場合もあるそうです。それに対して青塚社長は、「お客さんは、わざわざ青塚食堂を目指して来てくれます。期待を裏切るようなものは出せませんよ」と、胸を張ってくれました。
所在地:小樽市祝津3丁目210番地
電話:0134-22-8034
営業時間:10時〜21時(L.O19時)
定休日: なし(年末年始および春のメンテナンス時期は要確認)
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