昨年(2017年)、釧路市動物園で20年ぶりに生まれたレッサーパンダの赤ちゃんが今、注目を集めています。生まれて50日目で母親が亡くなり、飼育員により人工保育で育てられた、生後約7カ月(2018年2月現在)の女の子です。今ではすっかり元気になり、毎日ぴょんぴょん飛び跳ねる様子を見ることができます。そんな赤ちゃんの命名式が2月11日に行われました。一体、どんな名前になったのでしょうか?
赤ちゃんの名前は一般公募で決定
先にネタばらしをしてしまいましょう。赤ちゃんの名前は「コキン」です。命名の由来は、亡くなった母親「キン」の「子」だということ。さらにはキンの母親で、赤ちゃんにとってはおばあさんの名前がココだという意味も含まれています。動物園で愛称を募集し、いちばん応募の多かった名前が付けられたということです。
▼命名式の様子(写真提供:釧路市動物園)
母親キンは札幌市円山動物園生まれ。2016年6月に繁殖のため、釧路市動物園に移動しました。
▼母親のキンは、美人レッサーパンダとして人気が高かったのだとか(2015年撮影)
キンとペアになったのは、2014年に茶臼山動物園から釧路市動物園に移動したシンゲンです。ペアになってすぐに子どもが授かりました。
▼気の強いキンに実はたじたじだった父親のシンゲン(写真提供:釧路市動物園)
ちなみにコキンの名前の由来でもあるおばあちゃんのココは円山動物園で元気に暮らしています。
▼おばあちゃんのココ。日本でいちばん美しいレッサーパンダと言うファンもいる(2015年撮影)
【動画】シンゲンとキンの同居の様子はこちら(2016年11月撮影)
母親亡き後の飼育員たちの奮闘
生まれて50日、まだ自分で動くこともできないぐらい小さな状態だったコキン。前日まで元気だった母親キンが亡くなるなんて、まさか誰もがまったく予想もしていなかったことでした。そのため、ミルクの確保や保育場所の設置など、慌てることもいろいろありましたが、なんとしても育て上げたいという思いが飼育員たちを奮い立たせました。
▼まだ自分で動くこともままならない様子のコキン(写真提供:釧路市動物園)
実は、担当の飼育員はレッサーパンダの人工飼育ははじめて。ほぼ手探りでの挑戦でした。最初は人を怖がるので、ミルクを飲めるようになるまでが心配だったそうです。
▼最初は巣箱からでるのすら怖がったコキン(写真提供:釧路市動物園)
母親から学ぶべきことは、哺育マニュアルを参考にしましたが、マニュアル通りに行かないことも多く、試行錯誤の繰り返しだったと飼育員さんは振り返ります。
▼飼育員控え室で育てられ、元気いっぱいに育ったコキン(写真提供:釧路市動物園)
臆病で警戒心の強いレッサーパンダですが、コキンは人に育てられたためか人懐こい性格で、好奇心旺盛に育ちました。ちなみに撮影のため筆者がカメラを構えたところ、逃げるどころか近づいてきてなかなか撮影ができないという、うれしいんだけど仕事がはかどらないジレンマもありました。
▼人に興味津々、好奇心旺盛なコキン
昨年末に公開され、その愛くるしさから瞬く間に動物園の人気者になったコキン。ただ、最初は屋外に戸惑い、飼育員さんのそばを離れない、飼育員がいなくなるとすみっこで震えているということもあったようです。環境にもすっかり慣れて、所狭しと飛び回っている今の姿からは、もはや想像もつきません。
▼まだ体型も子どもっぽく、見る者をメロメロに
前回、北海道ファンマガジンが取材した際に教えてもらった釧路市動物園のコンセプトは「いのちとふれあい、いのちをつむぐ」。今、まさにおばあさんのココから、母親のキンから、そして飼育員の努力によって紡がれてきた生命が、コキンの中で力強く息づいています。そんな生命と触れ合うために、ぜひ動物園へ足を運んでください。実際に見てみると、コキンの魅力にハートを撃ち抜かれちゃうかもしれませんけどね。
【動画】すくすく成長! やんちゃなコキン
所在地:釧路市阿寒町下仁々志別11番
電話:0154-56-2121
開園時間:4月10日~体育の日:午前9時30分~午後4時30分、体育の日の翌日~4月9日:午前10時~午後3時30分
休園日: 12月~2月の毎週水曜日(祝祭日にあたる日を除く)、12月29日~1月2日(年末年始)
入園料:一般 570円、中学生以下 無料
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