函館でハンバーガーと言えば、「かつてマクドナルドを撤退させた」と伝説的に語られるご当地チェーン「ラッキーピエロ」を思い浮かべる方が圧倒的に多いはず。
函館の歴史をひもとけば、マクドナルドの函館1号店が函館駅前の「大門地区」に進出したのは1984年。すぐ近くにラッキーピエロがあったからかどうかは定かではありませんが、この店はわずか3年あまりで閉店。2014年12月に27年ぶりに大門地区に再出店するまで、函館中心部はマクドナルド空白地帯となっていました。
そんな、ハンバーガーをめぐる戦いの歴史が刻まれた函館・大門地区に、独自の新興勢力があるのをご存じでしょうか。その名も「バーガーショップ HOT BOX」。ラッキーピエロ(函館駅前店)まで徒歩約3分、マクドナルド(函館松風店)は電車通りをはさんですぐ向かいという場所に位置するハンバーガー店です。
▼カウンターとテーブル席がある
▼アメリカンな雰囲気の落ち着いた店内
地元産の黒毛和牛を使用!
さっそく、女性に一番人気だというアボカドチーズバーガー(1,120円)を作っていただきました。ミートパティは、名だたる料理人たちから高い評価を得ている北斗市「おぐに牧場」の黒毛和牛とオーストラリア産ビーフを、旨みと歯応えを活かすバランスでブレンド。
▼女性に人気の「アボカドチーズバーガー」。同店のハンバーガーにはフレンチフライポテトが必ず付く
「せっかくなら道南のお肉を使いたい」と店主自ら道南各地のお肉を食べ比べ、脂がさっぱりしていてしつこくないことから同牧場の肉を選んだといいます。この2種類の肉を毎日手作業で荒く刻み、つなぎを一切使わずに混ぜ合わせて手ごねし、成形します。これを備長炭でじっくりと網焼きにすることで余計な脂分が落ち、うまみはしっかりと閉じ込められるのだとか。網焼きしたパティを鉄板やフライパンで焼いたものと比べると、「味の深みが全然違う」と店主の棟方さん。
「パンもおいしくなければトータルバランスが良くならない」とバンズにもこだわり、地元で評判のパン屋さん「神戸こむぎ館」に天然酵母使用のオリジナルバンズを特注。切った面を炭火で軽くあぶり、表面はカリッと、中はもっちりとした食感を引き出します。
▼注文を受けてからパティを備長炭で網焼きに。バンズも切った面を軽くあぶる
▼パティが焼き上がるまで10~15分ほど
パティが焼き上がるまで10分ほどかかるため、ハンバーガーにありつけるのは注文してから少なくとも10~15分後。牛肉と脂が焼けていく香りに期待感が高まります。おなかをすかせながら電車通りに面した窓から行き交う人や車を眺めていると、「できましたよ」と店主の声。ぜいたくにもアボカド半個分を使ったアボカドチーズバーガーがお皿の上にお目見えしていました。
食べにくい大きさではないので、両手でしっかりとつかんでかぶりつきましょう。一口ほおばるだけで、圧倒的なお肉の存在感が口の中いっぱいに広がります。それでいてしつこさはなく、脂が多いだけではない牛肉本来のうまみがしっかりと感じられます。
▼店主の棟方さんが1個ずつ心を込めて手作り
▼店主が着るオリジナルTシャツの背中には「No Burger,No Life!!」の文字が
「高い」と文句を言った人も、食べれば納得
店主の棟方さんは、もともとハンバーガーが大好き。「いつか自分でハンバーガー店を開きたい」と全国各地のハンバーガーを食べ歩き、「本格派のハンバーガーを函館にも広めよう」と一念発起して2014年に「バーガーショップ HOT BOX」を開店しました。材料にこだわった分原価が高くなってしまうため、開業前はハンバーガーの値段を1,000円からにしようと考えていましたが、「函館では絶対誰も買わないよ」といろんな人に言われて断念し、最も安い「ハンバーガー」の値段を850円に設定。
ふたを開けてみたところ、意外にも地元のお客さんがたくさん足を運んでくれ、情報に敏感な若い世代の間で「値段は高いけどうまいハンバーガーを売る店」としてちょっとした話題に。それでも最初のうちは「高いじゃないか」と文句を言うお客さんもいたそうですが、実際に食べたら誰もが値段に納得してくれたとのこと。開業して間もなく目の前にマクドナルドが出店し、2016年5月には原材料の高騰によりやむなく値上げ(ハンバーガー920円~)に踏み切りましたが、いずれも客足に影響はなかったといいます。
アボカドチーズバーガーのほか、ベーコンバーガーなど常時10種類のハンバーガーを用意しているほか、月替わりのハンバーガーも提供。トッピングを足して、自分だけのオリジナルバーガーを作ることもできます。日中はオリジナルブレンドの豆を一杯ずつハンドドリップするコーヒーとともに、夜はハンバーガーに合う外国ビールとともに陽気にいただくのがお勧めです。
▼バーガーショップ HOT BOX
所在地:函館市松風町3-11
電話:0138-22-2772
営業時間:11:30~21:00L.O. 日曜、祝日11:30~20:00L.O.
定休日:水、第3火
駐車場:なし