北菓楼札幌本館オープン!歴史的建造物旧文書館別館の歴史を継承

北海道開拓おかき、バームクーヘン妖精の森などで知られる砂川市の「北菓楼」は、札幌旗艦店舗となる札幌本館を2016年3月18日にオープンする。新店は歴史的建造物・旧文書館別館跡(もんじょかんべっかん、中央区北1条西5丁目1-2)の建物を継承して活用し、店舗として、また憩いの場(サロン)として誕生する。

北海道初の図書館と美術館が生まれた場所

北菓楼は創業25年。本社のある砂川市に砂川本店(1996年)、小樽市に小樽本館(2002年)をオープン。このたびのオープンで札幌市中心部に旗艦店舗を持つという同社の長年の夢がかなう。テーマは社交場(サロン)で、食・芸術・文化・産業などを発信しつつ人々と交流することで、500年、1000年と続く北海道の文化が育まれていく場を創りたいとの想いが込められている。

その舞台となる旧文書館別館は、大正時代の1926年に北海道初の本格的な図書館「北海道庁立図書館」として建設された。1967年、画家・三岸好太郎氏の作品が北海道に寄贈されたのをきっかけに北海道初の美術館「北海道立美術館」として開館。1977年には「道立三岸好太郎美術館」、1987年から2014年までは「北海道庁文書館別館」として古文書等を保管してきた。1990年には「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選ばれている。

改築前の建物は、レンガ・鉄筋コンクリート造り4階建て、延べ面積約1200m2。柱が複数階にまたがるジャイアントオーダー、直線を用いた幾何学的意匠が特徴のセッション様式でデザインされた外壁は歴史的価値が高く、当時の札幌の姿を今に残す数少ない歴史的建造物である。開拓期から市民の間で「チャチャニレの木」として親しまれてきた樹齢500年以上の大木もあり、1938年に水飲み場が完成して以降も市民の憩いの場となってきた。

▼当時の道庁立図書館とチャチャニレの木(道立図書館発行「道立図書館50年史」)

歴史的価値を保存するとともに失われた過去を復元

新店舗の基本デザインは建築家の安藤忠雄氏が担った。設計計画によると、竣工当時の景観を最大限保存・修復し、歴史を継承する。3階建てになるものの、南側と西側の外壁、一階正面玄関は現状保存とし、過去の改修工事で失われた塔屋の屋根を復元する。

店舗部分は3階分の高さの吹き抜けを持つ大空間になり、1階はショップ、2階は多目的スペースに。建物の歴史を展示するギャラリーも設置する。2階に設置されるカフェスペースの壁には、図書館としての歴史を感じさせるよう北海道の歴史とお菓子の本で埋め尽くす。このスペースではミニコンサートなどのイベントも行われる予定だ。

札幌市民に親しまれてきた歴史ある佇まいを建物内外で継承しながら、菓子店舗として、また市民のサロンとなるような空間を目指したと安藤氏。旧文書館別館は、建物の歴史、市民の憩いの場としての歴史をしっかりと継承した北菓楼札幌本館として新たな一ページを刻む。