茶に特化したイベントを札幌で―3年越しの夢実り「北の茶縁日和」開催

9月27日に行われた「北の茶縁日和~ぶらり喫茶散歩道~」へ行ってきました。会場は地下鉄東西線バスセンター前駅徒歩3分のところにある北海道神宮頓宮です。道内で茶に特化したイベントは珍しく、日本茶、中国茶、台湾茶、紅茶など、誰もが気軽に楽しめるイベントとして注目。伝統ある神社の境内で、茶の香りに包まれながら筆者もブースめぐりを楽しんできました。

1日かけて茶が楽しめるイベント、300年の伝統技術「手揉み茶」実演も

札幌市内はもちろん、静岡県からの出展者もあり、茶葉や茶菓子、茶器などの雑貨販売、ワンコイン茶席など30以上のブースがズラリと並んでいます。和室での「お茶席」や、茶と菓子がついて1000円代で受講できる「ミニセミナー」も開催。お手頃価格で、東南アジア唯一のフランスカカオの鑑定士による「チョコレートのデギュスタシオン」や、自分の体質にあうお茶がわかる「はじめての薬膳茶」、「はんなり京言葉レッスン」など充実の内容。また、お茶の試飲や無料プレゼントもあり、いつの間にか心も体もポカポカ。1日かけて楽しめるイベントです。

▼社務所内のブース風景

▼無料お茶プレゼント、ワンコイン茶席




ブースめぐりをしていると何やら人が集まるブースが!! のぞいてみると日本茶製法300年を継ぐ伝統の技術「手揉み茶」の実演が行われていました。手揉みの技術は静岡県指定の無形文化財です。実演しているのは、札幌在住の畠山仁さん。静岡県茶手揉保存会教師、皇室献上茶謹製の経験者です。機械刈り・機械揉みがほとんどといわれる現在も、手で摘んだ新芽を約6時間かけて手揉みしています。

▼こどもお茶体験

日本茶インストラクター協会北海道支部による「無料こどもお茶体験講座」もあります。インストラクターから茶にまつわる話しを聞き、茶を味わうまなざしは真剣そのものです。

▼北海道ゆめぴりか使用の玄米茶

しずおか御前埼茶商協同組合のブースでは、北海道と静岡のコラボにより誕生した「つゆひかり玄米茶」を発見。こちらは道産ゆめぴりかの炒り玄米と、静岡県御前埼産のつゆひかりをブレンド。北海道にはおいしい米があるにも関わらず、これまで、玄米茶として使用することがなかったことに注目して作ったといいます。一口味わうごとに、玄米の香ばしさが口のなかに広がって味わい深い逸品です。

▼茶香炉、古くなった茶葉は室内の香りに。茶種クイズラリーも




全問正解するとプレゼントをもらえる茶種クイズラリーにチャレンジ。なかにはショップで見られないという茶葉もあります。手にとって茶葉の感触や香りを体験できるのがおもしろい点です。

夢を思い描いてから3年、予想以上の反響に涙溢れる

同イベント主催者で、中国の国家資格である茶藝師の草間こずえさんに「北の茶縁日和」を開催したきっかけについて聞いてみました。「東京浜松で行われる地球にやさしい中国茶会に手伝いとして参加した時のこと。自分の茶杯を持って、銘柄や茶種、どこの店の客かなどにとらわれることなく、自由にブースめぐりをしている姿に感動を覚えたのがきっかけでした」。また、お茶を通して、地域との交流も深めてもらえたら、という願いから、神社というオープンで、縁を感じられる場所で行いたかった、とも。

夢を思い描いてから3年ーー。草間さんの思いに共感してくれる人たちがあらわれ、開催決定からわずか2ヶ月で実現に至ったのです。

ただ、全てが順調だったわけではありません。
「茶園の育たない札幌という地域で、集客はできるのか」
などの厳しい指摘もあったとのだとか。初めての開催に不安が募り、参加者が誰もいないという夢を何度も見たと話してくれました。

しかし、開けてみると、どうでしょう。出展者の数も当日の来客数も、すべてが予想をはるかに上回る結果となったのです。「会場で大勢の人がお茶を楽しんでくださっている様子をみて、涙が出ました」と、目頭を押さる草間さん。

今後も毎年1回、新茶のとれるシーズンに開催したいと目を輝かせます。次回は2016年7月2、3日に、同会場にて予定されています。

お問い合わせ
北の茶縁日和実行委員会
mail:kitanochakai@gmail.com
TEL:011-207-7758 日本茶にちげつ(12:00~20:00)