話題になっている北3条広場の巨石―そもそもこの巨石は一体何なの?

【札幌市】今年誕生した札幌市中央区の北3条広場。その広場の東側の端に、一つの巨石が置かれている。撤去予定を過ぎた10月もこの場所に置かれたまま。市民から人気で惜しむ声があったため、最終的に札幌市が買い取ることになり、話題となっている。札幌市民の中には見たことがあるという方も多いかもしれないが、この巨石は何なのか、なぜあるのか、知らない方もいるかもしれない。え、ずっと置いておくものじゃないの?という声もあるかもしれない。ということで、これについて若干触れておこう。

札幌国際芸術祭で展示した作品の一つ「一石を投じる」

実はこの巨石は、札幌国際芸術祭の作品の一つ。札幌で初めて開催された国際的アートフェスで、2014年7月19日~9月28日まで開催された。都市と自然の共生のあり方を考える「都市と自然」をテーマにした同イベントでは、世界各地の現代アーティストが札幌市内各所で展示などを行った。

北3条広場会場の目玉ともいえる作品が、同広場オープン時から展示されている巨石だ。高さ3m、重さ10t以上という大きな石には「一石を投じる」という作品名が付けられている。平取町二風谷地区の沙流川流域からこのイベント開催に合わせて運んだ幸太郎石で、「石が札幌の街を見にやって来て、閉幕と共に石がまた自然の元の場所に帰っていく」というストーリーがあるため、元の場所に戻すまでが本来のプロジェクト。

作者である島袋道浩さんはドイツ・ベルリンを拠点に活動する芸術家だ。明治時代から整備され碁盤の目がある、直線的で曲がったものが少ない印象の札幌の街に、曲線のある自然のものを持ち込みたかったという島袋さん。まさに北3条広場は、札幌で最初に舗装された道路であり、行政の中心・道庁に通じる場所に自然の石が置かれたというのはふさわしい。

人気作のため残してほしいとの声が殺到

そんな作品は、北3条広場オープン当初から置かれており、江別市・米澤煉瓦株式会社産レンガ約21万個が敷き詰める広場に妙に馴染んでいる。閉幕した9月末で撤去する予定だったが、人気作品で、市民から残してほしいという声があったため、継続展示している。札幌市はこの作品を購入し、場所を問わず展示を継続することを決定した。札幌で初開催されたアートフェスティバルの象徴の一つとして今後も残っていく予定だ。※後に、札幌市資料館での展示が決まった。

▼映像で見る北3条広場オープンと「一石を投じる」