ギネス級のトマトが頭上を覆う! えこりん村の世界一「とまとの森」

【恵庭市】恵庭には、2013年11月にギネス世界記録(TM)に認定された世界一の「とまとの森」があるのだが、ご存じだろうか。場所は「えこりん村」。ガーデン用具を販売する「ガーデンセンター花の牧場」奥に大型ハウスを設け、新たな世界記録更新を目指し、毎年栽培を続けている。

▼トマトの実が手を伸ばせばすぐ届く高さにあるが、触ってはいけない。「きゃー!からだに触らないで、お嫁に行けなくなっちゃう」「ほめて励まして」など、まるでトマトが話しているかのようなチャーミングな札がぶらさがる。


頭上を覆う赤いトマトたち、その秘密は「水耕栽培」にあり!

ハウスに入ると、中央に大型木箱があり、その中央部から太い茎が伸びる。そこからハウス全体に広がるように枝が広がり、赤々としたトマトが実っている。赤い実は枝の中央部だけで周囲はまだ緑色。日にちが経つにつれてそれらも赤くなっていく。トマトの木全体を見下ろす階段も設けられており、緑色の葉っぱと花を見渡すことができる。トマトのたった一つの小さな種がこんなに大きくなるのか!と驚くこと間違いなしである。

▼巨大なトマトの木の根本には木製木箱がある

▼階段を上って上から見下ろす

しかし、これ、何も特別のトマトの品種ではなく、普通のトマトと同じだそう。なぜこれほど大きなトマトの木が育つのだろうか。それには栽培法が関係している。中央の巨大な木箱の底には液肥槽があり、上部にある深さ10㎝の水槽との間を、酸素や肥料を混入させた井戸水が循環している。広がり直径8mの木では、1日で約200リットル(暑い日は250リットル)も水を「飲む」のだという。さらには、水温やpH、肥料のバランスなども考えながら、ストレスを与えることがないよう育てている。当然農薬は使わない。

▼きめ細かい管理を行っている。水槽は深さ10㎝

土がないのには理由があり、のびのびと根を伸ばせるようにするため。こうすることで水の中に根が広がり、それに比例してトマトの木も大きく成長することができるという。このような植物の潜在的な能力を引き出す栽培法を「水耕栽培」といい、植物学者・野澤重雄氏が発明した画期的な栽培法である。

また、朝と夕方の30分間、植物が好むとされるモーツァルトの名曲やインドの古典楽器シタールの音色をトマトの木に聴かせている。こうすることで、植物のさらなる成長を促しているという。

世界一記録が生まれた2013年

えこりん村で世界一のトマトの木を育てる取り組みは2006年に始まった。実った数は、初年度は11781個、その後15000~17000個で推移。2012年には17402個を実らせ、日本一となった。そして2013年、「トマトの木の大きさ世界一」として、それまで最高だったアメリカ合衆国・ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの56.73m2(2007年3月27日)を上回る85.46m2を計測し、世界記録を塗り替えた。同年11月10日にはギネス世界記録(TM)としても認定されている。

▼世界一になった茎。年輪はない。こんなに太いトマトの茎を見られる機会は少ない

トマトの栽培を担当するのは高橋克拓さん。毎年11月下旬には種をまき、通常3日後に芽が出るのだが、二週間後には複数のトマトの苗から世界一を目指す本命の苗を決め、30日後以降はそのトマトの栽培に集中する。水や肥料は日によって必要量が異なるため、その時々に無くなっていればあげるという、きめ細やかな管理が必要となる。そのように育てられたトマトは、150日後のGW間近になるとお披露目され、350日後の展示終了まで、ほぼ1年間面倒を見ている。最終的には、年間20000個のトマトを実らせることが目標という。

▼同じ日に植えたトマトの木がもう一本あるが、こちらは小ぶりの木。いかに水耕栽培が効果的か物語る。

なお、ハウス内には関連トマトグッズの販売も行われている。中でも注目は「とまとの森のトマトゼリー」(1個180円、5個900円)。もちろんここで採れたトマトを使ったゼリーである。冷たいゼリーも販売しているほか、スタッフによれば、凍らせて食べるのもおいしいということなので、これからの季節にピッタリ。


ギネス世界記録(TM)を樹立したことでさらに注目されている恵庭の新たなスポット「とまとの森」。是非訪れていただき、ギネス級のトマトの木を楽しんでいただきたい。

▼映像:2014年は9代目のトマトの木。2013年11月25日に種を植えた。6月はじめ、190日目時点で、枝葉の広がり直径8m、約2400個のトマトが実り、うち約700個が赤い実。

えこりん村・とまとの森
恵庭市牧場277-4
TEL:0123-34-7800
営業時間:4月~9月、 9:30~19:00、入場無料