世界最大級の風車10基を建設完了!稚内で夢を実現させた一企業の物語

道内各地の特産品や地場産業の話題をお伝えする連載、「北洋銀行のこの街紹介」。今回は稚内市からお届けします。

日本の最北端に位置する稚内市。オホーツク海と日本海に面しているため風が強く、その利を生かして風力発電に取り組んできました。自然エネルギーの風力発電に希望を抱き、約15年も前から構想を練っていた会社があります。「最北端からエネルギーと食料を全国へ」という信念の下、とうとう風車建設を実現させた、有限会社稚内グリーンファクトリー(以下グリーンファクトリー)です。一体、どのような経緯で夢の実現にこぎつけたのでしょうか。

準備万端で時を待った結果

昨年まで、稚内市には74基の風車があり、市内の総世帯をカバーできるほどの電力を生み出していました。ただし、この数は2001(平成13)年から増えていません。送電線の容量の関係で、長きにわたって新規の風車増設が認められていなかったのです。

そんな中、グリーンファクトリーの渡辺義範社長は将来的な風車建設を見据え、少しずつ山を買うなどして準備を進めてきました。風力発電にクリーンエネルギーの活路を見いだし、さらには風力発電が地域おこしにも繋がるのではないかと考えたからです。

▼環境にも優しい風力発電

そして2012(平成24)年、いよいよ3万キロワットの拡大が認められ、風車増設のための抽選会が北電により行われました。そこでグリーンファクトリーは、見事、枠を引き当てたのです。新設するのは、風車10基。満を持して2016(平成28)年より、着工しました。

陸上風車としては世界最大級

グリーンファクトリーが風力発電最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京)と共同で建設した風車は、陸上風車としては世界最大級の大きさのもの。支柱であるタワーは80メートルもあり、ブレードと呼ばれる羽は一枚54メートル、実に15トンもの重さがあります。

これだけの規模ですから、大変なのは風車の移動や組み立てる場所の確保でした。タワーは4つに分解できるので移動も比較的スムーズですが、問題なのはブレード。分解できず、そのまま現地まで運ぶしか方法がありません。

▼トレーラーに載ったブレード(写真提供:稚内グリーンファクトリー)

トレーラーの荷台に搭載されたブレードは圧倒的な迫力で、それを目の当たりにするだけで風力発電の威力を実感せずにはいられません。1基ずつ着実に風車を組み立て、ついに今年10月、最後となる10基目の風車が組み立てられ、すべての建設が終了しました。

▼新設された風車が並ぶ景色

もともとグリーンファクトリーは農業関係や環境アセスメントなどの事業を展開してきた会社。だからこそ、風車建設の際には、西稚内方面から利尻富士の見える場所には建てないなど、景観にも気を配ったといいます。

こうして建てられた新規の風車10基により、これまで稚内市の総世帯をカバーできていた電力が、企業や会社なども含めすべてカバーできるようになるということ。これから試運転を開始し、本格的な営業運転は2018(平成30)年の1月下旬か2月上旬頃になるそうです。「最北端からエネルギーと食料を全国へ」という会社のスローガンが実現する日まで、もうあと少しです。

取材協力
有限会社稚内グリーンファクトリー
所在地:北海道稚内市大字宗谷村字増幌1086番地
電話:0162-26-2641
公式サイト

北洋銀行稚内支店

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TEL:(0162)23-3710