雪解けとともに出てくる「滑り止めの砂利」はどこへ行く?作業に密着

筆者は、雪が降らない地方から札幌に移住してきました。3年前の4月末、札幌にようやく春が訪れつつある季節のことでした。

札幌に住んですぐに感じたのは砂ぼこりが多いな、ということ。理由は、その年の冬にわかりました。それは、滑り止めとして砂利を撒くから。こちらでは普通のことですが、公共の道路に砂利を撒く!とかなり驚いたことを思い出します。

さて、今回の本題はここから。滑り止めとして撒かれた砂利は、雪が溶けたらいったいどうなるのでしょうか。

▼このように、町のいたるところに滑り止めの砂利が置かれている

札幌市の砂利処理作業に密着!

道路に撒く砂袋には、札幌市とプリントされています。ということは札幌市の管轄だな、と推理し、いざ札幌市役所へ。聞けば、砂利を管理しているのは建設局土木部の道路維持課とのこと。さっそく突撃取材を試みました。

撒かれているのは、5~2.5m/mのサイズの砂利。7号砕石と呼ばれるもので、冬でも凍らないように、一度熱して湿気を飛ばしています。この砂利を数ヶ月にわたり、歩道や道路に撒いていくというわけです。雪が溶けると大量の砂利が出てくるのは、容易に想像できます。

▼熱して水分を飛ばしておかないと真冬は塊になってしまって撒けないのだそう

札幌市が管理している道路は総延長で5,600km。雪が溶け、歩車道境界縁石が露出してくる3月下旬頃、いよいよ処理作業が開始されます。

▼雪が溶けはじめると、たくさん出てくる砂利、砂利、砂利

砂利処理を行うのは、専門の業者です。人の多い都心部は、朝5時から7時頃まで。その後は都心以外の処理を行います。ではここで、基本的な作業の流れを紹介しておきましょう。

1.歩道の砂利を人力で道路に落とします。その時、祖ゴミを拾います。

2.ほこり防止のため散水車で水を撒きます。

3.スイーパー車と呼ばれる道路清掃車のブラシで土砂をかき寄せて積み込みます。

4.スイーパー車で取りきれなかった泥を散水して路肩に寄せます。

5.スイーパー車に泥が積み込まれ、ある程度貯まったらダンプトラックに積み込みかえます。

6.ダンプトラックが満杯になったら、手稲にある処理場に持っていき、埋め立てに使われます。

【動画】道路に貯まった砂利の清掃作業

大通公園と中島公園の場合は

滑り止めの砂利が撒かれているのは、道路だけではありません。たとえば大通公園では、さっぽろ雪まつりの時に大量に砂利を撒きます。そのため、さっぽろ雪まつり実行委員会が砂利処理の管理をしています。こちらも基本的な流れを紹介しておきましょう。

1.人力で砂利を集めます。

2.集めた砂利の山をいくつか作ります。

3.ある程度集まったらダンパーと呼ばれている汚泥吸引車で吸い取り処分します。

また、2ヶ所の地下鉄駅がある中島公園も、撒かれる砂利の量が多い公園です。

中島公園の砂利処理は、札幌市建設局みどりの推進部みどりの管理課が管理していて、中島公園管理事務所の作業員が人力で砂利を掃き集めます。集められた砂利は大きなゴミを取り除き、土嚢袋に詰め、天気がよいときに干して乾かします。次のシーズンに再利用されるのだそうです。

▼天日干しされている使用済みの砂利

いかがでしたか? 冬の間に撒いた砂利は、考えてみれば当然のことかもしれませんが、人の力できちんと処理されていたのです。たくさんの人の力が働いて、冬の後始末をしていく様は、ある種のダイナミズムさえ感じることができました。こうした人たちの力で、札幌市は無事に春を迎えることができるのでしょう。