十勝川に白い龍が横たわる?! 真冬の早朝に十勝が創り出す感動風景2選

北海道は広く、場所によって、時間によって、冬の表情は異なります。とりわけ今回紹介する「十勝川雲龍」「猿別川霧氷」は、寒さの厳しい厳冬期の早朝に十勝で観察できる自然現象です。しばれる十勝だからこそ見られる現象を、早起きして見学してみましょう。

十勝平原に白い龍が横たわる?! 十勝川の「雲龍」(音更町)

十勝晴れという言葉が表すように、1~2月の十勝地方は晴天率が高く、放射冷却現象が生じます。そのため地表の温かさは急速に奪われ、マイナス20度近くまで冷え込むことが多くなります。その影響から、十勝平野を流れる最大河川・十勝川に「白い龍」が高確率で発生します。

白い龍の正体は「川霧」。十勝川の流れに沿って龍が浮かんで横たわっているかのように見えることから「雲龍」と呼ばれるようになりました。発生条件は、日の出直後の早朝であること、気温がマイナス15度以下であることです。この条件に適うのは1月~2月になります。

見学場所として知られるのは、十勝川温泉近くの高台、十勝が丘展望台です。天気の良い日だと、日の出前からカメラマンが待機していることも。顔を出した太陽の光に川霧が照らされると、幻想的な写真を撮ることができます。

雲龍は時間と共に刻々とその表情を変えます。河川敷で間近に見てみると、雲のように移動していることがわかります。また、雲龍の中に入ってみたいという希望も、十勝川温泉近くに架かる十勝中央大橋を走れば可能。展望台からだけでなく近くで見てみると、雲龍をさらに楽しむことができるでしょう。なお、十勝川温泉街にほど近いため宿泊問題はクリアでき、早起きさえできれば難易度は高くありません。


▼動画:十勝が丘展望台からの早朝の雲龍

▼動画:十勝中央大橋の雲龍に突っ込む

マイナス20度以下ならではの幻想的風景!猿別川の霧氷(更別村)


更別村の猿別川流域の湿原は、厳冬期になると全国から写真家が撮影に訪れる撮影スポットです。それはなぜか――。川の水面から立ち上る水蒸気が川霧となり、また、その水蒸気が凍って川沿いの草木に付着する霧氷と呼ばれる現象が発生するからです。

霧氷の発生条件は、マイナス20度以下であること、風が少ないこと、水蒸気があること。撮影ポイントは看板が設置されており、毎年2月上旬~中旬まで見ることができます。太陽が昇ると、猿別川から立ち上る川霧と、白く化粧された草木とが、幻想的な光景を作り出します。


今回ご紹介した十勝の厳冬期に早朝に発生する自然現象は、マイナス15~20度以下という厳しい環境が必要。ということで、とても冷え込みますしじっとしている必要もありますので、過剰なほど厚着していくことをお勧めいたします。