タンチョウなど希少な鳥類を学べる「環境省釧路湿原野生生物保護センター」

釧路湿原を一望できる有名観光地「釧路市湿原展望台」からほど近い場所に、「環境省釧路湿原野生生物保護センター」があるのをご存知でしょうか。観光スポットとしてはあまり知られていませんが、タンチョウ、オジロワシ、オオワシ、シマフクロウなどの大型希少鳥類を学べる展示スペースが設けられています。

ラムサール条約国際会議の開催年に創設

「野生生物保護センター」は、国内希少野生動植物種など地域特有の野生生物について展示・保護・増殖・調査研究を行っている環境省の施設。北海道海鳥センター(留萌管内羽幌町)など全国各地に設置しています。

釧路市郊外に設置されている「環境省釧路湿原野生生物保護センター」は、ラムサール条約の第5回締約国会議が釧路で国内初開催された1993年(平成5年)に整備されました(釧路湿原は1980年に国内で初めて登録)。その名が示す通り、釧路湿原を中心とした道東エリア(阿寒湖、知床など)の希少な野生生物の保全活動拠点として開設されました。

特に、シマフクロウなど道東の希少な鳥類のモニタリング調査や研究をしているほか、けがをした鳥類の自然復帰を目指して保護・治療・リハビリ・放鳥が行われています。

釧路湿原の大型希少鳥類を学べる展示スペース

2021年にリニューアルされた展示室

施設は研究施設と展示施設に大別され、そのうち一般開放されている展示施設を見学できます。

展示施設では、道東エリアの野生生物、湿原の保護についてパネル・ジオラマ・レプリカ展示を行ってきました。特に、同施設で保護しているシマフクロウ、タンチョウなど、絶滅の恐れがある大型希少鳥類についての展示が充実しています。

2020年4月には、開設以来初となる全面リニューアル工事のため、1年以上にわたり臨時休館し、2021年8月10日にリニューアルオープン。木造2階建てのセンター本館と付随建物(約1006平方メートル)を改修し、11棟(約253平方メートル)等を解体し、4棟(約743平方メートル)を増築しました。

リニューアルでは展示施設が刷新され、新たな飼育施設が整備されました(入院ケージ・リハビリ施設を増築・拡充し、鳥インフルエンザなど感染症対応の隔離施設を新設)。また、老朽化したセンター本館の外壁を修繕しました。

2021年のリニューアルで誕生した「四季のグラデーションウォール」

展示室には「四季のグラデーションウォール」を配置。シマフクロウ、タンチョウ、オジロワシ、オオワシなどの生態が学べる大型パネル、はく製、ジオラマ、映像を新設し、見ごたえがアップしました。また、新コーナーとして、実際の夜の森を疑似体験することもできるようになりました。

環境省は「訪日外国人を含めた来訪者に提供することに加え、希少猛禽類の保全活動を通して人と野生生物の関わりを学ぶことが出来ることに重点を置いた展示改修を行いました」としています。

2021年に増設された屋外の展示ゲージ

展示室に隣接して増設した「展示ゲージ」では、人為的な事故などでけがをしてしまって保護され、自然復帰を目指してリハビリ中のオジロワシ、オオワシを間近で観察することができます(有料バックヤードツアーを専門保護スタッフ同伴で実施)。

人気のバックヤードツアー
所在地釧路市北斗2-2101
開館時間4~10月:9時半~16時半
11~3月:9時半~16時
休館日毎週水曜日、年末年始(12/28~1/4)
電話0154-56-2345