函館 湯の川温泉の高級老舗旅館「割烹旅館 若松」が創業100年目を迎える

北海道三大温泉郷のひとつとして知られる函館市 湯の川温泉にある「割烹旅館 若松」が創業100年目を迎えます。

自家源泉を持つオーシャンビューの温泉、旬の食材を使った繊細で上品な料理、そして昭和天皇も宿泊されたというお部屋。『ミシュラン北海道2012特別版』で星を獲得した老舗高級旅館は2021年4月、休業とリニューアル工事を経て、100周年に向けてスタートを切りました。

昭和天皇もヘレン・ケラーも宿泊

現在「割烹旅館 若松」の名で知られる旅館の歴史は、函館市と合併する前の亀田郡湯川村時代である1922年(大正11年)にさかのぼります。湯の川中心部から少し離れた海岸沿いの現在地に創業しました。1925年(大正14年)発行の「最新函館市外全図」の湯の川温泉の図によると、鮫川右岸(現・湯川町1丁目)で唯一の温泉旅館として「わか松」の名が記されています。

「函館の奥座敷」として知られた湯の川温泉において、「若松旅館」は名立たる旅館の一つとなりました。1937年(昭和12年)6月と1948年(昭和23年)9月の二度函館に来ているヘレン・ケラーは、湯の川温泉に滞在した際、若松旅館に宿泊しました。

1954年(昭和29年)8月には、昭和天皇北海道巡幸の最初の宿泊地として、湯の川温泉の若松旅館に宿泊されたことが記録されています。現在の建物は、創業当時からの意匠や趣向を受け継いだ本館(2階建て)と、後年に増築された新館(7階建て)からなっています。

国道278号に面する「割烹旅館 若松」。裏手は海岸線(提供:若松)

湯の川温泉街の温泉旅館でも1、2を争う歴史を誇る同旅館は、各方面から高い評価を得ており、『ミシュランガイド北海道2012特別版』では料理部門で一つ星を獲得、『ミシュランガイド北海道2017』では宿泊施設として「極めて快適・特に魅力的」を獲得しました。

オーシャンビューの露天風呂と客室が魅力的

津軽海峡と函館山を望む(露天風呂から)

「割烹旅館 若松」の魅力の一つは、津軽海峡に面した立地。全22室はすべて海側に面していて、目の前は砂浜、そして津軽海峡。函館山、晴れていれば下北半島をも望みます。客室にいながら、波が打ち寄せる音に癒されてくつろぐことができます。夏の夜にはイカ釣りの漁火が見られるかもしれません。

客室の例

客室は基本的に和室で4タイプ。まず、新館には和室一間の客室、和室二間の客室のほか、ファミリー向けに7・8階にまたがるメゾネットルーム(展望バスを完備)が2室あります。

展望バスを備えるメゾネットルーム

本館には、古き良き伝統を受け継いでいる和室二間の客室があります。2階の特別室「八千代」は、昭和天皇が宿泊された大部屋を再現した格式高い重厚な造りの客室です。テーブルや壺など彫像品は当時のままだと言い伝えられています。また、檜造りの内風呂もこの客室ならではです。

天皇が宿泊された「八千代」の和室には当時からの彫像品も多数残されている
「八千代」には檜造りの風呂も(現在、温泉は出ない)

自家源泉を持つ温泉

施設玄関前の東屋では、天然の温泉が噴出する様子が見られます。源泉は1885年(明治18年)に掘削されたもので、創業当時からのもの。少ししょっぱく感じるナトリウム・カルシウム-塩化物泉、57.6度の無色透明の温泉がとどまることなく湧き続けています。五十肩・婦人病・リウマチ・神経病に効能があるとされています。

旅館の玄関前で絶えず噴出する自家源泉の東屋

敷地内の源泉を使った温泉が新館2階にあります。自家源泉かけ流しの天然温泉です。男性用浴場は「月の湯」で、御影石の石風呂。女性用浴場は「花の湯」で、直径2メートル以上の古代檜を使った檜風呂が特徴です(男女の入れ替わりはありません)。

男湯「月の湯」
男湯の露天風呂から海を間近に
女湯「花の湯」は古代檜で内湯を囲っている

それぞれに露天風呂が設けられており、客室同様に海の音を聞きながら、また潮風を感じながら入浴を楽しむことができます。入浴時間は、当日15時から24時までと翌朝5時から10時までで、宿泊客限定です。

長期休業を経て2021年4月20日に営業再開した若松。休業中のリニューアル工事では、「華」と「蓮」と呼ぶ2つの貸し切り半露天風呂を1階に増設しました。

2021年4月に誕生した貸し切り半露天風呂(蓮)。宿泊客は45分間無料で利用できる(提供:若松)

四季折々の旬の味を取り入れた会席料理

料理の一例。彩り豊かな食事が味わえる(提供:若松)

ミシュランで一つ星を獲得している若松は、上品で繊細な料理にも定評があります。料理は客室でいただく形式です。

総料理長の成田正吾さんは、魚介類や野菜などその時の季節のものを大切にしており、365日いつ来ても違う料理が楽しめます。見た目も楽しくをモットーに、器にもこだわります。「若松の料理を食べたい」という熱心なファンもいるのだといいます。

料理の一例。彩り豊かな食事が味わえる(提供:若松)
料理の一例。海の幸もふんだんに(提供:若松)

伝統を大切にしつつも最新技術を取り入れた旅館

北海道では珍しい重厚感ある入母屋瓦屋根の玄関をくぐると、広い玄関ホール、本館2階へ続く木造階段、光が差し込む純和風の箱庭が目に飛び込んできます。さりげなく置かれている古風なインテリアが歴史を感じさせます。

箱庭が目に飛び込んでくる玄関
本館2階へ通じる広い階段
本館2階「八千代」の前には昭和から残るとされる衝立も

ロビースペースには、樹齢約2500年という台湾檜の一枚板が立てられているほか、樹齢約400年の東南アジア原産の巨木を使った一枚板のテーブルが圧巻。ひとつひとつにこだわっている様子が感じられます。

ロビースペースの一枚板のテーブル

一方で、オリジナルのアメニティを用意し、全室iPadとスピーカーを完備するなど、最新技術も取り入れた部屋作りをしています。

同旅館の飛田貴宣さんは、「100年の伝統と精神を受け継ぎつつ、新しいことにもチャレンジし、次の100年につながるものを作っていきたい」と話します。「割烹旅館 若松」で100年の歴史を感じながら、函館 湯の川温泉の旅を楽しんでみませんか。

割烹旅館 若松
所在地:函館市湯川町1丁目2-27
電話:0138-86-9626
駐車場:無料(予約不要)

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