【豊頃町】豊頃町といえば、はるにれの巨木がシンボル、町木になっており、あまりに有名。十勝川沿いの「はるにれの木」は豊頃町随一の観光名所であり、毎日観光客が訪れている。はるにれの木がデザインされた看板を町の至る所で見かけるほど、はるにれの木をアピールしている。
そんな「はるにれの木」、実は豊頃町内にもう一つの町指定文化財「はるにれの木」が存在しているのをご存じだろうか。それは、一般的に知られる「幌岡のはるにれ」に対し「二宮のはるにれ」と呼ばれている。それぞれどんな木なのだろうか?では、その二か所の「はるにれの木」を紹介しよう。
幌岡のはるにれの木
こちらはよく知られているはるにれの木で、十勝川左岸河川敷の広大な草地にぽつんと立つ巨木(地図・豊頃町幌岡南9号地先)。推定樹齢は約140年とされており、樹高17m、幅23m、胸高(高さ1.2mの幹)直径1.15m、胸高周囲(幹回り)3.6m(2005年4月現在)。その圧倒的存在感と扇形の枝ぶりが特徴的で、2本の木が支えあっているかのごとく一体化しているために大きく見えるのだという。
河川敷の駐車場からは、はるにれの木と、その手前に立つ2本の木を俯瞰する。堤防を下り草地を歩いてはるにれの木の根元まで行くことができる。近づいてくると、その大きさに圧倒される。根元を見れば、2本のはるにれの木が寄り添っている様をはっきりと確認することができる。開拓時代から150年近く、洪水氾濫や風雪にも耐えながら、町の歴史を見守ってきた。厳しい試練を乗り越え2本で育ってきたその姿から、愛を誓った恋人たちのようだと、カップルたちにも人気がある。現在では年間3万人近い観光客が訪れている。
はるにれの木は季節ごとに見え方も変わる。青々と葉を茂らせた夏もあれば、冬には雪原の中美しい枝ぶりを披露してくれる。また、夕暮れのシルエットも美しい。現地には写真撮影に適したポイントへの案内看板も設置されており、それによれば、木を北側から見るのがベストだとのこと。
なお、はるにれの木は「はるにれを愛する仲間の会」がボランティアで草刈りなどを行い、美しい景観維持に貢献している。駐車場には2階建ての休憩施設「ハルニレハウス」(12月~春は休館、8:00~17:00)があり、ハルニレの写真を展示。2011年には7分に及ぶテーマソング「ハルニレの詩」(JUNCO&CHEEP歌旅一座制作、北埜うさぎ作詞、チープ広石作曲)が完成し、同年10月に初披露された。その曲はハルニレハウスで流れているので聴いてみては?
二宮のはるにれの木
豊頃町にあるもう一つの町指定文化財のはるにれがこちら。シンボルになっているはるにれの木とは姿は全く異なり、お世辞にも美しいとは言い難いが、樹齢は約200年と推定されている老木だ。観光地でもないため、さすがに訪れる人は皆無。
二宮地区は豊頃の町から西へ進んだ場所に位置する。興復社二宮農場の創設者二宮尊親が明治29年(1896年)7月、アイヌの案内で牛首別原野を訪れ、翌年以降続々入植した。現在、二宮構造改善センター脇には、彼の像のほか、その開拓の歴史を見守ってきたはるにれの木がある(地図・道道210号線沿い・豊頃町二宮779番地2)。
二宮のはるにれは、推定樹齢220年、樹高26m、胸高(高さ1.2mの幹)直径1.21m、胸高周囲(幹回り)3.8m(2009年8月現在)。実は、高さについては幌岡のはるにれよりも高い。なお、老木で枝が落下する可能性があるため、木に近づかないようにご注意を。
豊頃町指定文化財の2つのはるにれの木は、1986年2月21日、そろって町文化財に指定された。いずれも豊頃の歴史ある樹木なので、豊頃のはるにれの木めぐりをしてみるのはいかが?