洞爺湖をぐるり取り囲む約43kmの湖畔沿いに、アートギャラリー「とうや湖ぐるっと彫刻公園」があるのをご存じでしょうか。自然の中に溶け込むように、湖畔のあちらこちらに点在するアート作品。その数は実に58基にも及びます。
北海道ファンマガジンでは今回、それらのアート作品をすべて網羅。鑑賞の手助けになればと、ひとつひとつ写真に収めてきました。ぜひ参考にしてみてください。
58基が高らかに唱える「生の賛歌」
▼アートギャラリーの全体図
アートギャラリー「とうや湖ぐるっと彫刻公園」のテーマは、ズバリ「生の賛歌」。作者も多彩なら素材も多彩、具象と抽象の入り乱れた作品群ですが、見ていくうちに、その一貫したテーマを肌で感じることができるはず。
▼各所ポイント毎にこうした案内板あり
このアートギャラリーの構想が生まれたのは、有珠山の噴火で閉鎖された北海道立教員保養所の記念碑「回生」(1984)と、土石流災害の慰霊碑「意心帰」(1988)が湖畔に建立されたことがきっかけでした。どちらも北海道を代表する彫刻家・安田侃の作品です。
そこで今回は、2つの安田侃作品から湖畔を反時計回りに進みつつ、全作品を紹介していくことにしましょう。
まずは洞爺湖温泉街の西端から
洞爺湖温泉街の湖畔沿いは、湖畔遊歩道として整備されています。その西端から東端へと、まずは14基の作品が建ち並びます。
1.「意心帰」安田侃(1988設置)
2.「回生」安田侃(1984設置)
3.「風」山田吉泰(1994設置)
4.「湖渡る風」坂担道(1992設置)
5.「Sun-TOYA 讃洞爺」速水史郎(1993設置)
6.「女」笹戸千津子(1991設置)
7.「旅ひとり」峯田義郎(1992設置)
8.「SKY-交差する気」常松大純(1995設置)
9.「太陽の賛歌」小寺真知子(1991設置)
10.「虹幻想」瀧川嘉子(1994設置)
11.「円錐形にえぐられた立方体」堀内正和(1993設置)
12.「洞照」雨宮敬子(1992設置)
13.「ひまわり」佐藤忠良(1996設置)
14.「湖畔にて」黒川晃彦(1992設置)
洞爺湖園地周辺
温泉街東端からさらに東へ進むと、洞爺湖園地があります。その洞爺湖園地に12基、そして少し離れた壮瞥温泉湖畔桟橋付近に1基あります。
15.「回峰」奥山喜生(1996設置)
16.「時空87~船」石井厚生(1994設置)
17.「シグナル」中井延也(1994設置)
18.「薫風」秋山沙走武(1993設置)
19.「啓示」米坂ヒデノリ(1990設置)
20.「記念撮影-五月のかたち」峯田敏郎(1991設置)
21.「環-SORA」松隅康夫(1992設置)
22.「THE EARTH VIBRATION とうや」近持イオリ(1995設置)
23.「漣舞-リップル・ダンス」関正司(1992設置)
24.「風の水面」伊藤隆道(1990設置)
25.「肖像のある風景」湯川隆(1996設置)
26.「循環」後藤良二(1992設置)
27.「生彩」中江紀洋(1991設置)
洞爺湖東側
さらに東へと進みます。まずは壮瞥公園へと上がっていく道中に1基、そして洞爺湖の東側、ちょうど3時の方向にある仲洞爺湖キャンプ場に4基あります。
28.「風とあそぶ」鈴木吾郎(1993設置)
29.「春~風光る」熊谷紀子(1993設置)
30.「夏~渚へ」神田比呂子(1993設置)
31.「秋~終日」秋山知子(1993設置)
32.「冬~星降る夜に」小野寺紀子(1993設置)
洞爺湖北側
洞爺湖北側を反時計回りに、東から西へと進んでいきます。まずはえぼし岩公園内に1基、洞爺水辺の里財田キャンプ場に1基、夕日が見える渚公園に2基、洞爺湖芸術館より東方400mに1基、洞爺湖芸術館前に1基、洞爺町桟橋付近に1基、洞爺湖町小公園・中公園に3基、少し離れて浮見堂公園に3基、曙公園3基あります。
33.「風景の王国」小田襄(1992設置)
34.「STONE BOY-KAZE(TOYA)」廣瀬光(1994設置)
35.「起源-湖上に向かって」湯村光(1995設置)
36.「月」澄川喜一(1995設置)
37.「湖景夢想」眞板雅文(1996設置)
38.「春遊台」加治晋(1996設置)
39.「波遊」折原久左ェ門(1993設置)
40.「Summer」朝倉響子(1992設置)
41.「風の音’92」山本正道(1991設置)
42.「I was(過去)…I will(未来)…」坂東優(1990設置)
43.「夢洞爺」空充秋(1993設置)
44.「輪舞」國松明日香(1989設置)
45.「胞」掛井五郎(1991設置)
46.「星との交遊」永野光一(1992設置)
47.「1.1√2 12の八角台形」田中薫(1993設置)
48.「風待ち」渡辺行夫(1991設置)
洞爺湖西側
少し内陸部に入り、国道230号線沿いにあるレークヒル・ファーム前に1基、グリーンステイ洞爺湖の敷地内に2基、有珠山噴火記念公園に6基、そしてスタート地点の作品「意心帰」の少し西側に最後の1基があります。
49.「みちしるべ~洞爺の人」速水史郎(1996設置)
50.「色なき風」石川浩(1996設置)
51.「オヨメサントコミチヘ」阿部典英(1993設置)
52.「復活」二部黎(1991設置)
53.「SHOWEN」松本憲宜(1994設置)
54.「うつろひ」宮脇愛子(1993設置)
55.「月の光」イゴール・ミトライ(1991設置)
56.「Muse」明地信之(1995設置)
57.「地殻・原始の海」岡本敦生(1995設置)
58.「残留応力」丸山隆(1991設置)
全58基のアート作品、いかがだったでしょう。こうして並べて眺めてみると、これだけのものが洞爺湖周辺にあるのかと、圧倒されるような気分にはならないでしょうか。
実際にその場に立って湖や緑を背景にしながら作品に対峙する時には、風が吹いているかもしれません、日の光がまぶしいかもしれません、鳥の鳴き声が聞こえてくるかもしれません。こうした感覚に訴えかけてくるすべてが、アートになり得るのです。
実際に58基すべてを回るのは難しいかもしれませんが、洞爺湖を訪れたなら、ぜひ少しでも多くの作品に触れて、体感してみてください。