自動車テストコース王国北海道

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 北海道のキャッチフレーズ「試される大地」が現代にぴったりあう印象
の「テストコース」。言うまでもなく自動車のテストコースですが、北海
道の自動車テストコースの数は全国一といわれています。なぜ?に迫ります。

自動車テストコース王国北海道!

 その数は全26コース(2005年12月現在)。国内の自動車メーカーはもちろ
んのこと、大手タイヤメーカー、自動車部品関連業者もテストコースを道
内に有しており、その合計が26。おそらく全国何処を見ても、これだけの
数がある都府県はないでしょう。

 有名どころで言うと、極寒の地として知られる十勝管内陸別町の小利別
(しょうとしべつ)にテストコースを構える日産自動車。面積が705ヘクター
ルで、一周7.2kmのコースというから驚きですが、さらに高速道路想定試験
コース8.1kmもあり、国内最大級の高速走行用テストコースです。

 ホンダは上川管内鷹栖町(たかすちょう)にテストコースを有しています。
ホンダ鷹栖プルービングセンターと呼びますが、多くのカーマニアをひき
つけるわけとは、世界一過酷なコースと言われるため。同じく上川エリア
士別市には930ヘクタールという、5つの周回路を持つ巨大なトヨタの試験
場もあります。

 道内で最も古いテストコースは、胆振管内鵡川町(むかわちょう)にある
いすゞ自動車のテストコース(1979年~)。面積約440万平方メートルで、
30種類のコースを有しているとのこと。

北海道内主なテストコースリスト

 以上はほんの一例に過ぎませんが、道内にある主なテストコースをリス
トアップしてみました。普段は一般の人は入ることが出来ないわけですが、
あ~ここにあのメーカーの自前のコースがあるんだな~程度にご覧下さい。
1990年代に入って急増してきていることがわかります。

▼道内の主な自動車テストコースリスト
・いすゞ(胆振管内むかわ町)北海道試験場ワーカム北海道1979年~ 440ha
・三菱(十勝管内音更町)乗用車技術センター十勝研究所1996年~ 1020ha
・日産自動車(十勝管内陸別町)陸別試験場1992年~ 705ha
・トヨタ(士別市)士別試験場1984年~ 930ha
・ホンダ(上川管内鷹栖町)鷹栖プルービングセンター1996年~ 532ha
・マツダ(上川管内剣淵町)剣淵試験場1990年~※冬季限定 470ha
・マツダ(十勝管内中札内村)中札内試験場2002年~※冬季限定 26ha
・スズキ(上川管内下川町)下川コース1997年~
・ダイハツ(士別市)1994年~
・スバル(富士重工業)(上川管内美深町)美深試験場1995年工事~
・日野(十勝管内芽室町)芽室テストコース1992年工事~
・ヤマハ発動機(士別市)※1967年からテスト開始
・アイシン精機(エフティテクノ)(十勝管内豊頃町)豊頃試験場1992年~ 約748ha
・デンソー(網走市)網走テストセンター2001年~ 550ha
・ブリヂストン(士別市)北海道プルービンググラウンド1995年~※冬用タイヤテストコースとして国内最大 170ha
・住友ゴム工業(旭川市)旭川タイヤテストコース
・住友ゴム工業(名寄市)名寄タイヤテストコース1991年~
・横浜ゴム(上川管内鷹栖町)1989年~※国産タイヤメーカー初冬タイヤ用T*MARY(TAKASU MOTORING AND RESEARCHING YARD) 19ha
・東洋ゴム(網走管内佐呂間町)冬季タイヤテストコース1993年~ 23ha
・東京部品工業(帯広市)十勝試験場1992年~※日立製作所共用 100ha
・日本除雪機制作所(小樽市)1981年~※日本唯一除雪機専用テストコース
・ボッシュ(大空町・ドイツの自動車部品製造メーカー)女満別テクニカルセンター 2012年ごろ拡張後60ha、周回2.8km

テストコースが多いところとは?なぜ?

 1020ヘクタールという国内最大級といわれた三菱自動車のテストコース
(音更町)を含め、帯広市、芽室町、豊頃町、中札内村、陸別町といった、
十勝管内にテストコースが多いのが特徴の一つです。

 さらに士別市には4社がテストコースを設置しているため、試験/研究の
街と言われます。近くの名寄市や剣淵町、下川町、美深町、鷹栖町を含め
ると、上川管内北部もやはり多い地域の一つであることがわかります。そ
して、道南にはありませんね。

 理由の一つには、寒冷地テストをしたい……というメーカー側の希望
があります。それも北海道の中でも寒い、しばれる気温の低いところを。
かつ広い土地が比較的容易に確保できるということで、名寄盆地、十勝と
いったところが候補としてあがります。

 テストコースでは、メーカーにより様々ですが、圧雪路面、凍結路面な
ど、寒冷地特有の試験を行います。こうして、テストコース王国北海道で
冬場の耐久性をテストしているわけです。

 一部では、テストコースのある自治体在住者に助成金が提示される会社も。下川町にテストコースを設置しているスズキは、スズキの新車1台購入に伴い、5万円を助成するようにしています。