やきとり弁当が根室でも食べられる!? 根室限定コンビニ「タイエー」の謎

ロックバンドGLAYのメンバーが昔から食べていたことで有名になった「やきとり弁当」。函館にあるハセガワストアで売っているのは周知の事実ですが、同じ「やきとり弁当」が実は根室でも食べられることは意外と知られていません。道南と道東、遠く離れた地で同じ「やきとり弁当」が売られているという奇妙な現象。その裏には、たったひとりの情熱が起こした物語があったのです。

店内に漂う良いにおいの正体とは

根室にしか存在しない、コンビニエンスストア「タイエー」。店内に入ると香ばしいにおいが漂ってきます。見れば、もうもうと煙を上げながら慣れた手つきで肉を焼く店員さんの姿が。ここは焼き鳥屋か居酒屋か!? いえいえ、まごうことなきコンビニエンスストアです。

▼店内の中央に調理スペースが!

函館の地元民たちが愛してやまない「やきとり弁当」と同じものが、ここ「タイエー」西浜店でも売られているのです。ちなみに「やきとり弁当」とは言うものの、使われているのは豚の精肉。豚の串焼きを甘辛いタレに絡めてご飯の上に乗せたものが「やきとり弁当」という名で知られるようになりました。さらにうんちくを重ねるのならば、函館や室蘭や根室では、豚の精肉を使った串焼きを「やきとり」、一般的な焼き鳥のことを「鳥串」と言います。

▼やきとり売り場が設けられるほど大人気

それにしても直線距離でも400kmは優に超える函館と根室で、どうして同じものが売られるようになったのでしょう。そのきっかけとなったできごとは30年前にまでさかのぼります。

函館まで突っ走る情熱がすべてのはじまり

昭和60年代、札幌市内にコンビニエンスストアが少しずつ増えはじめた頃、根室市内にはコンビニと言われる店がほとんどありませんでした。のちにタイエーのオーナーとなる田家徹さんは、函館にはハセガワストアというやきとりを焼いているコンビニがあるということを偶然聞きつけます。「自分でもやってみたい!」と思い立ち、何かに突き動かされるかのように函館へ向かいました。ハセガワストアに「店を見学させてほしい」と電話をかけたのが夜8時頃。初対面の田家さんを相手に店の人は夜中の3時までいろいろと話を聞かせてくれました。その人こそが、現在のハセガワストアの会長さんです。

経営のノウハウを学ぶため、実際にハセガワストアで働かせてもらった田家さん。1989年(平成元年)に、念願だった根室初のコンビニエンスストアを開業します。オープン当初からハセガワストアと業務提携を結び、もちろん店内では「やきとり弁当」も販売。根室の人たちにもその味がじわじわと浸透していきました。

▼ハセガワストア(左)とタイエー(右)の看板。違いがわかりますか?

「やきとり弁当」以外の魅力もいっぱい

現在では、今回取材させてもらった西浜店、千鳥本店、曙店と根室市内に3店舗展開するタイエー。西浜店では、店内で焼いたばかりのパンを売っていたり、イートインコーナーには無料のお茶サービスがあったりと、こんなコンビニが近所にあればいいなぁと思わずにはいられない充実ぶり。

▼いちばん広い店舗面積を誇る西浜店

▼店内の一角がまるでパン屋さんみたい

▼イートインコーナーのお茶サービスもありがたい

また、特筆すべきはタイエーのオリジナル商品があること。それが「根室さんま節らーめん」です。さんま水揚げ量日本一の根室だからこそ生まれた、滋味深い味わいはほかの地域の人にもぜひ食べてもらいたいもの。コンビニでこれだけ本格的な味のラーメンが買えることに、驚かれるかもしれません。

▼お土産にしても喜ばれること間違いなし

▼ネギやメンマなど好きな具をトッピングして

全国チェーンのコンビニエンスストアもいいけれど、タイエーのように地元密着型のコンビニエンスストアも独自路線を貫いていて魅力的です。根室に訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

▼笑顔の素敵な店員さんたちにも出会えますよ

タイエー西浜店
所在地:根室市西浜町3丁目10番1
TEL:0153-29-2400

タイエー千島本店
所在地:根室市千島町2丁目43番地
TEL:0153-23-3443

タイエー曙店
所在地:根室市曙町2丁目2番地
TEL:0153-23-3372