白老駅通りに宝竜というお店があります。「元気印のかあさん」と親しまれた中村弘子さんが経営するラーメン店でしたが、突然の訃報で2016年7月に閉店。「先代が長年に渡りお店を守り、築きあげてきたものを継承したい」と、嫁の中村美樹子さんが同年12月から「ホームキッチンカフェ 宝竜」としてオープンしました。ランチをいただきながら話を伺いました。
お店を続けるのが親孝行
▼白老駅から徒歩2分の良好なアクセス
かつての宝竜は、味噌ラーメンが美味しいと評判の店でした。多くの人が明るく元気な弘子さんの人柄に引き付けられ、約40年に渡り白老で営業していました。しかし2016年7月に弘子さんは突然他界。駅前通りの賑わいを絶やさぬよう、嫁の美樹子さんがカフェとして再スタートさせました。
▼ラーメン店の面影を残すカフェとなった店内
▼ドリンクもフードも充実している
中村さん夫婦は、49日の法要を済ませるとすぐにリニューアルの準備に取り掛かりました。ペンキの塗り替えや壁の張替えなど、ほぼD.I.Yで準備が進められます。これまでの内装を活かすことを大切にしてカウンターや厨房は当時のまま。カフェらしい腕時計型のオシャレな掛け時計も、ラーメン店の時から使われていたものだと言います。美樹子店長は東京や札幌で飲食に携わっており、その時に養われた知識や経験が生かされていると言います。
新旧が混在することで生まれたパワー
▼中村美樹子店長
中村さん夫婦の交友関係も存分に生かされています。ロゴマークやホームページ作成を友人に依頼。別の友人が作ったインテリア雑貨やファッション小物、写真集を店内で販売するなど、カフェを通したセッションが行われています。
▼友人にデザインしてもらったロゴマーク
▼北海道在住作家コーナー
▼上富良野町にギャラリーを持つ高橋真澄氏の作品
メニューにはラーメンの文字はありません。往年の宝竜のお客様からよく「ラーメンはないのか」と尋ねられるそうですが、美樹子店長は「あんなに難しいものは作れない」と言います。もしレシピ通りに再現できたとしても作り手が違うことで、味が変わったように感じられるかもしれません。「宝竜のラーメンの味は、みんなの記憶に残してくれば嬉しい」と笑いました。
▼その名も宝竜バーガー。ドリンクは別メニュー
▼甘酸っぱく爽やかな、Mixed Berryを使ったHKCオリジナルソーダ水
ラーメンの提供は行っていないものの、当時のメニューにあった宝竜バーガーは健在です。白老には町内の飲食店で構成する「白老バーガー&ベーグル研究会」があり、ラーメン宝竜も加盟していたため、ハンバーガーも提供していました。白老牛100%のハンバーグを使い、目玉焼きと自家製ソース焼きそばをのせ、シソの葉(大葉)のかくし味でまとめています。こってり感がたまらない、チェーン店にはないバーガーです。白老牛の牛スジを使った「ミニ白老牛 牛スジカレーセット」も提供されています。
白老のコミュニティスペースでありたい
▼駅通りを賑やかに彩る
店内には大きな窓があり、春にはひな人形、冬にはクリスマスツリーなど、季節に合った小物を飾って通行人の目を楽しませています。「クローズしていても賑やかな感じがするし、ディスプレイを見ている方と顔見知りになって窓越しに挨拶するんですよ」と、街の方とのコミュニケーションにも一役買っているそうです。
▼店内に設けられた先代に敬意を示すミュージアム
オシャレな雰囲気でありながら、どこか懐かしいホームキッチンカフェ宝竜は、ついつい長居したくなる空間です。通常の営業だけでなく、貸し切りにも応じています。「地域のコミュニティ空間として利用していただけるような店にしたい」と、美樹子店長は毎日笑顔で切り盛りしています。
所在地:白老町大町2丁目3-11
電話:0144-82-4532
営業時間:8時~18時
定休日:木曜日