江鳶山(えとんびやま)の西側を流れる斜里川の上流、札弦(さっつる)市街から南に約7kmの場所に小さな滝があります。滝の名前は「さくらの滝」。6月中旬から9月上旬にかけて、この滝には人が集まります。その時期だけあるものが見られるからなのだとか。さっそく、そのあるものを見に行ってきました。
思わず応援したくなる健気な姿
さくらの滝は高さ3.7mの小さな滝。そんな小さな滝を見になぜ人が訪れるのかというと、6月中旬から9月上旬にかけて、サクラマスの遡上が見られるから。単に川を遡上しているところが見られるのではなく、この滝を飛び越えようとジャンプする姿が見られるのです。写真を先に見せてしまったので、わかってしまった人も多いのではないでしょうか。
▼滝を越えようと必死にジャンプするサクラマス
20年ほど前からサクラマスのジャンプを見るために人が訪れるようになり、その数は徐々に増えていっているそうです。筆者が訪れた時は、小雨模様にもかかわらず、20~30人ぐらいの人がサクラマスのジャンプを見守っていました。ジャンプしても届かないことがほとんど。ここをクリアできるサクラマスはほんの一握りなんだとか。見ていると自然と力が入ってしまいます。まわりの人たちからも、サクラマスがジャンプする度に歓声が起こります。
▼ジャンプする度に「おー」、「あらら」と声が聞こえる
小さな滝のため、以前は名前がついていなかったそうですが、2002(平成14)年にきよさと観光協会が一般公募をして名称が付いたのだとか。また、観光協会では、遊歩道を整備したり、駐車スペースを確保したり、シーズンだけ簡易トイレを設置したりなど、さくらの滝を訪れる人のために尽力しているのだそう。今後に関しても、町役場と相談しながら進めていく予定だそうです。
▼滝に行く前に注意書きをよく読んで
季節ごとの景色の楽しみ方も
6月中旬から9月上旬まで楽しめるサクラマスのジャンプですが、それ以外のシーズンにもそれぞれの楽しみ方があります。春には桜が咲き、桜と滝の日本らしい美しい風景を見ることができます。
▼日本人の情緒に訴えかけてくる風景(写真提供:きよさと観光協会)
また、秋になると木々が色づき、艶やかな美しさで見る人の心を打ちます。
▼燃えるような赤と滝の見事なコントラスト(写真提供:きよさと観光協会)
残念ながら冬期は道路が封鎖されるため、訪れることはできません。また、サクラマスを目的に訪れる人にも注意点が。滝周辺の地盤が砂岩のため崩れやすく、立ち入り禁止区域が設けられています。安全が確保された場所で見るようにしてください。
さらに、サクラマスがジャンプするには一定の環境が必要です。はっきりしたことはわかっていませんが、どうやら水温が関係しているらしく、温かい方が活動も活発になるようです。観光協会によれば、天気のいい日の午後からがおすすめの時間帯だということでした。
以上の点を心に留めて、元気なサクラマスたちに会いに行ってみてはいかがでしょう。ある意味、パワースポットと呼べるかもしれませんよ。
【動画】サクラマスのジャンプ