地域それぞれに昔から地元民に愛されてきた、そこでしか食べられないメニューが存在します。最近ではそうしたメニューのことをソウルフードなどと呼ぶようです。
今回ご紹介するのは、留萌市民が愛してやまないソウルフード。その名も「豚ちゃん焼き」です。ブタチャンヤキ、という響きはほかの地域の人からすれば謎のワードですが、留萌市民が聞けば思わず笑顔になる魔法のワード。さっそく食べに行って来ました。
愛らしい豚ちゃんの中に詰まっているのは?
「豚ちゃんちょうだい」
「ぶーちゃん4つ、持ち帰りでね」
取材中、ひっきりなしにお客さんが訪れます。ここは「大判焼」。留萌駅から歩いて5分もかからない場所にある、小さな食堂です。店名の通り、大判焼も売っていますが、いちばん人気は豚ちゃん焼き。「豚ちゃん」「ぶーちゃん」などとお客さんがそれぞれ好きなように呼んでいるのも、地元にしっかり浸透しているからこそだと言えます。
気になる豚ちゃん焼きの正体を探るべく、地元民にならって注文してみました。出てきたものは、まさしく豚ちゃん! 豚の形をした愛らしい姿に、まずほっこりさせられます。
▼留萌市民のソウルフード「豚ちゃん焼き」(180円)
見た目からなんとなく甘いのかなと想像して食べてみると、意外や意外、食事系のしっかりと食べ応えのある一品なのです。皮の中に入っているのは、たっぷりの挽肉とタマネギ。それほど強くないカレー味に、コショウも利いています。言うなれば大判焼きと肉まんのいいとこ取りのような、ほかではない味わい。小腹が空いたときにも、ビールのアテにも良さそうです。
▼ほんのり甘い皮と中の餡が絶妙のバランス
開店42年、ずっと変わらない味
この店の坂本さんに作っている様子を見せてもらいました。
▼「大判焼」二代目、坂本淳一さん
「この店ができたのが1974年(昭和49年)だから、開店して42年になりますね。大判焼きも豚ちゃん焼きも開店当初から作り方は変わっていません」
と言いながら、坂本さんは慣れた手つきで豚ちゃん焼きを焼き上げていきます。
▼特注の型で焼く豚ちゃんは、まさに唯一無二
ひとつの型で4つの豚ちゃん焼きが焼き上がるので、最後にそれをハサミでカットしてできあがりです。
▼4匹の豚がみっちり!
味の秘訣は? と聞くと「マル秘です」と坂本さんにあっさりいなされてしまいました。
ちなみに店名にもなっている「大判焼」ですが、もちろんこちらも大人気。豚ちゃん焼きとセットで買っていくお客さんも多いようです。
▼大判焼(180円)と豚ちゃん焼き、最強のコラボ
実はこのお店、最初に書いたとおり食堂なので豚ちゃん焼き、大判焼以外に店内で食べるメニューもいろいろあります。もちろん豚ちゃん焼きも大判焼も店内で食べてOK。寒い日にはここでちょっと温まって軽くお腹を満たすのもよいかもしれません。
▼ラーメンやかけうどんは、お財布に優しい値段設定
地元民なら誰でも知っていて、観光協会のホームページにも掲載される有名店でありながら、気負ったところがないのもこの店の親しみやすいところ。観光ついでにふらりと立ち寄っても、どこか懐かしさを感じるはずです。
▼古き良き昭和のにおいを残す店内
所在地:留萌市栄町1丁目4-3
電話:0164-42-5944
定休日:毎週火曜日 祝日の時は翌日
営業時間:9時~18時半(材料がなくなり次第閉店)
(2023年5月10日:商品の価格を更新しました。)