【蘭越町】「大湯沼」といえば、登別温泉にある場所のほうが名が通っているが、ニセコエリアにもサイズは小さめなものの同名の場所がある。蘭越町のチセヌプリ南側の山麓にある「大湯沼」だ。ニセコパノラマライン(道道66号線)沿いにある。
駐車場で車から降りると、お決まりの硫黄臭をすぐ感じる。駐車場自体が少し高い場所に位置しているため、まず手始めに湯面を一望する。湯面は、周囲約200m、縦50m、横90mというサイズ。よく見ると、湯面には「黄色球状硫黄」が浮遊しているのを確認できるが、これは学術的にも貴重なものだという。
湯沼は季節により異なるものの毎分約1000リットルの温泉量があるとされる。泉質は酸性硫化水素臭で、慢性関節炎や筋肉リューマチ、糖尿病などに効果があるという。沼底の噴気口からの噴気ガスは120度、湯沼は約60度、場所によって高いところで80度程度とされており、現在はこれをニセコ湯本温泉の温泉旅館施設等に送っている。
大湯沼は観光地化されて周囲に散策路が巡らされており、散策すると、湯面からの湯気でほのかに温かく感じられる。途中には「湯さわり階段」という触れることのできるスペースも。ちょっと肌寒くなってくる季節にはぴったりかもしれない。散策路を奥地に進むと「青鬼池」「赤鬼池」という小さな池も存在するので、硫黄臭に耐えられるのであれば、周辺をじっくり散策してみるのもよいだろう。
ところでこの大湯沼、発見された1885年当時は、定期的に数メートルの噴湯がある間歇泉だったという。しかし明治時代末期に英国系鉱山会社ハウル社が湯沼から硫黄を大量に汲み上げると間歇泉は失われてしまった。その後、一時期 湯本温泉旅館が営業した後、現在周辺はニセコ温泉郷のニセコ湯本温泉となっている。
詳しく知りたい場合には、隣接する自然研究的実体験型施設「蘭越町大湯沼自然展示館」(字湯里680番地15)を見学して学ぶとよい。大湯沼の仕組みを解説する大型ジオラマ模型の展示などをする。100インチ8面のマルチシアターでニセコ地区の自然について学ぶことができたり、「杜の大老樹」という顔つき巨木をイメージした空間もある。こちらの施設は、4月下旬~10月の9:00~17:00開館(7・8月を除き月曜日休館)、入館料は大人300円、小人200円。
そして、ゆっくり温泉につかりたい場合は、1966年に開業、1995年にリニューアルした「国民宿舎雪秩父」を利用するのがオススメ(大湯沼駐車場隣接)。名称の由来は秩父宮雍仁親王が1928年にスキーでニセコを訪れたことに由来する。1,000m2・男女合わせ11ヶ所の大露天風呂(大人500円)や26室の客室を備えているので、温泉と共に宿泊も可能だ。(※2014年度改築予定)