人工物なのに壮観!28基の風車が一列に並ぶ「オトンルイ風力発電所」

【幌延町】北海道には一度見たら忘れることのできない絶景スポットが数多く点在します。自然が作り出す美しさは言うまでもありませんが、今回紹介するのは、人工物が作り出す壮観な風景です。それが、サロベツ原野の南にある「オトンルイ風力発電所」。すごい!こんなの見たことがない!と驚きの声をあげてしまう、そして、一度訪れてしまうとまた見たくなる、人に教えたくなる、そんな場所です。

3.1㎞にわたり一列に整然と並ぶ28基の巨大風車


アイヌ語「浜にある道」にちなむ「オトンルイ風力発電所」があるのは、天塩川河口北側の海岸線を走る道道106号線沿い。サロベツ原野南部の下サロベツ原野に位置します。[地図] 天塩町市街から道道を稚内方面に進み、天塩町と幌延町をわける天塩川を渡れば、約3㎞先に立ち並ぶ無数の白い塔が見えてきます。周囲に山もなく至るところ原野ですので、遠くにあってもはっきり視認できます。


風車の数はなんと28基。1基の高さが、直径50.5mあるローター含めて最高99m(支柱[ハブ]だけで74m)もある巨大なものです。これだけの柱が等間隔にきれいに並び、約3.1㎞も続いているのです。これだけ長い距離、直線で整然と並ぶ風力発電は日本ではなかなか珍しく、いったい何基あるのか数えながら走ってみたくなってしまうほどです。

よく見てみると、4基ごとに赤い色が入っていることがわかりますし、ローターが必ずしもすべて回っているわけではないこともわかります。夜に訪れてみると、北端と南端の2基につけられた航空障害灯が光っているのもわかるはずです。

2001年に建設されたオランダ製風車

ちなみにこの風力発電所は、年間を通じて安定した風があることや広大な土地があることなど条件に合うとして、2000年10月設立の幌延風力発電株式会社が2001年4月に着工、同年末以降の試運転を経て2003年2月に本格始動を開始しました。

オランダ・RAGAWAY社から取り寄せた風車は、1基あたり750キロワット、かける28基で、合計最大21,000キロワットを発電できる仕様です。ここから北海道電力幌延変電所まで約17㎞の特別高圧線(送電線)で年間約5,000万キロワットを送電してきました。

サロベツ原野駐車公園から見てみよう

風車が並ぶ3.1㎞の区間の途中には、道道の海側に駐車場が設けられていますので、車やバイクを止めてゆっくりと風車群を見ることも可能です。海側を見れば、天気が良ければ利尻島の利尻山も見られることもあります。難点としては、風車との間には電線が入ってしまうことと、全体の3分の2にあたる中間地点であるため、すべてを写真に収めることができないということでしょうか。

何も遮るもののない広大な原野だからこそ生まれた「オトンルイ風力発電所」。スケールの大きな28本の白い柱が整然と並ぶ様は、まさに日本離れした光景であり、人工物とはいえ人々に感動を与えてきました。今後もサロベツ原野のシンボル的存在として親しまれていくことでしょう。