日本の国花は桜と菊。国鳥はキジ。では、国蝶は? そう聞かれても、答えられない人がほとんどではないでしょうか。そればかりか「国蝶なんてあるの?」と驚いた人も多いことでしょう。日本の国蝶は、オオムラサキです。
そんな国蝶オオムラサキに関する施設が、2018年7月14日、夕張郡栗山町にオープンしました。栗山町とオオムラサキ、どんな関係があるのか、さっそく訪れてみました。
栗山町とオオムラサキの関係は
▼ふるさといきものの里 オオムラサキ館
オオムラサキはタテハチョウという蝶の仲間。鮮やかな青紫と黒の羽を持ち、英名では「Great purple emperor」(素晴らしい紫の皇帝)と言われるほど気品ある姿をしています。
▼色のコントラストが美しい羽
最初のオオムラサキはイギリス人によって神奈川県で発見されました。現在では、日本各地の里山環境に生息していることが分かっています。ただ、北海道では生息域が限られており、栗山町で発見されたのも、ほんの偶然からでした。
▼メスは青紫の部分がない
1985(昭和60)年、小学校の理科の副読本を作るために御大師山に入ったところ、オオムラサキの姿を発見したのです。
オオムラサキを保護するため、さっそく翌1986(昭和61)年に有志による栗山オオムラサキの会が発足しました。生育に必要なエゾエノキの幼木を170世帯の里親の庭で育て、山に植林するなど、町民自身が大きな力となって活動を展開していったのです。
▼オオムラサキは栗山町のカントリーサイン
こうした活動がきっかけとなり、北海道内でいちばん東の生息地域として、栗山町のオオムラサキをシンボルとした町づくりは今でも続けられています。
オープンしたばかりのオオムラサキ館
▼館内には、さまざまな生き物が
さて、栗山町にオープンしたばかりの「ふるさといきものの里 オオムラサキ館」とは一体どんな施設なのか、さっそく館内に入ってみましょう。オオムラサキに限らず、水の中に棲む生き物や、土の上で暮らす生き物など、さまざまな種類が展示されています。
▼昆虫好きにはたまらない空間
蝶の標本も豊富で、北海道のオオムラサキはもちろん、本州で見られるオオムラサキや、栗山町で見られる他の蝶もたくさん展示。ひとつひとつ細かな模様を眺めていると、時が過ぎるのも忘れてしまいそう。
▼蝶の標本もたくさん
もちろん、生きているオオムラサキの姿を観察することもできます。
▼どちらがオスかメスか、もうお分かりですね?
オオムラサキの幼虫も、ぜひ間近で観察してみてください。まじまじと顔を見ると、とってもかわいらしいことに気づくはずです。
▼絵本から飛び出てきたようなかわいいお顔!
網で覆われた飼育舎は約220㎡あり、エゾエノキはもちろん、ミズナラやハルニレの木が植えられています。高い場所から観察できるデッキもあり、樹上を飛ぶ成虫を同じ目線で見ることができます。
▼クジャクチョウ
オオムラサキの他にも、クジャクチョウやオオヒカゲなど、15~20種類もの蝶が網舎を優雅に舞っています。さぁ、いくつ見つけることができるでしょう?
▼オオヒカゲ
近くには、キャンプ場や遊具も充実した「栗山公園」や、自然公園の「ファーブルの森」、エサやり体験もできる入場無料の「なかよし動物園」など、栗山町の自然に触れられる施設がたくさんあります。遊んでいるうちに、自然をもっと近しく感じられて、オオムラサキをはじめ生き物の生態にもちょっと詳しくなれるかもしれませんよ。
所在地:北海道夕張郡栗山町桜丘2丁目38番地5
電話:0123-72-3000
開館時間:10時~17時
定休日:火曜日、祝日の翌日
入館料:無料