北海道民は普通のこととしてやり過ごしていても、道外の人間からすれば驚くような習慣がいくつかあります。何を隠そう筆者も道外から移住してきた人間。引っ越した当初は、そんな「北海道あるある」にいちいち驚く日々でした。中でも、驚くというより感動したのが「おにぎり温めますか?」という、あのフレーズに出会った瞬間。気になったので、少し掘り下げてみることにしました。
そもそもおにぎりを温めるという発想
日本全国、コンビニエンスストアでお弁当を買うと、店員さんから「温めますか?」と聞かれます。しかし、コンビニエンスストアでおにぎりを買って、店員さんから「温めますか?」と聞かれることは、まずありません。ところが北海道では、どのコンビニでもほぼ100パーセント聞かれるのです。
▼笑顔で「おにぎり温めますか?」
そんな噂は、筆者が北海道に引っ越してくる以前、本州に住んでいた頃からなんとなく耳にしていました。何しろ「おにぎりあたためますか」というタイトルの番組もあるくらいですから。だからこそ、北海道に住み、実際にコンビニでおにぎりを買って、初めて「おにぎり温めますか?」と聞かれた時には感動したのです。
「本当に、おにぎり温めますかって言うんだ!」
大袈裟ではなく、自分が北海道にいることを心から実感した瞬間でした。
▼温めたおにぎりは、意外とおいしい!
では、なぜおにぎりを温めるのでしょう? 電子レンジで温めたおにぎりを食べたことのある人なら分かると思いますが、単純に、温めた方がおいしいということが挙げられます(ただし具によっては温めるのに適さないものも)。また、北海道のみならず、本州でも東北などの寒い地方では、コンビニで「おにぎり温めますか?」と聞かれることがあるらしく、やはり少しでも温かいものを口にしたいという、北国ならではの理由があるようです。
気になるところをコンビニ各社に聞いてみた!
それにしても、北海道のコンビニでは必ずと言っていいほど聞かれる「おにぎり温めますか?」。もしかしてマニュアルとして決められているのでしょうか?
「『おにぎり温めますか?』というフレーズでお客様に確認するように指導しているわけではありませんが、おにぎりを含むレンジアップの対象商品に関しては、温めますかと尋ねるように指導しております」と回答してくれたのは、セイコーマートです。
▼北海道ではお馴染みのセイコーマート
やはり北海道生まれのコンビニだけあって、指導されてのあのセリフだったのですね。続いてセブンイレブンは?
「基本的に冷たい常温の状態でもおいしく召し上がっていただけるので、特に指導はしておりません。ただ、温めればさらにおいしく召し上がれる商品は、パッケージに『温めるとおいしい!』とラベルが付いております」とのこと。指導しているわけではないということは、店員さんが自発的に言う場合もあるということでしょうか。それにしても、そんなラベルが付いている商品があるなんて知りませんでした。
最後に回答してくれたのは、ファミリーマートです。
「弊社では、そのように聞くことを特にマニュアル化はしておりません。しかし、北海道では昔からおにぎりを温めて食べる習慣があることから、一部店舗のスタッフがお客さまにお尋ねすることはあるようです」。なるほど、やはり店員さんによる自発的行動なのですね。
「また、赤飯おむすびなど温めるとよりおいしく召し上がっていただける商品には、そのような表記をさせていただいております」と、ファミリーマートが教えてくれました。やはり、温めを推奨しているおにぎりは各社あるようです。コンビニに行った際には、ぜひチェックしてみたいものです。
▼セイコーマートの人気コーナー、ホットシェフ
ちなみにセイコーマートでは、ホットシェフというコーナーのある店舗があり、そこではすでにお店で炊いたご飯で作った温かいおにぎりやお弁当が売られています。これがまた温かく、おいしいんです。
とにもかくにも、温かいおにぎりはおいしい。そして寒い地方では、なおさら温かいものを欲する。というわけで、北海道のコンビニでは今日も「おにぎり温めますか?」のフレーズが、絶えず聞こえてくるのでした。
と、めでたしめでたしと思いきや、ここで新事実が発覚しました。なんと沖縄のコンビニでも「おにぎり温めますか?」と聞かれるらしいのです。なぜ!? なぜ遠く離れた沖縄で!? いやはや、この問題、意外と奥が深いようです。