冬の洞窟に潜む「にょろにょろ」に会いに(2)―国内最大級の大滝へ

洞窟に潜む「にょろにょろ」に会いに行こう!パート1では、登別のカルルス鉱山跡の「にょろにょろ」、つまり「氷筍」を紹介しました。今回はツアーで安全に楽しく会いに行くことのできる伊達市大滝のにょろにょろを紹介します。

ツアーで安全に楽しく「にょろにょろ」に会いに行こう

次に訪れたのは伊達市大滝区(旧大滝村)で、「にょろにょろ」を見るツアーを行っている「大滝アウトドアアドベンチャーズ」。こちらのツアーに参加して「にょろにょろ」に会いに行きます。

代表の酒井さんにお聞きしたところ氷筍は、100年前から村の人たちが大切にしてきた「村の宝」との事で、百畳敷洞窟と言われるくらい広く、「にょろにょろ」の数も国内最大規模、さらにツアーではヘルメットをかぶり、その洞窟の中へ入ることも出来るという事で、気持ちは盛り上がってきます。

ツアー当日は祝日とあって、他に5名のお客様と一緒に行く事になりました。ガイドを担当して頂いたのは、石川さんと、上木さん。真冬に山の中にある洞窟に行く訳ですから、それなりの装備をして行く訳ですが、ツアーでは、必要な道具一式をレンタルする事もできるので、思いついて急遽参加を決めても大丈夫です(要予約)。

約40分程山の中を歩いていくのですが、周囲の山を見渡せる広い場所や、木々に覆われた山道、雪の重みで曲がった木の中をくぐり抜けたり、普段体験しないようなアスレチックな動作をして、綺麗な自然の景色を見つつ、小鳥の囀りや小川の流れる音を聞くと、身体いっぱい使って楽しんでいるのが実感できます。また、大滝村の歴史や自然の事について、地元出身のガイド石川さんが話してくれる内容の楽しさに、あっという間にたどり着いてしまいます。

木々に覆われた崖の一部に、ぽっかりと空いた穴が見えてきて、一気に探検している雰囲気が高まり興奮します。近寄ってみると洞窟の天井から伸びる氷柱とともに、小さな氷筍がタケノコのように生えているのが見えてきます。

日本最大規模!約5000本の「にょろにょろ」の大群

洞窟ですので足下はもちろん頭上の岩等にも気をつけなければいけませんが、氷筍を破壊しないように慎重に奥へとすすんで行くと……「にょろにょろ」の大群です。大きさも形も様々な氷筍が、ものすごい数生えています。日本最大規模の約5000本あるというのですから、当然ですが圧巻です!




入り口では数センチでしたが、中には50センチ、1メートル、天井と繋がってるのもあります。
くねくね曲がったものや、真直ぐに立ったもの、細いのや太いもの、様々な「にょろにょろ」が、みっちり群生しています。

神秘の空間

洞窟内には「チョロチョロ」と水の流れる音が響き渡り、入り口から差し込む光に輝く氷筍の群れをより神秘的な物に感じさせてくれます。当然のごとく写真を撮りまくるのですが、そのうち天井から滴る水滴が氷筍の上に落ちる光景を、じっと見つめていることに気づきます。氷筍が形成されていく光景に、万物創世というと大げさかもしれませんが、何か神秘的な見えざる力のようなものを感じ、考えさせられました。

氷筍はマイナス3度~マイナス5度くらいの洞窟内に発生する自然の造形物ですから、それなりの深い洞窟が存在し、天井から水が滴り落ち、風等の影響がない状態で、気温が一定でなければなりません。
よく見ると後ろにかざした手がはっきり見えるくらいの透明度。不純物が無く、ゆっくり固まったので、空気さえも入っていません。そう考えると、奇跡の造形物と言っても過言ではないでしょう。

この自然の奇跡「氷筍」を守っていこうと「大滝まちづくり観光協会」、「大滝アウトドアアドベンチャーズ」をはじめ、多くの方が努力しております。冬山登山の経験者なら苦もなく入山できるかと思いますが、努力を重ねる多くの方に敬意を表する意味でも駐車した車が酪農作業や除雪の邪魔になったり、私有地の畑で土地を荒らしたりゴミを捨てたりすることのないよう、基本的なマナーは守って楽しみたいものですね。冬山経験の無い方や体力に自身の無い方でも、ツアーに参加することで安全に楽しめますのでお勧めです。

▼ツアー中にはティータイムも。ニョロニョロクッキーも出てきます




▼大滝アウトドアアドベンチャーズ
「神秘の洞窟氷筍探訪」1月初旬~3月下旬
伊達市大滝区本町17-3
TEL:0142-68-5180
公式ウェブサイト