ニセコ山系の山奥にある秘湯、新見温泉が惜しまれつつ閉館となったのが昨年の2016年(平成28年)3月。その後さまざまな噂はありましたが、2017年(平成29年)1月7日に新たな経営体制でリニューアルオープンしました。温泉地として100年を越える歴史がありますので、今回の復活には喜ぶ方も多いのではないでしょうか。
リニューアルでどこが変わったのでしょうか? その歴史と共にご紹介します。
100年を越える新見温泉の歴史
新見温泉は、1908年(明治41年)、新見直太朗さんが発見したことから、その名が付けられています。
その後1910年(明治43年)には湯宿を開業、新見直太朗さんが周辺道路を切り開き開拓したことから、地名も「新見」と名付けられたようです。
1954年(昭和29年)には本館(後のホテル新見本館)の隣に新館(後の新見温泉ホテル)が完成。
1958年(昭和33年)には、厚生省により国民保養温泉地に指定されます。
1960年(昭和35年)、直太朗氏は、本館、新館をそれぞれ二人のご子息に経営権を移譲し、代々受け継いでいきます。
温泉の効能として神経痛、リウマチ、喘息、胃腸病などに効果があると、日本全国から多くの人が訪れ、
古くは湯治場として、少し前ではニセコでの登山や山スキーの拠点として、現在では四季を通しての観光、
冬にはスキーやスノーボードの後の楽しみとして、明治、大正、昭和、平成と100年を越える間、多くの人を癒してきました。
▼1912年(大正元年)、創業時の建物
▼1921年(大正10年)、新見温泉広告用の写真
▼1955年(昭和30年)、新見温泉自慢の湯滝と野天風呂
▼1956年(昭和31年)頃、馬そりでの送迎
秘湯の復活
取材当日、支配人の山田慎一様にお話を伺いました。
今回、株式会社クールスターが温泉を経営することになり、
二つあったホテルのうち「ホテル新見温泉本館」を「新見温泉」と名称を変え、
2016年12月に日帰り入浴の営業を始め、その後宿泊も可能となり、2017年1月7日にリニューアルオープンとなったとの事です。
昨年3月の閉館の知らせが広まり、新見温泉の名が再度知られることとなったものの、
再開したという事がまだあまり知られていないということもあり、来客は古くから認知している方が来る程度のようです。
▼リニューアルオープンした旧ホテル新見温泉本館
お話の中で、新見温泉までの道程に関する問い合わせが結構あるとの事でした。
新たに知った人でも山の奥にあり、行きにくいという感覚があるのではないでしょうか。
しかし車社会となっている現代、じつは麓の蘭越町からは車で13分ほどで行けてしまいます。
国道5号線、蘭越町から道道229号線へ入り、尻別川にかかる橋を渡ったらすぐに右折して道道268号線へ入り、
ひたすら山を登っていくと着きます。
道道268号線は、山を越えた岩内町まで繋がっているため、岩内町からアクセスすることもできますが、
岩内~新見温泉間は冬期通行止めになってしまうため、注意が必要です。
また100年以上続く温泉ですから、古びた感じを思い描くかと思いますが、
そんなことはなく、温泉の内湯、露天、脱衣場、ロビー、客室、食堂、すべて清潔感ある作りになっています。
その中に、歴史を感じる部分があったりするのですが、それは実際に行って感じてみてください。
▼ロビー
▼客室
▼昭和を感じる食堂への入口看板
▼食堂
新見温泉再開にあたり、変化したこともあります。
以前混浴だった露天風呂が男女別になり、女性の方も気軽に楽しめるようになっています。
▼露天風呂
▼内風呂
食堂のメニューも大きく変わり、美瑛ファームレストラン千代田のシェフが北海道産の食材を使った、
蕎麦や豚汁などの定番から、かに飯定食(1,300円)のような北海道ならではのメニューが揃っています。
中でもオススメは、岩内産のニシンを使った「にしんそば(1,300円)」と、びえい和牛を使った「びえい和牛カレーライス(1,100円)」。
また、ジャージー牛から絞ったミルクを100%使用した濃厚ソフトクリームも、お風呂上りにはたまりませんね。
今後、施設の建て替えも検討しているそう。
古くから知られる温泉であっても、時代の流れに合わせて、
提供するサービスを変化させていかなければ、この先も残していく事は難しいのだろうと感じました。
昔と違い今では都市の中にも温泉があり、気軽に楽しめるようになっています。
しかし、自然に囲まれ、日本の美しい四季を、目で、身体で感じながら入る源泉かけ流しの温泉、
秘湯と呼ばれる古くからある温泉でしか、味わえない魅力があります。
スキーでも、ドライブでも、いつものルートから、少し遠回りして寄ってみてはいかがでしょう。
ちょっとした至福の時間を過ごせますよ。
所在地:北海道磯谷郡蘭越町新見1
TEL:0136-55-6173
営業時間:10:00 ~ 19:00(最終受付18:30)
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合、その翌日)
日帰り入浴料金:中学生以上800円、小学生400円、6才以下無料
宿泊料金:1泊2食一人9,720円、素泊一人7,560円
公式Facebookページ