北海道は、北海道内の恐竜や古生物の化石を収めた「ほっかいどう恐竜・化石マップ」制作すると発表しました。鈴木直道北海道知事は、「多くの子ども達にも、恐竜にロマンを感じていただき、想像の翼を大きく広げ、夢を持って、未来に向け力強く歩みを進めてほしい」と本プロジェクトの目的・意義について語っています。
意外にも多い北海道のすごい化石
▼北海道内の恐竜・化石展示施設(提供:北海道地域政策課)
北海道には、「化石の宝庫」として知られる地域が幾つも点在しているのをご存知でしょうか。恐竜や古生物の化石が発掘されているだけでなく、それらを展示する施設も主要施設だけで30か所あります。
例えば三笠市。周辺からは豊富で質の良いアンモナイト化石が見つかっており、直径約1.3メートルの日本最大級の巨大アンモナイト化石が三笠市立博物館化石展示室に展示されています。アンモナイト化石はこの他にも多数展示。国指定天然記念物「エゾミカサリュウ」頭骨化石も展示されています。
▼アンモナイト化石が多数展示される三笠市立博物館(提供:三笠市立博物館)
2013年に世界的発見として注目を浴びたのは、胆振管内むかわ町穂別で発掘された「むかわ竜」の全身骨格。国内最大の恐竜全身骨格化石です。2019年9月に新属新種の恐竜であると判明し、「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名されました。
▼国内最大の恐竜全身骨格化石「むかわ竜」(提供:むかわ町穗別博物館)
▼「むかわ竜」レプリカ1号
上川管内北端の中川町でも、道内3例目の恐竜「テリジノサウルス類」のツメ化石、国内最大のクビナガリュウなど様々な化石が発掘されました。中川町エコミュージアムセンターではノスロニクスの全身骨格が展示されています。
▼テリジノサウルス類の復元図(提供:中川町エコミュージアムセンター)
留萌管内小平町では、北海道で初めての発見となった恐竜化石「ハドロサウルス科」の骨盤と大腿骨が発見。レプリカは小平町文化交流センターで展示されています。また、クビナガリュウの頭骨など380点の部位が発見されており、同センターではその全身復元骨格も見ることができます。
▼クビナガリュウの全身復元骨格(提供:小平町文化交流センター)
道東では十勝管内足寄町が有名。足寄動物化石博物館では、デスモスチルスの最も古いタイプである「アショロア」と「ベヘモトプス」の2体の化石の全身復元骨格を確認することができます。
▼泳ぐアショロマ骨格(提供:足寄動物化石博物館)
かつて北海道は海の底にあったと考えられており、宗谷岬から浦河町まで南北に縦断している「蝦夷層群(えぞそうぐん)」という白亜紀の海で堆積した地層から海棲生物(かいせいせいぶつ)などの化石が発見されてきました。上記で紹介した、三笠市、むかわ町穂別、小平町、中川町はこの地層の近くに位置しているので、化石が多数見つかっているのです。
ほっかいどう恐竜・化石マップ制作プロジェクト
▼マップの制作イメージ(実際に制作するマップとは異なります)
こうした北海道内の恐竜や古生物の化石の魅力を知ってもらい、子どもたちが太古の地球をたどり自分の世界を広げられるようにと、北海道地域政策課は「ほっかいどう恐竜・化石マップ」制作プロジェクトを立ち上げました。日本を代表する恐竜研究者、小林快次 北海道大学総合博物館・教授の協力を得て制作します。
制作するマップは、2つの特色があります。一つはナビゲーションマップとしての役割。北海道内の恐竜・古生物化石の展示施設を紹介しています。このマップを片手に、恐竜や古生物をたどる知の冒険に出かけてみましょう。
もう一つは、コレクションマップ。「恐竜・化石カード」を集めて収納することができるようになる予定です。このカードは、今年の冬に三笠市、むかわ町、中川町、小平町、足寄町の5市町の関係施設に訪れた方に配布予定です。
本プロジェクトはふるさと納税を活用したクラウドファンディングで制作予定。2020年7月28日(火)から10月25日(日)までふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」内のクラウドファンディングページから申し込むことができます。寄附者には、制作した「ほっかいどう恐竜・化石マップ」と、マップに収納できる「恐竜・化石カード」を1枚ランダムで送付する予定です。
北海道知事も呼びかけ
北海道地域政策課は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で塞ぎがちな日常生活を送っている子ども達が、このマップを手にワクワクと心躍らせ、博物館に訪れることを楽しみにしていただきたい。恐竜や古生物化石に興味を持ち、太古の地球を想い自分の世界を広げてもらいたい。そんな思いでこのマップを制作したいと考えております」と綴っています。
鈴木知事は、「北海道を、恐竜達の世界に思いをはせる夢とロマンの大地にするため、皆様の応援をよろしくお願いいたします」とプロジェクトへの応援を呼びかけています。
本プロジェクトの協力者である小林教授は、「それぞれの博物館を訪ね、よみがえった太古の生物たちに会ってください。化石産地を訪ね、太古の時代を想像し、『北海道のすごさ』を肌で感じてください。そしていつの日か、皆さんの手で新しい太古の生物を発見してください」と、マップの積極的な活用を促しています。
2021年「ほっかいどう恐竜・化石カード」完成・配布(追記)
北海道は2021年3月8日、完成した「ほっかいどう恐竜・化石カード」6種類を2021年3月10日(水)から4月11日(日)に道内5地域の博物館等で配布すると発表しました。
配布するのは、三笠市立博物館「エゾミカサリュウ」、むかわ町穂別博物館「ホベツアラキリュウ」、中川町エコミュージアムセンター「テリジノサウルス類」、小平町文化交流センター「クビナガリュウ」、足寄動物化石博物館「アショロア」、そして北海道大学小林教授のサイン入りレアカード。
異なるカードを3枚集めると、5地域のいずれかの博物館等でレアカード1枚をもらえます。枚数に限りがあるため、なくなり次第終了となります。