オホーツクエリア津別町の人気スイーツ、「クマヤキ」を知っていますか?
2016年の春頃から知名度が急上昇し、今や「津別町といえばクマヤキ」というくらいの人気者。
まだ見ぬクマヤキに会うため「道の駅あいおい」へとやって来ました。
「道の駅あいおい」の壁面に元祖クマヤキの絵がどーん!
「道の駅あいおい」に着くと、外一帯に甘い香りが漂っています。
▼道の駅あいおい。ここへ来てこの風土で味わってね
「クマヤキとはおやきのようなスイーツで、たい焼きのクマ型版」と聞いていたとおり、店頭にはクマの形のお菓子が湯気をあげて並んでいます。
クマヤキは通常4種あり、定番人気はこんがり茶色の「ヒグマ(つぶあん)」150円と「ヒグマ(クリーム)」150円です。
真っ白な「シロクマ(つぶあん)」150円は、タピオカ粉で焼いたモチモチ食感が特徴。そしてヒグマの仲間の「ナマクマ(つぶあん&生クリーム)」180円は、若者に人気があるそうです。
▼クマヤキファミリーは通常4種
しかしこの洋菓子のような芳しさ……。普通のおやきとはちょっと違う。そして店頭で「カワイイ~!」と女子たちを叫ばせている、スタイリッシュかつ愛らしいフォルム。これにも理由がありそうです。
どうやらクマヤキは、ただのおやきじゃないぞ。そう予感して「道の駅あいおい」を運営する株式会社相生振興公社で話を伺いました。
クマとフクロウで迷って決まったクマヤキ誕生秘話
クマヤキが誕生したのは2009年のことです。「道の駅 あいおい」がさらに活況するような新商品が欲しいと津別町が検討していました。
その際、「スイーツ系が良いよね」というイメージが(なんとなく)でき、「では何が良いだろう」と思案していると、(たまたま)たい焼きの移動販売車が来ていたので見ていたら結構売れている。「じゃあ、たい焼き風でいこうか」と……。「なんとなくの直感」で話が進みました。
しかし、次の段階からはなんとなくではなく、プロジェクト内で真剣な考察が始まります。「何焼き」にするかは、「北海道らしい動物をモチーフにしよう」ということで決定。そして絞られたのが、「クマ」と「フクロウ」。
どちらにするかの会議で、「フクロウにはなかなか出逢えないが、ヒグマにはそこら辺でよく出逢う。クマの方が身近だからクマでいこう」と決まったとか。クマが身近って……。津別町の自然と生態系を実感しました!
クマヤキは有名アーティストによる「デザイナーズおやき」だった!
「クマヤキ・プロジェクト~挑戦者たち~」の真骨頂が発揮されるのは、ここからです。主役のクマデザインやロゴ、パッケージ等を担当したのは、津別町出身で現在在住のアーティスト、大西重成さん。
大西さんは70~80年代に、ハービー・ハンコックや坂本龍一のレコードジャケット、モスバーガーの小冊子「モスモス」の表紙イラストを担当するなど、日本の広告デザイン界で活躍した大御所です(※2001年、津別町相生に作品展示舎「シゲチャンランド」を開設)。
それだもの、クマヤキのルックスが人々を魅了するわけです。
そして商品製造担当となった、当時の津別町職員と道の駅の役員らが、おやきの食べ歩きや入門研修を行い、あんの作り方や焼き方を習得してクマヤキは完成しました。
▼週末店頭に立つ、唯さん(写真上)と恵さん
地元と近隣産の高級小豆や自家製豆乳がおいしさの決め手
北海道産小麦と卵やバターを使った生地は、キメが細やかでふわっふわ。まるでパンケーキのようです。中のつぶあんも、寒暖の差が大きな津別町と近隣産の高級小豆「エリモショウズ」を使用しているだけに風味が豊かです。
そして水の代わりに、自社の豆腐製造過程でできる「豆乳」を使用していることが、最も大きなポイント。まろやかで奥深いおいしさの秘密です。
それでもデビュー当時は、1日の販売数が60個程度とひっそりしたものでした。ところが2016年1月の東武百貨店池袋店・北海道物産展では長蛇の列を呼び、1日2,000個も売上げて、その評判がネット上で拡散。
その後5月に北海道内でテレビ放送されたことでも広く知られ、同年10月には「道の駅あいおい」で1日約1,300個が販売されました。
1日に1,000個、2,000個となると焼く作業も大変でしょう。週末の販売を担当する唯(ゆい)さんと恵(めぐ)さん姉妹は、手を休める暇もなく、重い鋳物型を操作しています(ちなみに筆者は片手で持ち上げられませんでした)。この一生懸命さもおいしさの理由です。
ふなっしーがコラボした新商品、「フナクマ」が日曜限定で登場
さて、今年2017年2月から日曜のみ、100個限定で販売されているというニューフェイスについても聞いてみました。なんとそれは、クマヤキと千葉県船橋市の非公認ご当地キャラクター「ふなっしー」がコラボした、その名も「フナクマ」180円。(※現在は販売を終了しています。)
これは「ヒグマ(つぶあん)」にナシ果汁とくず粉で作った餅風ジュレをサンドしたもので、ナシの酸っぱさとあんの甘さが絶妙な味わい。このナシ果汁ジュレは、船橋市の人気洋菓子店が船橋産ナシで特別製造した、完全な船橋産です。
▼「ヒグマ(つぶあん)」にナシ果汁ジュレを入れると「フナクマ」に
ところで、なぜ北海道津別町とふなっしーが連携することになったのでしょうか? 聞いてみると、もう30年、青少年交流などを続けてきた津別町と船橋市との関わりがわかりました。
その縁で2015年夏の「つべつ夏まつり」にふなっしーが登場し、「クマヤキ、おいしかったなっしー」と賞賛したことから、「フナクマ」企画が浮上したのでした。
▼クマヤキグッズコーナーには、Tシャツや缶バッヂ等がズラリ
所在地:北海道網走郡津別町字相生83番地1
電話:0152-75-9101
夏季営業時間:午前9時~午後6時(5月~10月)
冬季営業時間:午前9時~午後5時(11月~4月)
飲食コーナー:午前11時~午後4時(5月~10月、火曜日・木曜日休み)
午前11時~午後3時(11月~4月)
公式サイト
(2023年4月26日:店舗の営業時間を更新しました。)