北海道の自然の河川を再現した展示で人気の「北の大地の水族館」。北海道の四季を生きる魚たちの自然そのものの姿が観察できることで有名です。2012(平成24)年のリニューアル時には、有名水族館プロデューサーが関わったことなどもあり、人気観光施設へと変貌。そんな「北の大地の水族館」の裏側をいろいろ教えていただきました。
地下水を利用して飼育される魚たち
今や人気観光スポットになった「北の大地の水族館」。メディアにも何度も登場し、自然に生きる魚の様子が見られる「滝つぼ水槽」や「四季の水槽」などは、写真や動画で見たことがあるという方も多いことでしょう。北海道ファンマガジンでも、過去3回ほど取材させていただきました。
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そこで今回は、あまり知られていない裏側をちょっとだけ覗かせてもらいました。
▼北の大地の水族館のバックヤード
まずは、「北の大地の水族館」の基本的な情報から。元々「山の水族館」という名称でしたが、現在は「北の大地の水族館」という名称で統一しているとのこと。看板などはまだ「山の水族館」ですが今後変えていくのだそうです。
▼お話を伺った館長の山内創さん
水槽の数は常設が大小合わせて24本あり、50種3,000匹の魚が飼育されています。魚はすべて淡水魚で、北海道の川にいる魚のほか、熱帯魚なども飼育されているとのこと。驚くのは、川魚はすべて地下水で飼育されているということです。
「この水族館の地下からくみ上げる地下水は、ちょうど魚を飼育するのに適した水だったので、それを利用しているんです。地下水の掛け流しですね」と山内さん。そのため、ろ過の必要がないため設備への投資も少なくてすんでいるのです。
▼日本初の滝つぼ水槽も地下水を利用している
魚たちの自然の姿を見せるために考案された展示方法ですが、思ったようにいかないことも多かったといいます。
「魚はやはり生きていますので、人間が考えたとおりに動いてくれないんです。ここに集まってほしいと思っていたのがまったく集まらなかったりするんですね。なので水流を変えたり、水量を調整したり、光の当て方を変えたりなど、いろいろと調整を繰り返しています。もちろん、四季によって変えたりもしています」と山内さんは教えてくれました。
▼冬になると凍る「四季の水槽」
「いちばん困ったのは四季の水槽です。凍った川の中の魚の生態が見られるように作られた水槽なのですが、思ったよりも凍らなかったのです。もっとぶ厚い氷が張ると思ったのですが」と山内さん。
そこで水流と水量を調整することで水温の上昇を防ぎ、現在では厚い氷が張るようになったのだとか。凍った川で寒さに耐える川魚が見られるのは、実は世界でもここだけ。つまり、世界初の凍る水槽というわけです。
幻の魚と言われるイトウがこんなにも!
バックヤードでイトウの卵を見せてもらいました。「イトウの卵は積算温度450℃で孵化して、600℃で砂利の中から浮上するんです」と山内さん。
「積算温度とは、一日の平均水温を足していったもので、10℃の水に10日だと100℃というような計算になります。イトウは先ほどお話ししたように450℃で孵化しますので、10℃で管理していれば45日で孵化します」と教えてくださいました。
▼イトウの卵
ちなみに「北の大地の水族館」で飼育されているイトウのサイズは日本最大級。しかも、このサイズのイトウを飼育している数は日本一なのだとか。
▼イトウの大水槽
「北の大地の水族館」は、小規模な施設でありながら、日本最大級のイトウを日本一多く飼育していたり、日本初の滝つぼ水槽があったり、世界初の凍る水槽があったりと、ここでしか見られないものが満載です。地の利を生かしたアイデアと、魚の自然な姿を見てほしいという情熱が、このユニークな水族館を生み出したのです。
四季の移ろいを感じられる水槽と、自然を生きる魚たちの生態。シーズンごとに違った楽しみ方があるので、季節が変わる度に行ってみるのもおすすめですよ。
【動画】動画で見る北の大地の水族館
所在地:北海道北見市留辺蘂町松山1-4
電話:0157-45-2223
営業時間:夏期 8時30分~17時/冬期 9時~16時30分
休館日:夏期 4月8日~4月14日/冬期 12月26日~1月1日
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